第1話 ③君は何者?
こんなことは初めてなので、どうしたらいいのか悩んでいるとあることに気づいた。
「お前、影が……。」
そこまでで言葉を切った。
もし、自分の影が幽霊に取り憑かれていることにも気づいていれば、この女は本当に幽霊が見えるということなんだろう。
相手の出方によってこちらも対応を変えなければならない。
「やっぱり、あなたにも見えるんだね!私すぐに取り憑かれちゃうんだけど今日はいつも以上にしつこくて…。歩く度に影を引っ張られるから遅刻しちゃった。」
「えー?!僕のせいにするの?」
「だって本当にそうでしょ!!」
女の影から少年が出てきた。
普通に会話してる…。
「ねぇ、そんなことよりもそこのお兄さん!僕も浄化できる??」
影に取り憑いていた少年が急に俺に喋りかけてきた。
「できるけど…。」
あまり状況についていけず、語尾を濁らした。
「じゃあ、僕を浄化して!!」
1日に何回も浄化するのは疲れるが、2回ぐらいなら平気だろう。
「わかった。」
さっきと同じ印を組み「浄化。」と呟いた。
「わぁー、すごい僕光ってるよ!」
少年は幽霊女とは違う反応を見せた。
「……消えちゃうの?」
女が少し寂しそうに聞いてきた。
さっきまで取り憑かれていたのに悲しいのだろうか?
「転生するだけだ。」
転生がどんなものかはわからないがあえて素っ気なく言った。
「お姉ちゃん、またね!短い間だったけど楽しかったよ!」
そう言い残して少年は消えていった。