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トラブル発生

「おー。どうしたー?」


案の定、電話の向こうからは切羽詰った涙声。


『先輩~! どうしよう!! オレ、今さっき、とんでもないことやっちゃったよ!!』


「……なにをやった?」


『昨日、月曜のプレゼン用の資料、家でまとめようと思って持ち帰ったんすけど、その、それを今さっき保存する前に間違えて消しちゃったんす』


「うわ、マジか。あれ? でも会社でほとんど完成させてたから、保存し損ねたデータっつってもたかが知れてるんじゃないのか?」


『……その、会社で作成したデータなんすけど、保存しないでノーパソをスタンバイ状態にしただけで家に持ち帰っちゃったので……』


「あっちゃあ……」


正直頭が痛くなった。一体どれだけのデータが失われてしまったのか。


『先輩~。どうしましょう~?』


あーもう、なんでこまめに保存しないっ、と怒鳴りたくなる自分をなんとか抑える。自分自身、新入社員のころは似たような失敗をやったし、先輩の休日をまるまる一日潰してしまったこともある。


昨日、奴が仕事を持ち帰るのに気付いていながら一言注意しておかなかったのは僕の監督不行き届きだ。


仕方ない。後輩の尻拭いも先輩の務めだ。


「分かった。俺がなんとかするから、生き残ったデータだけメールで送ってくれる? 作成用資料は会社のコンピューターに入ってるはずだから俺が今から会社に行くよ」


「あ、それなら俺も!」


「いや、さすがにミスのリカバリーで二人も休日出勤したら確実に課長から雷が落ちるから、今日は俺だけでやるよ。お前もこれからはこまめに保存する癖をつけろよ」


『分かりました。ありがとうございます。お願いします!』


電話の向こうで奴が頭を下げる姿が目に浮かぶようだ。


気は利く奴だから、もう少し慣れればいい社員になるはずだ。




……しかし、今から会社に行って会社のコンピューターのデータを調べてプレゼンの資料を作り直すとなると、多分昼過ぎまでは掛かってしまうな。


優香のことが脳裏に浮かぶ。今日の卒業式の場で優香のお母さんと初対面となって、その後夜に3人で食事に行く予定だった。



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