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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第二章

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08 水族館に行こう②


 続いて、ペンギンのところへ行く。

 「あぁ〜なんてかわいいのぉ」

 キャラが壊れたかと思った。静が両頬に手を当てて叫んだ。


 「はぁはぁ」

 「ちょ、静っち落ち着いて。かわいいのは分かるから」

 「何を言っているんです? 落ち着いていられるわけないでしょう。こんなに可愛いのです。余すことなくメモリーに保存しなくては」

 ペンギン目線で、カシャカシャと連写しながら後をついていく。あれ腰痛くならないか?


 流石のペンギンもビビってどうしたらいいのか分からずに固まっている。

 ペンギンって、あんな顔するんだな……。

 「ああ、その顔もいいですね。ちゃんと保存しないと……」

 後ろにジリジリ後退して、ゆっくりした足取りで去っていく。

 「あ、待って待って」

 ペンギンに合わせてよちよち歩きで追いかける静。レアだな。

 あー、柵にぶつかるぞ?

 こういう時は星羅に止めてもらうしか…。


 「あれ、星羅は?」

 どこに行ったのだろうかと少し探すと、静同様にスマホで撮影しがらだらしない顔をしていた。

 「くぁ〜ゎあ〜い〜い〜。めちゃかわ。かわいいかわいいかわいいわ〜」

 壊れたのかと思うくらい「かわいい」しか言わないな。普段のお嬢様感はない。

 二人に挟まれたペンギンたちが顔を見合わせている。

 それを撮ろうと近づいて頭をぶつける二人。何やってんだか……。

 二人ともかわいいもの好きだしな。好きにさせとくか。


 「まぁペンギン可愛いしな」

 「だね」「ええ」

 ユイと寧々は俺の横でそんな二人をを微笑ましく見ていた。

 だが、頭上を泳ぐペンギンを見ると、ユイが俺の袖を引っ張って興奮しだした。

 「ちょ! コージコージ見て! ほら! 泳いでる! 空泳いでる!」

 「ああ。すごいなこれ」

 暫くそのまま見上げながらペンギンの泳ぐ姿を見ていた。


 寧々が俺の腕をギュッと掴んでいたが、そのまま引き寄せると小さく吐息が漏れる音がした。

 今だけはこうしていてもいいかなと。ダメかもしれないけど、寧々だって甘えたい時はあるのだから。

 俺の腕を握る力が少し柔らかくなった。


 ペンギンが遠くへ去っていくのと同時に目線を下げると星羅と静も横にいた。

 どうやら泳ぐ姿を見ていたようだ。

 そして気がつくと、頬を朱らめた寧々が少し離れた位置にいた。

 なんだろう……。ほんの少し寂しい気がした。離れなくてもいいのに。

 だが、そんなセンチメンタルな気にはさせてくれなかった。


 「あ、コージ! あーし色の鳥!」

 ユイがめちゃくちゃ興奮して俺を引っ張る。

 「分かってる。見えてるから。……あれはペリカンだぞ」

 「ペリカン!」

 空の色と水の波紋が合わり、光の反射もあってとても綺麗に見える。


 「確かに綺麗なピンク色をしているな……」

 あんなに興奮していたユイが急に静になった。

 気になりそちらを見ると、うっとりした表情をしていた。

 「……やだもう。綺麗だなんて……」

 「…いや、ペリカンが」

 「あ…。そ、そーだよね。あーしったら何を勘違いして……あははは…はぁ…………(勘違いじゃないし……)」

 「だがまぁユイの髪色も綺麗だな」

 「!? コージぃ…………」

 ここだけ春になったのかってくらい暑いんだが。


 そういえば、他の三人も静かだなと思って辺りを見回していたら居なかった。

 ユイに配慮するような性格じゃないだろうに。

 暫くそこでペンギンやペリカンを見ていたらすごすごと戻ってきた。

 一体何があったんだ? 写真撮りすぎて注意でもされたか?


 「どうしたんだそんなに落ち込んで…」

 「あ……」

 寧々が顔を上げる。どうしてそんな顔になるんだ?

 「同じ髪色の動物がいませんでした」

 静が言うと、寧々と星羅が黙って頷いた。

 「魚ならいるんじゃないか?」

 「そういうことじゃないんです」

 寧々が訴えるように言い、星羅と静が同調するようにうんうんと頷いた。


 「同じじゃ意味がないんです」

 「ええ。見つけてほしいんです」

 「?」

 何が問題なのか分からなかった。

 答えが分かるだろうかとユイに尋ねた。

 「なぁ、何が悪かったんだ?」

 「おしえなーい」

 嬉しそうな顔で言うもんだから余計に分からなくなってしまった。


 それに、四人とも違う方向から話してくるから、どれが正しいのか分からない。

 正解なんてどうでもいいはずなのに、それでも分からないままなのが、少しだけ引っかかった。

 せめて、何かヒントが欲しい。


 だが、俺がそれを聞こうとする前にちょうど訪れたカワウソのお散歩によって霧散してしまった。

 四人とも後を追うように、俺を置いてついていってしまった。

 ちょうどいい機会だ。天空を泳ぐペンギンを見上げながら、考えるとするか。


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