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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第二章

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07 水族館に行こう①


 新しくなったスマホカバーを見つめる。ピンクだ。まごうことなきピンクだ。

 ポケットに仕舞おうとして、また出して見てしまう。

 歩きスマホはよくないと言っていたのだが、じっと見つめながら歩いていた。


 「まだ慣れませんか?」

 「え? あ、あー……。そんなことないぞ。手に馴染むか見ていただけだ」

 「そういうことにしておきましょうか」

 隣を歩く静が口元に手を当て、おかしそうに微笑む。

 確かにこうして見ると、大人の女性だと思う。

 「コージ! 早く早くー」

 「なにぼーっとしてんのよ。早くしなさい」

 「走ったらダメですよー」

 俺の先を行くユイと星羅が俺を急かす。

 そしてその後を歩く寧々が注意していた。全く…落ち着きがないな。


 水族館のチケットカウンターへ着く。

 料金表を見て静が言う。

 「ふむ。中学生までなら安いんですね」

 「いや、こういうのって学生証とかないと無理だろ」

 「この見た目で安くなりませんか?」

 つい少し前まで大人の女性の見た目だから若妻だなんて言っていたのが、何をどうすれば中学生の見た目になると言うのか。

 正直こんなこと言いたくないが、スタイル良すぎて高校生はともかく、中学生には絶対に見えない。


 「どうせ俺が払うんだから別に大人料金でもいいだろ?」

 「あら、わたしのこと大人としてみてくれるのね?」

 「まー、こんなナイスバディなら仕方ないかー」

 「ふふ。では奥さんとして見て回りましょうね」

 どうしてそんなすぐに飛躍するんだ。

 まぁ、デートっていえばデートだな。


 チャットしていた時は、こうやって水族館デートするのを夢見てたが、四人を前にするとなんだろう。夢にまでみた光景なのに、手のかかる娘と来ている気分なんだよな。

 多分、淑やかさがないからなんだろうか?

 そう結論づけたところで、一人だけやけに静かだなと思って横を見ると、母親みたいな微笑みを湛えている。静も結構いろんな微笑みができるんだなぁとしげしげと見てしまった。


 「まったく。うちの娘たちは手がかかりますねぇお父さん」

 「何言ってんだ静」

 「そこは嘘でも乗ってくださいな」

 「そんなことやってるといつか寧々に刺されるぞ?」

 「……………またまたご冗談がお上手ですね」

 静の視線がほんの一瞬揺れた気がした。

 間があったのは、その可能性を考慮したんだろう。


 まぁ、こんなところで時間をとっていても仕方ない。ユイと星羅はもうカウンター前にいるからな。

 そして、寧々さんや。対抗して俺の横をキープするのはやめてくださいな。

 いつ俺の横に移動したのか全く気づかなかった。なんなら、いつ腕を組まれたのかも気が付かなかった。


 「光司さん。早くしないと娘たちが」

 「寧々さんまで……」

 「聞きました静さん? 寧々さんですって。つまりこれは正妻の証!」

 「光司。わたくしも静さん呼びに戻してください」

 「静、寧々、チケット買ってくるから」

 「少し遊びすぎましたね」

 「そうですね」

 全く……。いつまでたっても入れないじゃないか。


 そうして、五人分のチケットを買って、中へ入った。

 入ると、少しひんやりとした空気を感じた。

 入ると丁度アシカショーをやるところだったので、見ていくことにした。

 四人とも早速スマホを構えて撮りだした。

 「はえ〜。頭いいねー」

 「ホントですねー。それにしてもよくあんなに動けますね」

 「いっぱい覚えたんだねー」

 「訓練された個体、ですか」

 「静言い方…」

 「あ、すいません。つい」

 「そーだよ。ちゃんと頑張って覚えたんだよきっと」

 「ミスっても怒られないもんね」

 「そうですね。ええ…。確かに嫌ならばあんな風には動かないでしょうね」

 「……………」


 アシカさんを見て何か思うところがあったんだろうか。もう少し素直に見ればいいと思うんだが。

 だが、それも杞憂だったのか、アシカさんのパフォーマンスを見続けていると、四人が笑顔になっていった。

 いろいろ思うところはあるだろうが、今だけは忘れていてほしいと思った。

 彼女たちが笑っていられるように、俺は何をするべきだろうか——


 アシカさんのショーが終わり、アシカさんがお辞儀すると四人もペコリとお辞儀した。

 続いてカワウソを見て、四人が一斉に「かわいい〜〜」と叫んだ。

 まぁわかる。あの愛くるしい姿はずっと見ていられるからな。


 「なんか、カワウソって寧々に顔似てない?」

 「あー、なんかわかるかも」

 「ふふっ。つまり愛くるしくてかわいいってことですね」

 「いえ、雰囲気のことかと」

 「つまりかわいいってことですね?」

 圧がすごい。

 だが、他の三人は、いつの間にか写真を撮る側に回っていた。

 俺に押し付けるなよ。

 「光司さんもそう思いますよね?」

 「はは…。まぁ、確かに似てますね。でもあんなに無防備じゃないでしょ?」

 「えへへ。そうですよ。いっぱい考えてますよ」


 寧々とそうしてカワウソを見ていると、星羅がすっと横に来て聞いてきた。

 「うちで飼えない?」

 「無理だろ」

 「そっかー……」

 星羅的には何か琴線に触れるところがあったのだろう。

 「ねぇ静」

 「なんですか?」

 「カワウソの着ぐるみないの?」

 「探しておきます」

 こういうところの連携は素早いんだよなぁ。


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