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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第二章

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03 そこは異世界への入り口のようで


 早速出かける準備をしたのだが、四人ともバッチリ決まっている。

 これ、歩いてたらスカウトされるんじゃないだろうか?

 だが、うちの娘たちをそんなところになんてやれないな。


 とまぁ、冗談はさて置き、四人ともそれぞれ買ったコートを着ている。

 マジでオシャレだな。


 ユイは白いニットコートを。やっぱり買っていたんだな。


 寧々は、マスタードイエローのダッフルコート。


 星羅は昨日と同様にボルドーのカープコート。


 静は、ダークブラウンのピーコート。


 そして俺は星羅がパジャマ代わりにしていたコートだ。なぜかシワはついていなかったが、代わりに星羅の香りがついていた。落ち着かない。


 昨日と同じようなルートを通り、豊島区役所へ行く。

 考えてなかったが、戸籍ってそう簡単に取れるんだろか。


 そう思って入り、職員に尋ねるとどうやらこういったケースの担当窓口は地下二階にあるそうだ。

 なぜ、地下二階?

 不思議に思いながらも指示に従いエレベーターに乗る。

 エレベーターに乗る前にやたらコスプレした人がいたな。土地柄仕方ないんだろうが、区役所もアレで来るとか猛者だろ。

 しかし見た目とか雰囲気とかガチなのがなんとも。


 そして降りると、件の窓口まで少し距離があった。

 どうして、こんなに距離をとっているのだろうか? 不思議だ。

 柱や床には焦げた後や欠けた後がある……。

 まだ少し焦げ臭い。

 エレベーターの横には謎のカケラが落ちている。何だこれ? 何の素材なんだこれ……。

 それに少し薄暗い。本当にここなんだろうか?


 少し歩いて窓口へ向かうと、チラッと俺たちを見上げる女性職員。

 愛想笑いの一つもない仏頂面だ。俺とそんなに歳も変わらないだろうに、表情のせいでより老けてみえる。

 そんな事を思っていたら、ジロリと睨まれた。

 まさか、心を読まれたりしてないよな。


 戸惑っていると、別のにこやかな、紫がかった銀髪の外国人風の女性が椅子を出してくれた。

 こんな大勢でこないからだろう。椅子は二脚しか置いてなかったからだ。

 それはそうと、なぜこの女性はゴスロリなんだろうか。役場の人間って服装自由なんだろうか?

 よく見たら、奥で寝そべってゲームしてる金髪の女性もいた。いや、少女と言った方がいいのだろうか。ピンクのダボダボのパーカーにダボダボのジャージだ。


 「あなたが保護者ですか?」

 なぜ来たのかとか、どういったご要望とは聞かれなかった。

 そもそも、ここが何の課なのかすら分からない。プレートも掲げられてないし…。

 キョロキョロしてると、再度同じ質問をされたので、そのまま素の反応をしてしまった。

 「あ、はい」

 「免許証かマイナンバーカードありますか?」

 「あ、はい」

 「そちらの四人のお世話をしている。間違いありませんか?」

 「あ、はい」

 俺さっきから「あ、はい」しか言ってないな。だって淡々と進むんだもん。


 しかし、こういったことが多いのか、かなり事務的だ。

 慣れているというより、めんどくさいという感じがする。

 「では、こちらの書類に必要事項を記入して下さい」

 「あ、はい」

 渡された用紙に書いていく。

 そこで、気になる箇所が何箇所かある。

 名前や住所はいいとして、問題は年齢だな。女子高生に見えるが一体何歳なんだ?


 「なぁ、お前達、歳はいくつなんだ?」

 この女性の話し方が移ったのか、補導する警察官みたいな喋り方になってしまった。

 「は。警部殿。あーしは十五歳の設定であります」

 ノリがいいな。しかし、十五歳か。高校一年生…入学前か?

 「あたしも同じです」

 「わたしもよ」

 「わたくしも同じです」

 静さんのそれは十五歳は無理あるでしょうよ。

 そう思っていたら、凍てつくような微笑みをされた。地下だからかより寒くなる。コートを着ていて良かった。


 「でも作ったのはこの前だからゼロ歳?」

 「赤ちゃんですね」

 「じゃあゼロ歳っと」

 「ちょっと待つし!」「待ってください!」「待ちなさい!」

 ユイと寧々と星羅が慌てて止める。

 慌てるな、まだ書いてないから。

 そんな中、静がまたぞろ爆弾を投下する。

 「なんです? 授乳プレイでもしたいんですか?」

 「お前、赤ちゃんに対してそう思ってるんか?」

 「わたくしが赤ちゃんに見えますか?」

 「くっ…ふふ…。くふっ…」

 堪えきれないといった失笑が聞こえた。

 肩を震わせながら笑っている。


 「あー、おもしろー。あんた達最高ね。……ねぇあんた連絡先教えなさいよ。飲みに行きましょ」

 「ちょ、タメだし!」「誰の許可を得てやってるんですか!」「あ、あたし以外の女性はダメですー」「規約に違反しております。今なら修正は可能ですよ」

 四人が同時に静止してくる。特にユイと寧々は、俺の両サイドから身を乗り出して抗議している。

 ゴスロリの少女は顔の前で両手を握ってオロオロしている。


 「ますます面白いわ。交換しないと戸籍作らないわよ」

 それは越権行為なのでは?

 まぁ、俺も構わないといえば構わないのだが。

 そんな時さっきまでゲームをしていたツインテールの少女が真後ろに立っており、思いっきり脳天にチョップした。

 それはとても美しい軌跡を描いており、光のエフェクトさえ見えた。


 「いった。何すんのよ」

 「頼子が飲みにいったら、わたしのご飯どうすんのよ」

 「自分で作りなさいよ」

 「はわわわわ」

 しかし、そんな一撃を喰らってもさする程度とは、役所の人間って打たれ強いんだな。

 しかし、あの二人はうちの寧々と星羅に少し似ている気がする。


 残りの箇所は俺が書いてもいいんたが、自分達で書くと言い出したので、任せる事にした。

 ゴスロリの少女が隣のカウンターを案内して、そこで書き始めた。変な事書かなければいいのだが……。

 しかし、あのツインテールの少女は怠けすぎだろ。もう元の位置に戻ってる。

 マジでなんなんだここは…。


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