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第十一話

遅くなりまして本当に申し訳ありませんでした。

ーーーちくしょう……


ーーーなんで守れなかったんだよ……慧音さんたちにも約束したってのに…


体中が痛みを発する中、骨を見つめる。


ーーー俺に、俺自身にもっと力があれば………


動かない体は、生徒を殺した悪党を殴ることすら叶わない。


そのとき、蒼夜の耳に声が届く。


ーーー汝、力を望むか?


その声は、初めて聞くようで、どこか懐かしさも覚えた。


ーーー力?


ーーーそうだ。汝の本来の力、影を操り、闇の者として生きる力。


ーーーそんな力が、俺の本来の力?


ーーー是なり。しかし、それは代償無しに得ることは無く、人社(じんじゃ)の身で一度使えばその身を滅ぼす力と覚悟せよ。


ーーーなんでもいい………あいつをぶちのめせる可能性が少しでもあるんなら。俺は、ここで散ってもいい。もともと死んだはずの命だ。未練はないさ。


生徒の仇を睨みながら、震える手を握り締め、その足に力を込める。


ーーー汝の覚悟、しかと見届けた。ならば、汝の力を解放せん。汝は力を手にし、同時のその末路も受け取るものなり。禍斗(かと)の人社よ。人の身にしてすぎる力を持つ者よ。汝の可能性、しかと見届けさせてもらう。


その言葉を最後に、蒼夜は気を失う。


ーーーーーーーーーーーー


「……………ん…」


目を覚ますと、視界に入ったのは自分が良く知る自宅の天井だった。


「あれ………?俺……なにしてたんだっけ……?」


そのとき、腹部に若干の重みを感じたので、そちらを見ると、


「…………すぅ……」


萃香が寝ていた。


体を起こすと、額から濡れたタオルが落ちた。


さらに、萃香の隣には水が入った桶がある。


「…………っ!」


そして、起きたその瞬間に、体中に激痛が走った。


痛みに顔をしかめながら体を見ると、腹部を覆うように包帯が巻かれていた。


腹部の傷、というものになぜか若干の既視感を覚えるが、結局思い出すことはできなかった。


「……とりあえず、腹が減ったな。萃香、おい萃香。起きてくれ」


腹の虫がなる前に食事がしたいと、萃香を揺すり始める。


「……………ん、うぅ…」


しばらくすると、萃香が起き上がり、目を擦りながら欠伸をした。


「おはよう」


「あぁ……おはよう……。……………ん?」


蒼夜の挨拶に返事をしたあと、しばらくボーっとし、再び蒼夜を見る。


「蒼夜?」


「どうした?」


「お………」


「お?」


「やっと起きやがったなこの野郎!一体何日たったと思ってやがる!!」


「がっ!!」


萃香の右手が蒼夜に突き刺さり、再び意識を失った。


「あ………」


ーーーーーーーーーーーーーーー


「…………ごめん…さっきのは私が悪かった…」


「いや、それはいいんだけどさ。これ、どういう状況?」


「実は………」


「それについては私が説明をしよう」


腹部に巻かれた包帯を指差しながらの質問に若干答えにくそうにしていると……、


「あ、慧音さん」


「まずは回復おめでとう。君を見つけたのは私でね。助かってくれて本当に良かった」


「そうだったんですか……ありがとうございました。で、俺になにがあったんですか?」


「その日は、お前が日課の見回りに出たときのことだった。帰りが遅いお前を心配して妹紅と一緒に探しに行ったら、お前が森の中で大怪我をして倒れていたんだ……」


そのことを話すとき、慧音の顔は少し青ざめていた。


「申し訳ないんですが…………俺、その時の記憶が無いみたいなんですよ」


「今はもう見えないが、あの時は頭にも傷を負っていたんだ。多少記憶が無くなってても無理もない。むしろ他の記憶が残っていることを喜ぼうじゃないか」


「それもそうですね」


蒼夜は慧音の言葉に頷く。


「あぁ、あとだな…………その………ひじょーーに言いにくいんだが……」


「なんですか?」


めずらしく歯切れの悪い慧音は、しばらくためらうような動作をしたあと、こう言った。


「君は、もう人間ではない」

お前は人間をやめたぞ、蒼夜ァァアア!!

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