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運命ノ魔法  作者: Rorse
第1章~運命の出会い~
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第1魔法~プロローグ~

どうも、ローズと申します。

読んでいただけたら光栄です。

では…どうぞ。

第1魔法~プロローグ~


この世の中には…魔法がある。

火を出したり、風を起こしたり、雷を呼んだり、地を揺らしたり、その用途はいろいろだ。

その他にも治癒魔法、身体強化魔法、その他いろいろな種類がある。

それを使うには、その者の体の中に因子(ファクト)と呼ばれる物が必要だ。


因子(ファクト)とは、魔法を使うのに必要なものであり、持つ者は多くない。

もし因子(ファクト)を持っていたとしても、うまく制御できず魔法を使えなかったり、力が暴走し身体が爆散したり、強すぎても、体が適応できず、寝たきりになってしまう事もある。

そして因子(ファクト)を持つ者の事を…俗に因子者(ファクター)と呼ばれる。


その因子者(ファクター)を育成し、魔法を上手く使えるように設立された学校がある。

カシューレル因子者教育高等魔術学校…


因子者(ファクター)が集まる超スーパーエリート学校。

魔法が使えなければ退学。それを間逃れたいなら実戦訓練を受け、ダメなら殺される。

そして、魔法使いとしての度量を上げるために、年に何回か不規則に試合が行われる。

魔法を使い、武器を使い、殺し合う。


もっとも…武器を使うものは少ない。何故なら腕っ節が弱いからだ。

その為、ノルーウェル武術学校と合同でタッグマッチが行われる事もある。

魔法使いと武術家、力を合わせて勝ち進み、優勝すれば絶対的な権限がある生徒会長になることが出来るのだ。

しかしそこには…『カシューレルの落ちこぼれ』と言われる、魔法が使えない超不良生徒が居た…。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――




朝起きると、まず最初に何をする?

普通は顔を洗ったり、歯を磨いたり、朝ごはんを食べたり、普通の人間ならそうするだろう。

だが…この青年は違った。

朝早く、もはや夜がまだ完全には明けてないような朝。青年は病院に居た。

青年は…病室のベッドの上で寝ている少女を見ていた。ただ…真っ直ぐに。見ていた。


悲しそうに、申し訳なさそうに、憂いに満ちた眼で、少女の事を見ていた。

暗い病室の中に同化する黒い髪の毛。闇の中で爛々(らんらん)と光る黄色い眼。

青年は花瓶の中の花束を取り替えて、病室を…去っていった。

その青年は…カシューレル因子者育成魔術学校の制服を…身に(まと)っていた。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




青年が家に帰り、ベッドに入ると同時に夜が明けて、いつも通りの時間が来る。

今日もまた、2階にある青年の部屋へと向かって階段を駆け昇る元気な音が聞こえてくる。

ドアが乱暴に開けられ、青年の被っている布団を取り払う少女が居た。


「お兄!朝だぞー!起きろー!起きないと遅れるぞー!」


無理やり布団を取り除かれた青年はまだ寝ている…と言うより寝ているふりをしている。

青年は寝ていないのだ。病院から帰ってきてからは。

しばらくして、青年は起きる。これは青年の朝の日課なのだ。

寝ているふりをして少女の声で起きるふりをする。


「うぅん…うるせぇぞ那々美、女だったらもっとお(しと)やかにしろ、嫁に行けねぇぞ」


青年はウザったそうに那々美と呼んだ少女に言った。


「またそんな事言う…言われたくなかったらお兄が早く起きればいいでしょ!」


青年に怒鳴っているのは龍ヶ崎那々美(りゅうがさきななみ)青年の妹だ。

今年カシューレル因子者教育中等魔術学校に入った元気一杯、明るく人懐っこい、白く光る髪でツインテールの少女、眼の色は青く、まだまだ無垢な顔をしている、12歳。特徴と言えば…


「へいへい、あれ?那々美?何処に消えたんだ~?見えなくなっちまった」


身長は低く、見た目は小学生なところ。青年の背はそこそこ高い。なので…


「お兄!ここに居るよ!」


青年が立つと視界から消えてしまう。

青年は那々美を無視して階段を降り、リビングへと向かう。


青年の名前は龍ヶ崎雄斗(りゅうがさきゆうと)この家の次男であり、カシューレル因子者教育高等魔術学校に通う1年生、16歳。

髪の色は黒、眼の色は黄。目つきは最高に悪い青年。体の線は細く、誰も寄せ付けないような顔。足がすらっと伸び、容姿だけならかなりのイケメンである。


親は()らず、雄斗がこの家を支えている。

父親は多額な借金を抱え母親に苦労を掛させた挙句、蒸発しその所為で母は死んでしまった。

兄が居たが、それも別の大陸に出稼ぎに行ったが……棺で帰ってきた。

雄斗はその為、父親の事を憎んでいる。


雄斗がリビングに降りると、一人の少年がテーブルに座り朝食を食べている。


「お、兄ちゃん。やっと起きたのか、那々美にあんまり苦労かけんなよ?」


その少年の名前は龍ヶ崎政輝(りゅうがさきまさき)。カシューレル因子者教育中等魔術学校2年生の少年、雄斗の弟で14歳。

容姿端麗・頭脳明細・魔法が得意。の3拍子がそろった超エリート。

那々美同様白く光る髪の毛をしている。眼の色は黒。その笑顔はとても優しく、全てを包み込む母のようだ。雄斗と同様体の線がはっきりとしていて、細い。

ちなみに龍ヶ崎家の中で髪が白くないのは雄斗ただ1人だけである。


「俺の事なんか放っておけば良いだろ。落ちこぼれなんかよ。お前らはエリートなんだから」


雄斗は不機嫌そうに政輝に言う。

それを聞いた政輝は少し悲しそうな顔をする。


「兄ちゃんだってカシューレルの生徒じゃ無いか、しかも特待生だし。どこが落ちこぼれてんだよ?」


政輝は無理に笑って雄斗に話しかける。雄斗は無視をして朝食を食べ始める。

その時やっと那々美が二階から降りてきた。

政輝はそれにホッとして、朝食を再び食べ始める。


「まーた喧嘩したの?政輝兄は心配してお兄に言ってるんだから、悲しいよ…あたし…」


さっきとは打って変わり、突然涙目になる那々美。雄斗は驚き、焦る。

雄斗は実際冷たく接しているが、本当は家族を誰よりも大切にしている。だから焦る。


「…わーったよ。悪かった。……先に行くから、カギはしっかりと閉めてけよ」


雄斗は朝食を食べるのを止め、さっさと制服に着替え始める。

と言っても、雄斗は制服をしっかりとは着ない。動きづらい、それと…不良だから…と言って。


「お兄、ご飯食べなきゃダメだよ!あと、しっかりと制服を―――――」


「行ってくる。お前らも急げよ」


雄斗は那々美の言葉を制し、さっさと家を後にした。


「お兄!もう…ほんと風みたいなんだから…政輝兄も言ってよ!」


那々美は頬をふくらませ、不機嫌そうに政輝に言った。

そうすると、政輝は笑って言った。


「良いじゃないか、兄ちゃんは外じゃあんな(・・・)人なんだからさ。家の中くらい大目に見てあげ

なよ」


政輝がそう言うと、那々美も笑った。

この兄妹も、雄斗の事が大好きなのだ…。




―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




一方、そのころ雄斗は…。通学路を歩いていた。

一歩家を出ると、雄斗は急に変わる。眼つきとか態度とか性格とか。

雄斗は家族が好き、大切にしているが、家族の前じゃなきゃ超不良高校生となってしまう。

ただでさえ悪い眼つきがホントに悪くなる。

その上制服も着崩し、ブレザーを両肩に引っかけて歩く。

その姿はまるで番町のようだ。


「おいテメェ!舐めてんのか!?しっかり謝れよ!!」


「ふぇ…す…すいません!で…でも…わざとじゃ…無いんです許してくだしゃい!」


雄斗の歩いている所から少し先の所で、男が女の子に絡んでいる。と言うより…何か女の子がしたんだろう。

茶色の髪の少女は申し訳なさそうにしているが、噛んでしまっている。


「このくそアマがぁ…しっかり謝れって言ってんだろ!…百万回謝れ、さっさとしろ!」


「そ…そんなに…謝れないです…本当に反省してます!ごめんにゃしゃい!」


さっきとまるで同じように噛む女の子、男の方はますます怒りを増していってるよう。

蒼く澄んだ瞳からは……一筋の涙。

周りに居る人間達も、剣幕に押され誰1人りとして助けには向かわない。ただ遠巻きに見るだけだ。


「ふぇ…ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」


何も言えなくなってしまったのか、女の子は必死で謝っている。本気で百万回謝る気のようだ。

雄斗は唇をかんだ。可哀そうとか、助けたいとかでは無く、純粋に…邪魔だったから…


「おいテメェ。邪魔だどけ。見苦しい真似は裏でやってくれ。うぜぇから」


雄斗は男と女の子の間に入り、男を睨みながら言った。


「何だテメェ?この女の男か?けっ!おめぇみたいのに何が出来るって―――――」


雄斗は男が言い終わる前に男を投げ飛ばした。

素早く男の腕を掴み、背負い投げを繰り出す、無言で。力強く、下手をすれば死ぬくらいの勢いで。

男が地面に叩きつけられると同時に大きな音がした。雄斗は手をパンパンと手拍(てばた)きした

辺りは騒然とする。雄斗は1年生。投げ飛ばした相手は2年生。これは大変なことである。

しかし当の本人はどこ吹く風。


「お前、なんで言いかえさねぇんだ?なめられっぱなしで良いのかよ?」


雄斗はすぐさま女の子に声をかけた。いきなり、それも説教じみた言い方で。

少女は体をビクッと震わせて、恐る恐る声を絞り出す。


「…だって…傷つけたく…ないです…人を…だから…」


「力も無いくせに、ふざけた事を言うな。お前は…力が無いんだろ?傷つける力も無いのに、良い子ぶる

んじゃねぇ。うぜぇから」


雄斗は少しキレ気味になり、面倒になったのか、その場を立ち去ろうとした時だった。


「私、天之狭霧(あめのさぎり)と言います。あなたは?」


狭霧と名乗った女の子は、雄斗に名前を聞いた。


「お前に名乗る名前はない」


しかし、雄斗は適当にあしらう。

そして、そのまま…学校へと向かった。


雄斗はいらついていた。何故、狭霧を助けてしまったのか…考えていた。

面倒なのは嫌いだ。嫌いなんだ。人とかかわるのは。


「変わんないね、雄斗。相変わらず、女の子には優しいんだね」


雄斗の目の前に立っていたのは…前髪が眼まで掛かっている。女の子。

髪の色は白く光り、長く腰まで伸びている。胸の膨らみはやや控え目で、腰に刀を帯刀している。

すらっとした体型に控えめの胸。背筋を伸ばしてこちらに顔を向けている。


「誰だ?テメェ?」


「忘れたの?私は龍ヶ崎鈴音(りゅうがさきすずな)貴方の…」


「お姉ちゃんだよ☆」


この日から始まった…雄斗の、すべてを巻き込みながら終わりへと向かい続ける円舞曲。

始まりは出会い。終わりは別れ。その果てにあるのは……何か。


「code:0 マジュツカイロシュウフク Error サイシコウ Error 」


第1魔法~プロローグ~ END

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