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003.ニヤニヤが止まらない

「本当にいるとは」


 ハルの言う通りにガラスの壁へと向かうと、本当に昨日の少女がいた–––ガラス越しにだけど。






 誰か探してるのかなあ…?

 その少女は、スマホを片手にコロニーの中をきょろきょろ見回していた。


「わっ!」


 少女と目が合った。


「……???」

 ぶんぶん大きく腕を振っている。

 探されてたのってもしかして僕?

 じゃあとりあえず…


『こんにちは、昨日ぶりだね』

 ガラスに近づき、スマホを見せる。

『こんにちは!ぶつけた頭、大丈夫だった?』

 心配してくれてたんだ、優しい…!

『大丈夫だったよ!』

『なら良かった(*・ω・*)けっこう激しくぶつけてたからさ~』

『あんなドジ初めてしたよ恥ずかしい…w』

『ドンマイですっ(・∀・)/』


 おお、女子ってこんな顔文字使うんだ…

 いやそこは気にしてる場合じゃない、本題本題。


『あの、えっとさ、いきなりなんだけど、』

『うん、なあに?』

『よかったら名前教えてくれないかな?名前も知らないでこう話してると変な感じするんだよね』


 うわああああああ馬鹿自分!何だこの話の流れいきなりすぎるだろ僕馬鹿だ!絶対引かれた!


『うん、いいよ!』

 引かれてなかった…!

『藍原陽依。高校2年ですよ!』

『僕は黝河夜月、僕も高校2年だよ』


 わあおなんと同い年!

 ぐれいとっ!わんだふぉーっ!

 …落ち着こう。


『よづき…いい名前だね(๑• ω •๑) あ、そうそう私からも、いきなりだけどさ』

『なに?』

『メアド教えて?このままじゃ会話しづらいでしょ?』


 ごめんなさい全く落ち着けませんでしたはい!

 やっほおおおおおい!

 まさか藍原さんの方から訊かれるなんて!


『はい、メアド→######@%%%%

 RINEのIDも一応→@○○○○』


 するといきなり、メールとRINE同時に着信。


『よろしくね!』

「はっや…!」

 慌てて僕も返信。

『よろしく!』

 送ってわずか3秒後、またまた素早い返信。

『基本RINEでいい?普段あんまりRINE使わないから』

 矛盾した理由に聞こえるが…?

『使わないならメールの方が良くない?』

『メールってコンビニとかメルマガとか友達からのメールとか色々たくさん届いちゃうから、大事なメール見逃しちゃうんだよね。だから大事な方はRINEに送ってもらうようにしてるの』

 それって、僕とのやりとりを「大事な方」に分類してくれたってこと?かな?

 なんか何となく嬉しく恥ずかしくなったので、話を逸らす。

『それにしても打つの早いね』

『すごいでしょ、鍛えたの』

『鍛え!?』

『じょーだんじょーだん!なんか天性の才能のようで』

『冗談か、びっくりした…。ずいぶんいい才能をお持ちの様で』

『うらやましいかっ!』

『羨ましいっす!』

『フフフ、もっと尊敬してくれてもいいんだぞい?』

『ははーっ!』

『余は満足じゃ!』


 藍原さん、かなりノリのいい人の様。


 そのあともなんだかんだ30分ぐらい雑談し。

 このメッセージで今日の会話を終えることになった。

『ごめんっ!そろそろ時間がヤバい…>_<』

 ガラスの向こうで藍原さんは、ぺこぺこ頭を下げ、さっきの顔文字みたいな顔になっていた。かわいい。

『あっ、僕も!そろそろ帰ろうか!』


 ああ、残念だなぁ…

 もっと話したかったなぁ…


『うん、じゃあね、夜月くん!(あ、私の事は陽依でいいよ)』


 !!??

 女子を下の名前で呼ぶなんて初めてだけど…


『じゃあね陽依!(僕の事は夜月でいいよ)』


 打ち終え、スマホから顔を上げて藍原さ…陽依にバイバイ、と手を振り(振り返してくれた!)、僕らは帰路についた。



▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲



「ただいまー」


 鍵を開け、家に入る。


 ……誰もいないか。

 今日も母さんは仕事かな?


 さて、黝河家は両親、妹(といっても誕生日が1日違うだけだ)、僕の4人で構成されている。

 両親はどちらもイムの親(要は僕の祖父母)から産まれたアンダー。だから祖父母は外の世界に住んでいる。当然、会ったことなんて無い。



 ……さて。

 今日の夕飯は何にするか…。


 昨日はカレーを作ったな、一昨日は生姜焼き作ったし…、牛丼でも作るかなぁ…


「……………」


 スマホを取り出し、RINEを起動。

 陽依との会話を見る。


 ……。


「よーしやるか!」


 我ながら現金な奴だ……。

 だけどやる気が出たのは事実。

 このテンションが落ちないうちに料理すませよう!


 食卓の上にスマホを置き、僕は調理を始めた。










「ふう、完成」


 完成した牛丼大盛り4人前(両親と妹の分も作っといた)を食卓に置くべく振り返ると、


「へぇよづ兄、これが昨日言ってた可愛い娘ちゃんかあ~~」

「何勝手に見てんだユウ!かえせコラ!」


 ニヤニヤしながら僕のスマホを勝手に見ている妹――黝河 優奈が座っていた。



「返してって!」

「はいはい」


 ん?すんなり返してくれた?


「もう一通り見たからいいよ」

「オイ」

 睨もうと恐い顔をしようとするが、どうしても顔が赤くなってしまう。

 それをみてさらにニヤニヤ。


「いやでもさ、かなりいい感じだよ?あとからメアド聞いてくるなんてさぁ。さすがよづ兄」

「るせっ!」



 精神崩壊寸前になったので、牛丼をやけ食いする。



「にしてもよづ兄が恋なんて珍しいよね」

「ハルと同じこと言うな…」

「まあ、イケメンなよづ兄が恋するんだから相当な可愛い娘ちゃんなんでしょ?」

「…………」


 おそらく答えたら恥ずかしい過ぎて死ぬよ僕。

 と、そのタイミングで。



 ぴこん、とRINEに着信。

(あ、陽依からだ)


『あのさ、』


 ……。

 、のあとは何だろう?


『何?』

 すぐに既読がつく。

『明日、暇かな…?』

『うん、暇だよ』

『よかったあ!じゃあさ、』

『うん』




『明日も会っていいかな…?』




「お、よづ兄がりんごになった」


 やばいなにこれずるい可愛いすぎる…!


「ねーねー何てきたのー?見してよー」

「ごちそうさまでしたっ!」



 あああああどうしてもにやけてしまう…。





 急いでその場から離れ、その後自室で1時間ほど顔がやばいことになっていた僕でした。

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