11月の朝
朝起きると少し風邪気味だった。
鼻は詰まってるし喉はイガイガするし、鼻をすすっても空気の代わりに鼻水のそれがきゅっと鼻の奥に詰まるだけ。
呼吸なんて出来たもんじゃない。
体を上に向けたまま、首だけを捻って目覚まし時計を確認した。
「まだか」
よく寝ぼけたまま目覚ましを止めてもう本来の時間を過ぎている、なんてことがたまにある。
だからひとまず安心した。
再び布団に潜り込んで天井を見上げる。
ただ睡眠時間が少ないのか、どうもまだ頭は完全に覚醒しない。
思考が定まらず、眠気が意識を支配して、気を抜くと途端に眠ってしまいそうになる。
「…………」
瞼を閉じていた。
辛うじて眠ってはおらず、でも目を休めることで少しでも足りない睡眠分の休息がしたかったのだ。
疲れた。
ジリリリリリリリリリリリ
リリリリ──
「…………」
目覚ましがなった直後、体を捻ってアラームを止めた。
大きな音に反応した咄嗟の動きだった。
目はアナログ時計の針を見ていた。
起きてからもう10分近くが経っていたらしい。
もしかしたら少しだけ眠っていたかもしれない。
ただそれはもう目を覚ました俺には分からず、または今まで全てが夢だったらいいのにとも思った。
「…………はぁ」
俺は自分のために起きる。
風邪気味の体調を気にしながら、ぬくもりの残った毛布から出た。
おはようございます。