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現実  作者: 玉蔓
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 タケが東京に旅立った。それが僕たちが電話でよく話すようになったきっかけだった。話題は僕の中学の誰と誰が付き合っているとか、タケが東京の暮らしで驚いたことなどの他愛のない話から二人の将来の夢についてなど、いままで直接話すときには言いずらかったことなどさまざまだ。だが、今になって振り返ってみると、それらの会話ひとつひとつがかけがえのないものであり、僕らの心をより強く結びつけたきっかけだったのかもしれない。

 そんな風に中学生活を過ごした僕は地元の高校に進学、そこで1年のころに遠藤たちと知り合った。上背があり、がたいが良かった僕に遠藤たちは目を付け、僕らは何かとつるむようになった。もともと人付き合いが苦手で、タケがいなくなった後は孤立することはなくても、胸を張って友達と呼べる人がいなかった僕にとって、最初から人の心に土足で踏み込み遠慮を知らない遠藤たちの絡み方は新鮮でもあり、不思議と不快感は感じなかった。ぽっかりと空いた心を満たしてくれるのはもしかすると、今までかかわりが薄かったこういう人種なのかもしれないと思った。だが、やはり街に出てカツアゲをしたり、コンビニで万引きをしたりすることは僕にはできなかった。そしてそういうことをする遠藤たちを見て僕は不快感を抱いたが、それを口にすることはできなかった。もはや後戻りはできなかったのである。最初に作ってしまったコミュニティを抜け出すことなどできなかったし、抜け出したとしても、その後の遠藤たちの報復が怖かった。だが、最初のうちは「お前なー そんな体しているくせにカツアゲくらいできんでどうすんねやー」と笑っていた遠藤たちも僕に対して不審を抱いていった。学校社会において連帯意識というものは非常に重視され、それを守らないものは集団から駆逐されていくのだ。言うのであれば、現代版の村八分が脈々と学校社会においては根付き、21世紀においても、しっかりと受け継がれているのだ。それから徐々に僕と遠藤たちとの関係は変化していった。そう、いったん悪化していった関係は修復されることはなく、早さの程度に差はあれ、刻一刻と悪化していくのだ。対等から徐徐に下にさがっていく僕の立場、僕はそれを自らの肌で感じ取り焦っていた。そんな焦燥を感じていた高校1年の1月、起死回生の知らせがタケの口から僕に告げられた。

「おい、やったぞ! 俺、2年の春から大阪に戻れるんや。良かった、またお前と同じ学校に通えるんや!!」

 その知らせは僕の心に空いた穴を急速に満たし、僕の目に映る世界を一瞬にして無色透明なものから有色に塗り替えた。幼いころ経験した塗り絵の絵本が完成し、充足感に心の容器が一杯に満たされる感覚。それと似た感覚が今の僕には確かにあった。

「ほんま・・・か? ほんまなんか? また僕ら毎日、遊んだりできるんか!?」

「おう、本間楽しみしてるでー こんなにも早く関西弁使っても怪訝な顔されへんところに戻れるとはな!」

 もうこれで遠藤たちとの関係に悩む事はない。僕には誰よりも頼りにできる心から頼れる親友、山岡武文が帰ってくるのだから。

少し投稿遅れました、すみません。

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