27 予定変更
「こんな素敵なプレゼント貰っちゃったら、コージに下着見せるのできないね」
ん?
「そうですね。せっかく買った下着を見てもらおうと張り切ってましたが、そんな気なくなってしまいました」
待て待て。なんて?
「この雰囲気をぶち壊すほど、わたし達も空気読めないわけじゃないですしね」
「お前らそんなことしようとしていたのか?」
ユイは堂々と。星羅は余裕の表情をしていた。イタズラを仕掛ける側の顔をしているな。
それに対して寧々が顔を朱らめて俯く。ガチで照れているようだ。
「や、冗談だって、冗談」
「そ、そうね。やだなぁもう。光司ったらそんなに見たかったのー?」
「いや、やろうとしたら全力で止めたぞ? もっと恥じらいを持たないとダメだろ?」
「そ、そうですよね…はうぅ…」
そんな中で静が一人だけ静かなのが気になる。
「別にわたくし達全員が逐一着替えて見せる必要もないでしょう。洗濯も大変ですし。ここは一つ一つ手にとって見てもらうのが…」
「はいはーい。静っち、そこまでだよー」
「ええ。悪ふざけもそこまでいくと笑えませんよー」
「いえ、わたくしは本気で…」
「ダメです静さん。エッチなのはよくないと思います」
「下着のどこがエッチだと…」
そんなことを言いながら、寝室の方に引きづられていく静。
「合理的提案なのですが……」
本気なのか冗談なのか判断がつかない。
最後まで静だけぶつぶつ言っていた。
チャットの時も三人は結構冗談めいたことを言っていたし、静だけは本気で話してきていたしな。
………。
寝室の方にわざわざ入っていくこともないだろう。
紙袋やケースなどを片付けてる。
そして、やることもないので、お風呂を入れて夕飯の準備を始めたのだった。
寧々や静。あと、星羅の言っていた豪華な食事を作ってもいいのだが、如何せん材料がない。
ユイはおにぎり以外で何が食べたいのだろうか?
聞きに行きたいが、あそこに入るのは躊躇われた。
冷蔵庫やラックの中の食材を見回していく。
「寒いから鍋にするかな…」
これならすぐに出来るし、食べる量も好きに出来るからな。
一応、食材は多めに用意しておいて……。
問題は何鍋にするかだ。
材料的には、ちゃんこ、寄せ鍋、水炊き、鳥すき、しゃぶしゃぶ、チゲ、キムチ鍋とかいろいろ出来るが…。
聞いてこようかな…。
「なぁ、夕飯鍋にしようと思うんだけど」
よかった…。着替えてたらどうしようかと思ってた。
どうやら紙袋を移動していたようだ。
そして俺を見て紙袋から何か取り出そうとする静とそれを制止する寧々。
「なべ?」
ユイがコテンと小首を傾げる。かわいいな、もう。…ってそうじゃない。
「ああ。何鍋にしようかと思ってな」
「わたくしはきりたんぽかみぞれ鍋か…悩みますね…」
ふむふむ。静はきりたんぽ鍋かみぞれ鍋、と。
「あ、きりたんぽいいですね。でも豆乳鍋もすてがたいですね」
寧々はきりたんぽか豆乳鍋。きりたんぽが二票か。
「ふーん。あーしは…キムチ……チーズ! キムチチーズか痛風鍋!」
却下。キムチチーズはいいとして、痛風鍋なんて却下だ却下。そもそも材料がない。
「でしたらわたしはすき焼きですね。もちろん最高級の和牛で。あぁでもみぞれ鍋も捨てがたい…」
みぞれ鍋も二票……っと。
これはもういろんな具材を入れた寄せ鍋でいいな。うんそうしよう。これ以上意見聞いていたら収集つかなくなりそうだ。聞かなかった事にしよう。
「それでしたら、わたくしふぐちりを…」
「いや、ここはチーズフォンデュっしょ」
「私の瞳の色そっくりのトマト麻辣鍋なんていかがかしら?」
「だったらあたしの髪色そっくりのかぼちゃ豆乳鍋もいいと思います!」
ほらな。こうなったよ。
四人が向かい合って、あーだこーだ言ってる間に退散する。
そもそもきりたんぽないしな。ちなみに俺はちくわぶ入れるのが好きだ。残念ながら切らしているが……。
台所へ戻ると、まだやっているのか話し声が漏れ聞こえてくる。
「えーいいじゃん、痛風鍋。名前からして美味しそーじゃん」
「いいえ。ここは薬膳火鍋にするべきです」
「まだやってる。というかそんな材料普通のご家庭にはありません。ったく……ふっ……ふふっ……」
自然と笑みがこぼれてしまった。
俺こういうの求めてたんだろうな。
さて、箸休め的なものも作るか。
彼女達が片付けている間にいろいろと作っていく。
いつも以上に手早くなるのはきっと楽しいからだろう。
好きなものはなんだろうか。食べられないものはなんだろうか。
それをこれから知っていくのはとても楽しい。
さて、そろそろ煮える頃だな。呼んでくるか。




