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姫川家に戻って

 姫川家に到着すると感知(センス)で中には4人いるのが確認できた。


「2人増えている」

「深雪!」


 言うが早いか深雪の父親が車を乗り捨てて駆け込んでいく。

 俺もすぐ後を追うと、中ではエリニュスと筋骨隆々としたあのシャーロットの守護者(ガーディアン)が今にもぶつかりそうな勢いの状況だった。


「深雪!」

「お父さん来ちゃダメ!」


 シャーロットが深雪の父親の姿を見るなり、俺を試した時にも使った魔法矢(マジックアロー)のような魔法を使って浮かび上がらせる。


「やめろシャーロット! そこの2人は敵じゃない!」


 すぐ後からついてきていた俺が叫ぶ。


「敵じゃないとはどういうことかしら? ここは姫川夫妻の家で、赤の他人と……」


 そこで言葉が止まる。

 視線が俺の後ろを見ていて、その姫川夫妻の姿を確認したのだろう。


「シャーロット、彼の言うとおり2人は敵ではない」

「ミスター姫川とマダム姫川……何故ここに!?」

「説明するからまずはその光弾を下ろしてもらえないかね」


 愛菜の父親がそう言うとシャーロットは大人しく従い、シャーロットの守護者(ガーディアン)も後に控えさせた。


「深雪も無事だったか」

「エリニュスが守ってくれました」


 あの時エリニュスと契約させておいて正解だった。

 最後にワルキューレも後から入ってきて、一瞬エリニュスの姿を見て身構えるそぶりを見せたが、俺が平然としているからなのか身構えるのをやめる。


「いろいろと聞かせてもらうわよ」

「私達もいろいろと聞きたい。 君は全て知っているんだろう?」


 全員の目が俺に集中した。




「そう言うことなのね。 理解できたわ」


 出会ってから今までをざっと説明するとシャーロットと愛菜の両親、深雪とその父親も頷いた。


「どうにかして愛菜の居所を突き止めなくては……」


 そう呟くと深雪が俺の事を見つめてくる。


「沙原さん? 私のスマホで位置がわかりませんか?」

「あっ!」


 そうだった。 すっかり愛菜に発信機を持たせてあったことを忘れていた。


 早速スマホを取りだして確認したのだが……


「位置が出ていない」

「え?」


 深雪が俺の手から奪うようにスマホを取る。


「発信機の充電はまだ足りてるはずなので、受信できないような場所かもしれませんね」


 一瞬の希望が消えてその場にいる全員が愕然とする。

 深雪は口にしなかったが、見つかって壊された可能性もある。


「発信機の充電はどれぐらいもつのかわかるかね?」

「ええと……たぶんですけど、1日持つか持たないかです」


 となると明日の昼ぐらいがリミットだろう。

 深雪には発信機に反応がないかを見てもらうことにし、その間に愛菜の両親と深雪の父親、それとシャーロットで話し合いが行われる。


 シャーロットは結局見つけたいくつかの教団のアジトは、下っ端ばかりの所で情報を得られなかったらしい。


「それなら娘の守護者(ガーディアン)になっているエリニュスに聞いてみよう。 一応幹部クラスの教団員の守護者(ガーディアン)だったから何か知っているかもしれない」


 ということでエリニュスに尋ねてみるが、場所までは特定できなかった。

 だが、場所は陽の光の当たらない場所で、しっかりとした建物の地下だというのだけはわかった。

 そして、喜ばしいことに深雪の父親の車に搭乗した場所まではそう移動はしていないというのもわかる。

 しかし——


「それだけの情報では特定は難しい」

「でも愛菜だけでは知りたい情報を得られないから、きっとすぐにでも私たちに何かしらのコンタクトがあるはずよ、あなた」


 愛菜の母親はそう言ったが……


「それは逆に愛菜を盾に力押しで来かねないだろう……」


 そう言うことになる。

 敵は今、こちらにとって不利なものを手にしている状況にある。

 それは愛菜の両親が愛菜を見捨てれば済む事だが、やはり我が子は可愛く、見捨てる事などできないとはっきりと口にした。

 シャーロットは愛菜を幼い頃から見てきていたにもかかわらず渋い顔をチラッと一瞬見せたところを見ると、そう言った情には流されない性格なのだろう。


「よろしいでしょうか?」


 不意にワルキューレが俺に声をかけてくる。


「姫川愛菜が貴方に覚えていないかと聞いていた事が気になるのですが」


 確かに何度か聞かれた。


「そこに何かヒントがあるのではないでしょうか?」


 ワルキューレはそう言ってくるが、愛菜が何の事を覚えていないか言っていたのかすらわからない。


「覚えてないも何も突然そんな事を言い出したんだ。 俺だって何の事かさっぱりだ」

「姫川愛菜が言い出したのは夜が明けてからです」


 確かに。


「寝ている間に何かあったのか?」

「私は夜通し起きていましたが、2人ともよく眠られている姿しか見ていません。 ただ……」

「ただ?」

「寝言で『懐かしいな』と貴方は言っていました」


 懐かしい……ね。 だがそれが愛菜の覚えていないかと関係があるのか?



「それにしてもどうして君は契約なくして存続していられるのだろうな」


 愛菜の父親が不思議そうに聞いてくるが、俺自身わけがわからないものは答えようがない。


「そう言った過去の事例はなかったのか?」


 俺の質問に愛菜の父親が愛菜の母親、シャーロット、深雪の父親の順に見ていくが、思い当たる節がなさそうに首をかしげるだけだ。


「わかる事といえば、君は神話やおとぎ話が存在しない私たちにとって未知の存在であるという事だけだ」

「愛菜は一体何を思い、願って召喚したのかしら……」


 愛菜の母親の疑問には答えられる。 だが大雑把な言い方になるが理想のヒーローを召喚したとは自分の口から言えるわけがない。


“愛菜の理想像らしいぞ、サハラは”


 ——このバカ犬!

 あえて言わないようにしていたというのに、しゃしゃり出てきやがった!


「お、狼が突然! それに喋った!?」

“俺は氷の最上位精霊だからな”


 尻尾をぱたつかせながら自慢するかのように言うバカ犬。


「こ、氷の最上位精霊……それを従える君はやはりとんでもない存在なんだな」

「確か貴方の世界だと創造神の執行者で世界(ワールド)守護者(ガーディアン)なのよね?」


 シャーロットも加わり、次々と勝手に俺の素性を暴露していかれる。


「まぁそんな感じだな」


 まったく……というかこんなに悠長にしていていいのか?

 だいたいなんでこんな話になった? ああそうか、愛菜の覚えていないかと言った言葉が発端か。


 こんな時、キャビン王女がいれば良い知恵が出るんだがなぁ。



 俺がそう思った瞬間、突然腕輪が輝きだす。


「なんだ、何が起こった!?」




短いですが実はそろそろ物語も終盤に入ろうとしていたりします。

本当はもっと日常の方もやりたいなぁとは思ってましたが、そこまでの登場人物を考えてなかったものでして……

結局愛菜の友人の名前も出てないし……



面白い、続きも見てみたいと思ってもらえるようでしたらブックマークをして貰えるとやはり書き手としてはとても嬉しいです。

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