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第1話 ①君は何者?
登校初日から寝坊とは……。
朝から変な夢を見たせいで遅刻しそうだ。
だからといって走ろうという気は全く起きない。
「坊や、かわいいやね。私のことが見えてるんでしょ?ねぇ、遊ばない?」
「……はぁ。」
また絡まれた……。
「うるせえよ、消されたくなかったら失せろ。」
遅刻しそうだというのに呑気に話しかけてきやがって……。
「きゃー!!毒舌もいいわね♪」
……………。
俺は無言で印を組んだ。
「浄化。」
そう呟くと女の体は光出した。
「えっ?!やだ、なにこれ??」
女は自分の体を見てびっくりしている。
「浄化だ。このままさまよっているといつかは悪霊化したり、魂が消滅したりするが浄化することによって転生できる。」
「……そっか。生まれ変わったら前世の記憶って消えるんだよね……。」
さっきまでの明るさは消えて今ではすぐにでも泣き出してしまいそうになっている。
「強い感情を持っていると、たまに前世の記憶を持ったまま生まれてくることもある。」
「私ね、家族が大好きなの。だからまた会えるようにがんばる!坊や、ありがとうね!」
そう言うと女は跡形もなく消えていった。