表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/46

02 二日目の始まり


 コーヒーも飲みきり、テレビでも付けようかなと思った時、寝室の引き戸が勢いよく開けられた。

 そこから寧々が眠そうな目を擦りながら出てきた。

 そして未だ優雅にお嬢様をしている星羅の頭にチョップを食らわせた。

 意外だ。寧々はそういうことするタイプだとは思わなかったからだ。

 「あだっ」

 お嬢様らしからぬ、潰れたカエルのような声を出して振り返る星羅。


 「ちょっと何すんのよ」

 「全く。抜け駆けするにしても早すぎます」

 「べ、別にコーヒーを淹れてもらっただけよ」

 「本当ですかぁ?」

 星羅の横に素早く移動して座る寧々。前かがみで鼻と鼻がつきそうな距離だ。


 「嘘をついてそうな気がします」

 「そんなことないわよ。ねぇ、光司?」

 「ん? あ、あぁ……そうだな」

 「光司さん本当ですか?」

 「ほ、本当だぞ」

 未だ疑うような顔をしている。昨日の今日だから無理もない。

 それに俺もとぼけておかないと後々面倒だと判断したからだ。もっとも、上手く躱せた自信はない。


 「と、ところで静とユイはまだ寝てるのか?」

 「静さんは起きてますよ。私より先に」

 じゃあなんで起きてこないんだ?

 「なんかあったのか?」

 「唯さんががっちり抱きしめているので、抜け出せないみたいです」

 それを聞いたからか、微かに「だ、誰か…」と静の助けを求める声が聞こえた。

 静でも振りほどけないほど、ユイの抱きつきは強いのか。


 「いいのか?」

 何を? と言わなくても通じたようだ。

 「はい。先にコーヒーをいただきたいです」

 それは朝日よりも眩しい笑顔だった。

 結局、寧々のコーヒーを淹れている時の匂いで起きたのか、寝癖が凄いことになっているユイと筋肉痛の翌日のような状態の静が寝室から出てきた。

 完璧美人ってこんなにもげんなりとした顔できるのかとまじまじと見つめてしまった。


 「お。いい匂い。おはよーコージ」

 「そ…そうですね。いたた…おはよう…ございます」

 「あ、あたし言い忘れてました。おはようございます光司さん」

 「あぁ、おはよう」

 ユイと静がソファに座ると同時に三つマグカップを置いた。

 「昨夜も思いましたが、よくそんなタイミングよく出せますね」

 「コージは時間を操れる人だった!?」

 「感覚で分かるんだよ」

 仕事をしていたら、大体身につくもんだ。尤も、仕事しないで残ってる奴らには無理だがな。


 さて、奴らの顔を思い出すより、目の前の彼女たちだな。

 この光景を目にしても、やはり現実なんだなと。事実は小説よりも奇なりとはよく言ったものだ。

 先ほど付けようと思ったテレビを付けると、ニュースをやっていた。

 昨日の空港閉鎖や道路の渋滞に関しては一分程度流れる程度で、関心はどこぞの芸能人の結婚や動物園で赤ちゃんが産まれたとかのニュースに時間を割かれていた。


 どうやら一日で事件の重要度は大分下がったようだ。

 まぁ詳細も分からず、進展もなければそうなるだろう。

 ユイと寧々はテレビに映る動物の赤ちゃんに釘付けだ。

 そして静は星羅と何やら目でやり合っていた。星羅、バレてるみたいだぞ?

 しかし、うさぎさんの着ぐるみを着ている時点で静に迫力は一切ないんだがな。

 コーヒーを飲むたびにかぶった部分の耳が揺れている。一体どうなってるんだ?


 しかし、毎日膨大な量のニュースの流れる国だが、あんな事があったのに、こうも扱いが小さくなるとは意外だ。何かしたようにも思えないし。

 まぁ、面倒ごとに巻き込まれないと考えれば、それでいいだろうと思考を打ち切った。


 そういえば、昨日頼んだものは今日届くのだろうかと配送状況を確認すると、昨日の件で発送に遅延が発生していて、まだ出荷されていないらしい。嫌でも引き戻されてしまった。

 まぁ、今日届かないのなら、先ほど考えていたことと、昨日の約束を果たすべきだろう。


 そんなことを考えていたら、ユイから一つおねだりをされた。

 「あ、コージ、あのさ」

 「ん? どうした」

 「その…。なんというか、買って欲しいものがあるんだよね」

 昨日なら、勝手にカゴに放り込んでいたのに、ちゃんとお伺い立てるようになるなんて…。

 その進歩に心が温かくなってしまった。いいぞ。なんでも買ってやろう。だが、高いものは無しな?


 「何が欲しいんだ?」

 「「「「スマホ」」」」

 まさか四人から同時にそう言われるとは思っていなかった。

 示し合わせたように同時に言うということは、昨夜練習でもしていたのか?

 だが、まぁ確かに必要だな。持たせていた方が安心だしな。連絡手段が無いのは困るからな。

 本当なら昨日、俺が買って与えるべきものだったのだろう。

 じゃあ、区役所行った後に買いに行こうか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ