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召喚されたサハラ

久しぶりのサハラシリーズのサハラが主人公の物語です。

 ——ここはどこだ?

 ——俺は一体どうなったんだ?


「成功したわ!」


 成功? なんだ、一体何が成功なんだ?


 徐々にはっきりしてくる視界。 目の前には見知らぬ場所で見知らぬ女がいる。

 まず場所は空気が重々しいところから地下の駐車場らしく、車があちこちに止まっている。

 そして女の方は年齢は10代後半辺りだろうか? 黒目黒髪のショートボブ、つけまつげをつけて目元をパッチリとさせた可愛らしい娘だ。


「言葉、わかるのかな? 私は愛菜(まな)……姫川愛菜(ひめかわまな)。 あなたの名前を教えて貰える?」


 ——ちょっと待て、つけまつげに薄っすらと香る化粧の匂い、そしてこの名前……


「まさかここは日本なのか!?」

「はぇ!? そ、そう言われてみれば思いきりあなたって日本人顔よね」


 どういうことだこれは……まさか俺は元の世界に戻れた、のか?


「あなた何者なの? 一応私の召喚魔法で呼び出されたんだから、この世界の住人じゃないことは確かなんだけど……」


 うーむ、なんとなくこの展開は想像がつくんだが……まさか、な。


「とにかく! あなたは私に召喚されたんだから、私の言うことに答えなさい!」


 俺は召喚獣かなにかかよ。


「わかった、わかった。 で、俺は何を答えればいいんだ?」

「う……そ、そうね、まずはあなたの名前、それとどこの世界の何者なのか、よ」

遠野沙原(とおのさはら)、T県M市在住のごく普通の会社員だが?」


 まぁ嘘は言ってない。 だけどこの名前で自己紹介するのは随分と懐かしいが。


「はぁ!? そんなわけないでしょ? じゃあ私は召喚魔法を使って唯の一般人を呼び出したとでもいうわけ!? そんなのありえっこないじゃない! この召喚魔法はあくまでこの世界には存在しないもののはずなのよ!?」


 愛菜は、ぐわぁぁぁぁっと頭を抱えて吠えだしてしまったが、なんども言うが俺は嘘は言ってない。

 だがこのまま続けるとこの子が可哀想だし、とりあえずここがもし本当に元の世界だとして俺の能力が失ってないかも重要だ。


「フェンリル、居るのか?」

“居る。 前の時と違って大丈夫そう”


 という事はおそらく俺の力もそのままだろう。


「フェンリルって誰よ?」

「ああ、ごめん、フェンリル出てきていいぞ」


 辺り一帯が僅かに温度が下がったかと思うと、俺の契約した氷の最上位精霊、純白の毛並みを持った狼が姿を現した。


“おおー! ここがサハラの元の世界なのか? 空がないがここはダンジョンか?”

「ダンジョンじゃないが、元の世界らしいな」

「お、狼が喋った……というか、突然出てきた……あなた一体何者なの……」


 そもそも呼び出した奴がそれを言っちゃうかなぁ。


「コイツは俺と契約した氷の最上位精霊のフェンリルだ」

“フェンリルだ”


 フェンリルは俺の語尾を真似ながら尻尾を千切れそうなほど振って見せている。 コイツは基本的に人懐こく、狼というよりはまるで手懐けられた犬だ。


「えーっと、つまりあなたは精霊使いなのね? えっと……」

「サハラでいいよ」

「わかったわサハラさん」

“サハラは精霊使いなんかじゃないぞ、世界(ワールド)守護者(ガーディアン)だ”


 この馬鹿犬あっさりゲロっちまいやがった。 まぁいずれは話すんだろうから別に構わないんだけどな。


世界(ワールド)守護者(ガーディアン)、って何?」

「んー……まぁ、創造神の執行者って奴だな」

「ちょっと待って、どんどん頭がこんがらがってきてるから。 つまりあなたが最初に自己紹介したのは私に嘘をついたの?」

「嘘は言ってないが、それを話せば長くなるぞ?」


 愛菜は考え込んだ後、俺についてくるように言ってくる。 のだが……


「ちょっと待て、まさかこの格好で街中を歩けとかいうのか?」

「う……そ、そうだったわね、あなたと一緒に歩いていたら私まで変な目で見られちゃうか……」


 自分の心配するところかよ!


「とりあえずここはどこなんだ?」

「場所を言ってわかるの?」

「なんとなくだが……うん、ここ、たぶんサンシャインの地下駐車場じゃないか?」


 愛菜が驚いた顔をしている。 どうやらビンゴだったようだ……となるとここから出たらなおさら人目につく。

 なにしろ地上に出れば人が集まる繁華街のど真ん中だ。


「本当になんなのよあなた……」


 ああそうだった。 確か鞄の中に以前戻った時に買った服ならあった。 あったのだが……正直言って抵抗がある。 あっちの世界でなら充分慣れたが、元の世界のそれも今日今さっき出会ったばかりの愛菜に見られて何を言われるのかと思うとゾッとするが仕方がない。


「その……服の方はどうにかなりそうなんだが、変な目で見ないと約束してほしいんだ」

「変な目って……なんとかなるのならこの際目を瞑るから早くしてよね」


 俺は車の陰に隠れて変身の魔法を使って女体化する。

 サイズが変わって今着ている服がぶかぶかになり、代わりに鞄から取り出した女体化した時の服を取り出して着た。

 ぐぅ、この後の愛菜の反応が恐ろしいが仕方ないよな。


 意を決して愛菜の方へ向かう。


「待たせた……」

「へ! え? えぇぇぇぇえ!? も、もしかしてサ、サハラさん!?」

「一応この姿の時はサーラ……いや、ここに戻れた時はサラと呼んでもらっていたけどな……」


 なんて言われるか? キモいか? それとも変態か?


 愛菜が驚きながらも俺を頭のてっぺんからつま先まで舐めるように何度も見てくる。


「も、もの凄く綺麗……はっ! じゃなかった、何を見とれているのよ私! っていうか私、あなたの事知ってる、T県M市に突如現れた謎の超美女4人の1人ってあなただったのね!?」


 おおう、どうやら以前この世界に戻った時のことは残ってるのか! しかなんでまた愛菜が知っているんだ?


「これっ!」


 スマートフォンを取り出して画面を突き出すように向けてくる。 そこには女体化した俺と俺の嫁3人が映し出された姿があった。

 どうやらどこぞの誰かがいつの間にか撮影し、それをネットに広めたようだ。


「それじゃあ後の3人も……」

「いや、後の3人はちゃんとした女だ」


 ホッと安堵の表情を見せてきたあと、やはり言われてしまう。


「キモっ、変態!」

“ウシャシャシャシャ”


 愛菜の評価にフェンリルが笑い出しやがった。 なので当然頭を殴っておく。


“痛いぞサハラ!”

「笑ったお前が悪い」


 


ルースミアの物語と同時進行になってしまいますが、よろしくお願いします。

更新速度はあまり期待しないでください。 数話後からは週1ぐらいかも?

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