赤い愛を
愛しい愛しい 僕の片割れ
「透お兄ちゃん」
君がそう呼んでくれるのがたまらなく嬉しかった。
僕らには、両親がいない。10年程前に事故で他界してしまった。
僕らはしばらく親戚のところをたらい回しにされた挙句、孤児院に入れられた。
それでもよかった、君がいたから。
君がいれば、他の奴らなんてどうでもよかった。
僕の、愛しい実琴。
でも、実琴は僕を見ていなかった。
「お兄ちゃん、私好きな人がいるんだ」
実琴は、照れ笑いをしながらそう言った。
「―...、おめでとう、応援するよ。」
僕も、精一杯笑顔を作った。
「ありがとう」
結局、実琴は同じクラスの奴に告白して、付き合い始めた。
もう実琴の大きな目に映ってるのは、僕じゃない。
「おにい...ちゃん?」
「みこと...、実琴がいけないんだよ?
実琴が...ー」
僕のことを見ないから。
僕は、銀色のナイフを実琴に振りおろした。
「や、やめ...!!!」
目がチカチカするほど赤い液体が、次から次へと溢れ出てくる。
ああ、さすが僕の実琴だ。君は血液さえも美しいよ。
胸に顔をうずめると、うるさいくらいに鼓動が響いている。
どくん、どくん、どくん...
その小さな塊のあまりの綺麗さに、思わず僕は...
それに噛みついた。
がり、
その途端、大量の血液が喉に入ってきた。
驚きつつも、零さないように飲み込む。
でも、ごぽごぽと飲み切れなかった分が口から出て雪のように白い実琴の肌を赤く染め上げた。
「実琴は、白も似合うけど赤も似合うんだね」
微笑みながら実琴に言っても、実琴は何も言わない。眠っているみたいだ。
「そっか、実琴は眠いのか...、僕も眠くなってきたよ。さっき実琴と一緒に寝るためにね、睡眠薬を飲んできたんだ。」
実琴の胸にもう一度顔をうずめる。
もう鼓動は聞こえなかった。
「おやすみ...実琴」
愛しい愛しい僕の片割れ
愛していたんだ
赤ん坊の時から
愛していたんだ
生まれる前から
愛していたんだ
一つだった頃から
愛していたんだー...
ぱっと思いついたただの落書きです。
なんとなく狂愛が書きたかったんです。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。