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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第二章

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12 水族館に行こう⑥


 幻想から引き戻されるように、次のフロアの明かりが少しだけ現実味を帯びていた。

 そのフロアでは淡水系の魚やカエルなどの爬虫類のコーナーになっていた。


 「あら、良かったじゃないですか星羅。星羅の髪色とそっくりのカエルさんですよ」

 「アカメアマガエル……瞳の色までそっくりだな」

 「え、待って。カエルは嫌なんだけど」

 素のトーンで嫌がる星羅。


 「へー。オレンジや青もいるじゃん。なになにー。風船のように膨らませて威嚇……」

 やめとけ。寧々が本当に頬を膨らませて不満を表しているぞ?

 「そうね。青いのは見た目通り毒があるのね。毒づきやすいからそっくりじゃない」

 「でも綺麗な色してるぞ?」

 「でもカエルはちょっと」

 「ええ。ふわふわもふもふしていないのはちょっと…」

 「かわいいと思うんだけどなぁ」

 「光司のセンスは悪いと思うの」

 ここまで嫌がられるカエルさんがかわいそうだと思うんだが。


 「でもほら、五人戦隊とかやってるみたいだし」

 「おおー」

 ユイだけが若干反応した程度だ。

 ついさっきまでのやり取りが嘘のように落ち着いている。

 まぁ、淡水魚とか地味だしな。でも大きいし見応えあると思うんだが…。


 しかし、トカゲっぽいのにも反応薄いのは分かってたが、まさかウーパールーパーにまで反応薄いとは思わなんだ。

 その後、小さい魚になってやっと興味をもったみたいだ。

 ……もしかしてだけど、さっきのクラゲのところでのやり取りが後を引いているとかはないよな?

 気のせいか、少し静かすぎる気もしたんだ。


 しかし、海の魚に負けず劣らず綺麗だと思うんだよな。

 小さいけれど、アクアリウムなんかで見るのも結構いるしな。

 ……確かにこういうの見ていたら家でもやりたくなるのは分かる気がする。

 「……コージ、コージ!」

 「ん? ああ、すまんどうした?」

 ユイが袖を引っ張りながら俺を呼んでいた。気が付かなくなるほど見ていたらしい。


 「そんなに気に入ったの?」

 「まあな。でもさすがに家では出来そうにないからな」

 「そっか」

 「光司さんはアクアリウムに興味が?」

 反対側から寧々が興味深そうに見上げていた。

 「ええ。ただ魚は水の管理とか大変ですからね。……カエルとかなら」

 「ダメです」

 「え?」

 「ダメです」

 「はい」

 寧々の有無を言わせない圧に屈してしまった。ユイも苦笑いで立ち尽くすしかなかったようだ。

 

 さて、最後は…アザラシだ。

 四人とも壁にへばりつくように見ている。

 やっぱり動物の方が好きなんだな。

 だがなぜだろうか。最初見たものより反応が薄い気もする。

 その時、アザラシが四人の前へ来ると、興奮した様子でキャッキャ騒いでる。なるほど。近くに来ないとダメなのか。


 しかしアザラシさんにも申し訳ないな。こんなに目の前でいろいろサービスしてもらって。

 「コージコージ。目めっちゃおっきいよ」

 「ああそうだな」

 「あーしよりおっきい」

 そりゃそうだろ。

 「あーしもああやって水の中でぐでーってしてたい」

 「俺もしていたいよ」

 「コージ…」「光司さん」「……」

 別にいいだろ。俺だってたまには。


 「(光司)」

 星羅が小声で話しかけてきた。

 「なんだよ」

 「(朝の事思い出しますね)」

 「朝?」

 「もうニブチンですね。アザラシにのっかかられたらどうです?」

 「星羅がアザラシなのか?」

 「はぁ〜」

 盛大なため息を吐かれた。意味がわからない。


 その後、お土産コーナーへ向かうと、それぞれ気になったものを手にとって見ていた。

 ユイと寧々はキーホルダーとかイヤリング、雑貨などの小物を見ていた。

 二人は感性が似ているのかもしれない。

 「これかわいくね?」

 「ねー。迷っちゃいますよねー」

 可愛くデフォルメされているからか、どれにしようかかなり迷っているようだ。


 そんな二人に静が近寄る。抱えきれないほどのぬいぐみを抱えて……。

 「何をそんなに迷っているのですか。迷ったら全部買う。これは鉄則ですよ」

 「なるほど」

 「確かに静さんの言うことは一理ありますね」

 「あるわけないだろ?」

 「なぜですか?」

 「そういうのは気に入ったものを少しだけ買うから大切にするんだぞ? 全部買って飾っても埃かぶってたら意味ないだろ?」

 「………なるほど」

 「光司さん、お父さんみたいです」

 「はは……」


 実際、この量を買ってどこに飾るというのか。

 静は渋々といった顔で商品を戻していく。

 それぞれ名前を言いながら戻している。なんでもう名前付けてるんだよ……。


 ゆっくりとした足取りで戻っていく静。

 一体、何かを呟きながら戻す。

 ……チラッとこっちを見る。

 また一体同じように戻す。

 ……また、俺を見る。

 一体一体戻すごとに俺を見るのはやめろ。

 ……心が痛むだろ。

 しかも一体一体ゆっくりと別れを告げるようにするのもやめろ。


 最終的にカワウソとペンギンのぬいぐるみを抱えてきた。まぁ、そのくらいなら。

 うっすら瞳が潤んでいるから罪悪感が半端ない。

 ……見ていられない。思わず視線を逸らした。

 俺が視線を逸らした瞬間にユイと寧々が買っていたシリーズのキーホルダーをそっとカゴに入れたのは、黙っておいてやろう。


 そういえば星羅はどうしたんだ? トイレにでも行ったのだろうか?

 そう思っていたら、後ろからふわふわしたものを押し付けられた。

 「わっ!」

 「ふふん」

 振り返ると、ちゃっかりとカエルのぬいぐるみを持っていた。

 「ほら光司、それをわたしだと思って毎日抱いて寝なさい」

 あんなに嫌がってた紅い瞳の緑色のカエルのぬいぐるみだ。

 カエルのぬいぐるみ……。帰ってこい、か。

 それはそうとチンアナゴの抱き枕も持っているが、ホント抱き枕好きな?


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