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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第一章

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29 かけひき


 その後、締めにうどんを食べた後───

 「ねーコージ」

 「どうしたユイ?」

 食器を流しへ持っていってる時にユイがお腹をさすりながら言う。

 「美味しかった。やっぱコージ料理上手だよね、いいお嫁さんになれるよ」

 「はは。そうか。ありがとな」

 お婿さんじゃなくてお嫁さんか。

 そしてそのユイの発言に他三人もうずうずし始める。

 「そうですね。行き遅れたらもらってあげても……って、もう行き遅れてますね。ここはわたしが……」

 「何いってるんですか星羅! ここはあたしです」

 「落ち着いてください。どう考えても私が養うべきでしょう」

 「「「それはない」」」

 「!?」

 全く。あんだけ食べた後によくこんだけ動けるよ。羨ましい限りだわ。


 「あ、そうだ。お風呂沸いてるから入ってきていいぞ」

 「お風呂?」

 あー……。お風呂の入り方分かんない感じか……。

 「使い方教えるよ」

 知識で知っていても、どうやるのか分かんない場合もあるからな。

 そのまま浴室へ行くが、静かなのでカルガモの親子みたいだ。まぁ、浴室見に行くだけで、そんなに騒ぐこともないか。


 「……で、こっちに引くとシャワーな? ここで温度調整もできるし」

 「そんくらい分かってるし」

 「じゃあ、なんで分かるって言わなかったんだよ」

 「特殊な機能がついてるかと」

 「特殊ってなんだよ」

 「ジャグジーとかライトアップとかですよ。何を想像してたんですかねー、いやらしいっ」

 自分から振ったんだろうに。まぁいいや。星羅は何言ってもそっちに持ってこうとして自爆するからな。

 その証拠に朱い顔で目を閉じ、恥ずかしそうに上を向いている。そんなんなるなら言わなきゃいいのに。


 「じゃあ、一人だと時間かかりそうですから二人で入った方がいいですね」

 寧々さんがそう提案すると、他のみんなも同じ事考えてたのか素直に頷いた。

 「じゃあどうする?」

 「わたしと寧々は後でいいわよ。ね?」

 「はい。先にゆっくりしてきてください」

 「……そう言うのなら、先に入りましょうか唯」

 「そだね。あ、買ってきた入浴剤入れよ?」

 「ええ。そうしましょう」

 「なんかウキウキしてるね」

 「もちろんです。で、どれを入れるんです?」

 いつもは理論だの、構造だの、概念だの言うのに、今回はそんなの一切ない。


 「濁り湯の方がいいですよね。桜山か猿倉。塩原も捨てがたい。あー、でも泡風呂になるのも捨てがたい」

 氷の女神は温泉好きだった?

 ユイが引くくらい浮かれている。意外な一面だ。

 「ちょっと、後がつかえるから早く入って来てよ。あ、わたしは薔薇の花弁のやつがいいわ」

 「薔薇って入れすぎると臭いんですよね」

 「……」

 何故か黙る星羅。


 「ほらほら、早く入って来ちゃいなさいよ。そんな迷ってるなら全部入れたら? どうせ全部同じでしょ!」

 「なんてことを言うんですか。それぞれに色や香りが違うのです。ドリンクバーで訳のわからない飲み物を作るのとは違うのですよ」

 「あー、はいはい。分かったから。早くしないと唯がバスボム持ってるからそっちになるわよー」

 「ぬ! それはいけません。唯、待ってください」

 賑やかだなぁ。掃除がめんどくさくなければ何入れたっていいのに。


 浴室からはまだ決めかねてる声が漏れ聞こえる。

 「こっちの炭酸ガスのも凄いって」

 「確かに温まりますが、最初のシュワシュワはわたくしが感じたい」

 「でも、お湯に溶けた後の方が効果あるんだよ?」

 「それでもです。あー、でもこちらも捨てがたい」

 普段と逆だな。静のお風呂に対するこだわりすごいな。


 やっと静かになったな。入浴剤に気を取られてたが、着替えはちゃんと持っていってるだろうな?

 確認しに行くべきか? いや、下手に行って鉢合わせしたらめんどくさい。

 何かあれば寧々と星羅がなんとかするだろう。


 俺は水に浸しておいた鍋や食器を洗おうとスポンジに洗剤を付けた。

 その時、寧々が俺の隣に来た。

 「お手伝いしますよ」

 「そうですか? じゃあ洗ったのをゆすいで、そっちのカゴに入れてってください。あ、鍋は重いので俺がやるから大丈夫ですよ」

 「分かりました」

 そんな様子を星羅はテーブルに両肘を突き、組んだ両手の上に顎を預けて、満足げに眺めていた。

 そして、そんな寧々が洗い物の途中で、ふと星羅の方を見て微笑む。


 「どうした星羅?」

 「ん? 別にぃ何でもぉ……」

 「何だよその含みのある言い方は……」

 「いや、いい感じだなと思ってさ」

 ふと横を見ると、寧々さんが外方を向いて朱くなっていた。

 なるほどな。姉妹といったところか。

 「別に星羅が手伝ってくれてもいいんだぞ」

 「そうね。考えておくわ」

 「別に無理しなくてもいいですよ星羅」

 「ほら、寧々もこういってることだしぃ?」

 「じゃあ手伝ってくれたお礼に寧々さんには、デザートとして何か果物でも剥きましょうか」

 「あっ、ちょっ! わたしも食べるわよ!」

 「手伝ってくれないのに?」

 「皿くらいは持っていくわよ」

 星羅も変に肩肘張らないで素直になってもいいのにな。


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