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拷問

胸糞展開です。 苦手な方は読まなくても大丈夫です。

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 その頃、教団に捕らえられている愛菜は、薄暗い部屋の中で手足も動かせないように固定され椅子に座らされる形で拘束されていた。



「……うっ」

「お目覚めのようですね?」


 ボヤける視界が徐々にはっきりしてきた愛菜は、今の自分の状況に気がつき慌てた様子で辺りを見回した。


「私をどうするつもりよ!」

「この状況でその強気な態度を見せるとはなかなか気丈ではありますが……その態度もいつまでもちますかな?」


 愛菜が見回す限り、部屋は何か禍々しい儀式でもするかのような雰囲気で薄暗い中に今話しかけてきている拉致した教団の男以外にも数名の気配が感じられる。

 薄暗い理由は部屋の明かりはロウソクの明かりしかなかったからだ。



「今から尋ねる幾つかの質問に嘘偽りなく答えて頂ければ、痛い思いをすることはありませんよ?」


 コツコツと愛菜の前をうろつきながら、男が最初の質問をする。


「貴女を助けに来たあの守護者(ガーディアン)、貴女の身体には召喚者の証が見つかりませんでしたが……一体アレは何者ですか?」


 そう言われて愛菜は自分が今、服は脱がされて下着だけになっていることに今更気がついた。

 恥ずかしいと思う気持ちを愛菜は堪え……


「ふんっ!」


 愛菜は答える気は無いとばかりにそっぽを向いた。


「そうですか。 では致し方ありませんね」


 男は服から何かを取り出して愛菜に近寄る。

 左手に触ってきた感触の後、激痛が体を走る。


「なにをっ!? いっ! 痛っ! ああぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああっ、わぁぁぁぁぁああああ!!」


 ベリッと音と共に愛菜の生爪が剥がされた。 拘束されて身動きの取れない愛菜が、動かせる部位だけでも動かして痛みから逃れようとしている。



「痛いでしょう? でも爪ならばまた伸びれば元どおりになるので安心していいですよ。 あと9枚、それと足も入れれば19枚。 それでも我慢するようでしたら……四肢の欠損を覚悟していただかなければならなくなってしまいますが」


 痛みに堪えながら愛菜が睨む。 男はそんな愛菜を気にする素振りも見せない。


「さて……もう一度伺いましょう。 あの守護者(ガーディアン)は一体何者ですか?」


 愛菜がなかなか口を開こうとしないのを見ると、先ほど生爪を剥いだ器具を愛菜に近づけて見せる。


「ひっ……」


 まだ痛みは続いているが、先ほどの剥がされた直後の痛みが蘇り小さく悲鳴を上げる。


「……私もよくわからない」


 消え入りそうな声で呟くように答える。


「よく聞こえませんでした。 もっと大きな声で聞こえるようにお願いしますよ」

「私にもよくわからないの! 召喚したら彼が出てきた! 召喚者の証だって直後には破棄されて、でも理由を話したら私を守ってくれるって言ってくれただけよ! これで全部喋ったけどどうせ私を逃す気なんかあなた達にないんでしょ!」


 愛菜はまくしたてるように叫びながら答えた。


 男は愛菜が黙ったところでニコニコと笑顔を見せてくる。


「さすが姫川の娘さんですね。 ええ、貴女にはまだまだたくさんやってもらうことがありますよ。

——さて、次の質問ですが、あの守護者(ガーディアン)の分かっている能力を話していただきましょうか? 少なくとも送り込んだ私たち同胞数名とその守護者(ガーディアン)が倒されているのですから、どのように戦ったのかなどはわかっていますよね?」


 男の質問に愛菜は、少なからずとも教団にとってサハラの存在が如何に脅威であるかと気がついたのだろう。

 そしてそれをもし話してしまったら、自分を助けられる唯一の存在の弱点を教えてしまうことになりかねないと思ったようだ。


 故に愛菜が取った行動は黙秘だ。 例えどんなに傷つけられようが、秘密結社の情報を得るために殺すことはしないだろう。 そう思ったからだ。


「なるほど……私たちが貴女の事を殺さないと分かっているのですね……」



 そういうと男は愛菜から数歩離れ、代わりに控えていた別の人物が近づいてくる。


「今貴女の前に立つ男は本部からちょうどいらしていた……まぁ、拷問を得意とするお方なのだそうですよ。 なのでもし私の質問に答える気になったらいつでも声をかけてくださいね」


 先ほどの男と変わり、愛菜の前に立つ男は日本人ではなく、おそらく西洋の顔立ちをしている。

 日本語は話せないのか、異国の言葉で先ほどまでの男と話を交わした後、愛菜を見てニヤリと残酷な笑みを浮かべてきた。






 愛菜の悲鳴が響き渡る中、西洋人の男が一度手を止める。



『支部長、素晴らしいねこの娘は。 とても一般人とは思えない頑張りようだ』

『私もここまでとは思いませんでした』

『普通なら大抵の一般人はこれで綺麗さっぱり口を割るのものだが……本当に何も知らないという事はないのか? 私は口を割らせる為の拷問はするが、ただ相手をいたぶるだけの拷問はしないのは分かっているな?』

『それはもちろんです。我らが主に誓って断言します』

『ふうむ、それでは続けるとするか。

おい、次からのは本格的な拷問だ。 いつまでも我慢したら廃人になるか死ぬからな? と言ったところで言葉は通じないか』


 西洋人の男が声をかける。 今も苦痛に耐える愛菜の爪は全て剥がされ、指も全てあらぬ方向に捻じ曲がっていて、痛みと恐怖からか、座らされている椅子は濡れていて、酸味のあるアンモニア臭が漂っている。



 そして本格的な拷問と言った通り、西洋人の男の手にはペンチの様なものが握られていて、それを愛菜の口の中へ強引にねじ込ませていき歯を一本掴んだ。


「ふぁっ! ふぁっふぇっ! ひうっ! ひぃいふぁふ!」


 メリメリメキメキッと響く不快な音と歯を引き抜かれる恐怖には、さすがの愛菜も我慢の限界だった様だ。


 言葉の通じない西洋人の男が手を止めて振り返り頷くのを確認して、掴んでいた歯を掴むのを緩めて口から引き抜く。


「答える気になりましたか?」


 こくこくと愛菜が頷いた。


「では先ほどと同じ質問ですが、あの守護者(ガーディアン)はどの様な戦いをしましたか?」

「サハラさんは……」


 言いかけたところで愛菜は迷った様子を見せ、自身の爪が剥がされてあらぬ方向に捻じ曲がった指を見たあと、覚悟を決めた表情で目の前にいる2人を睨みつけた。



「……あなた達にサハラさんは倒せない! あなた達は全員! 必ず! サハラさんに贖罪されるわ!」




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