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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第一章

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23/46

23 忘れてた


 マンションの前に着き、タクシーから荷物を下ろす。

 なぜか四人とも率先して荷物を持ってくれた。

 何かあったのだろうか?

 だがまぁこの荷物で部屋まで行くのは大変だからな。助かる。


 そして、鍵を開けて中に入り、荷物を下ろした段階で思い出した。

 布団を買っていないことに。

 これから四人はうちに住むことになるんだよな…。

 こんな寒い日が続く中で布団も毛布も無しで寝るなんてありえないだろう。


 スマホを取り出し時間を見る。

 ヨドバシもビックも当日便の締め切りを余裕で過ぎている。

 仕方ない。ご飯を食べ終わった後に買いに行こう。

 心配なのは、四人を家に残していくことだ。

 物色されても困らないが、火でも使われたら危ない。

 さて、まずはご要望通り、お米炊きますか。


 ご飯を炊いてる間に、だし巻き卵と味噌汁。あと、具に入れるものを用意する。

 ユイのご希望通り、梅干しは用意して…。

 「なぁ、何個食べる? というか何個食べられるんだ?」

 「よっつー」

 ユイが手で四を示していた。お雑煮のお餅何個食べるのノリで聞いてしまった。

 寧々さんも恥ずかしそうに指を四つ立てていた。

 星羅と静は足りないと言った顔をする。でも今食べすぎると夕飯入らなくなるぞ?

 星羅と静は若干大きめに作れば問題ないだろう。他二人は小さめで。


 シャケを焼いて、オカカを作って、ツナマヨも和える。これに梅干しで十分だろう。

 「あ、あーしセイコマのベーコンおかかがいいな」

 「残念。うちは今ベーコン切らしてるんだ」

 「じゃあチーズおかかはどうですか?」

 「カマンベールチーズなんてそうそうないですよ」

 「そうですかー……」

 別に普通のおかかでも美味しいじゃないか!

 見てろよ。美味しいって言わせてやるからな。


 さて、味噌汁だが、何があったかな。

 冷蔵庫の中を見る。小松菜と油揚げがあるね。これでいっか。

 刻んで入れて、出汁入れるだけだからな。

 鰹節から取っていたら三十分はかかる。さすがにやらない。


 俺が料理している横で寧々が興味深そうに、覚えるように見ていた。

 ユイは口を半開きにしてキッチンカウンターの向こう側から上半身を預けて眺めていた。

 星羅と静はソファに座って買ってきたものをチェックしていた。

 性格が出るね。

 「よくそんな綺麗に巻けますね」

 だし巻き卵を作っていると、興奮した様子で寧々が問う。

 「まぁ、慣れですね」

 「私も出来ますかね」

 「出来ますよ」

 俺を見上げる寧々。その顔はずるい。


 そんな事を思っていたら、ユイがさらに乗り出してきた。

 「ねぇ、あーし、おにぎり作ってみたいんだけど」

 「いいですね。私もです」

 「別に構わないが、熱いぞ?」

 「へーきへーき。やり方知ってるし」

 知ってても見るとやるとでは違うんだがな。まぁ、いろいろと経験するのもいいだろう。


 こうして見て体験して覚えていくのも大事だし、面白いだろう。

 火傷しないよう見ていれば大丈夫かな。

 気がつくと、寧々の後ろに星羅と静が立っていた。

 「どうした?」

 「わたしも作ってみたいんだけど」

 「ええ。興味深いですしね」

 

 料理が完成し、テーブルに配膳していく。

 といってもおにぎりの乗った皿と味噌汁とだし巻き卵の乗った皿を置くだけなんだけどね。

 俺が作ったおにぎりはそれぞれ四つだが、考慮して小さめに作った。


 そして、四人がそれぞれ一個ずつおにぎりを作ったのだが、そのおにぎりは非常に個性が出ていた。

 「「「「「いただきます」」」」」

 俺が作ったおにぎりを頬張り、味噌汁をすすって、それぞれ嬉しそうにしている。


 …いいな、こういうの。


 てっきり静はあれこれ批評するのかと思ったが、静かに頷くにとどまっている。

 では、俺も食べようか。

 その瞬間、一斉に視線が集まる。

 まぁ、無理もない。自分たちの作ったおにぎりだ。気にはなるだろうね。


 まずは、ユイが作ったであろうおにぎりだ。

 見た目は普通だが、海苔は巻いてない。少し丸みがある形だ。

 具の入っているであろうところが黒いんだが、そんな具あっただろうか。

 おかかにしては固形物感がある。

 一口頬張る。

 「!?」

 「どう? 美味しいっしょ」

 「ちょ、ちょっと待て。何を入れた…」

 「え。チョコだけど? 甘くていい感じでしょ?」

 そんなわけあるか。おにぎりにチョコって何考えてるんだ。

 「や、ほら。ライスチョコってあるじゃん」

 あれはチョコの中にご飯が入ってるんじゃないんだが…。

 「…美味しくなかった?」

 そんな顔するなよ。まぁ、これはこれで塩も効いてるから……うん。……効いてるよな?


 ユイを悲しませるのは違うなと思って、一息に食べる。そして、そのまま味噌汁をすする。

 「ちょ、そんな慌てて食べなくても大丈夫だからー」

 いや、喉が通行を許可しなかったんだ。

 三人が横を向いて震えている。

 「いや、上手くて、つい…な」

 星羅が、振り向き目を見開いている。そんなに気になるなら食べたらいい。きっと震えなんてしないさ。

 「しかし、よくチョコなんてあったな」

 「うん。星羅にもらったー」

 チョコなんて買ってないんだが…。もしかして、ここに来る前になんか買って食べたんだろうな。

 きっとその残りなんだろうな。でなければそんな目を泳がせる必要ないもんな。

 なぁ、星羅?


 次はそんな星羅のおにぎりだ。

 これまたすごいな。まん丸のでっかいおにぎりだ。海苔はない。

 「ほら、早く食べて」

 「あ、あぁ」

 さっきのチョコおにぎりで少し気分がアレなんだが、まぁ口直しにはいいだろう…。

 「これ、何も入ってないんだな」

 「あ、入れ忘れた」

 そうだな。さらに言えば塩もついてない。元々のコメが最高に美味いから構わないが、握り過ぎなんだよなぁ…。米の団結力を試してるんじゃないだろうな?

 「ゲフンゲフン。そ、それは愛という名の具を入れたからよ。ふんっ」

 ゲフンゲフンなんて今日日いわないぞ?

 それに、そんな顔真っ赤にするくらいなら言わない方がいいのに。

 まぁ、美味しいのに変わりはないがな。


 次は寧々のおにぎりだ。

 これまた何と言うか…。

 「ハート型…」

 「はい。私の愛情たっぷりですよ。唯さんが言ってましたもの。甘酸っぱい恋の味って」

 「………美味しいです」

 「よかったぁ」

 いや、美味しいのよホント。でも三人からの視線が痛くていたたまれない。


 最後は静のおにぎりだ。

 「これまたすごいな…」

 「えぇ。当然です」

 コンビニで売ってるおにぎりそのままんまじゃないか。

 よくこんな綺麗に完璧な形を作れたね。どうやったのか普通に気になる。

 「うん。美味い」

 「当然です」

 マジでコンビニのおにぎり感がある。でもほんの少しこっちのが上だな。


 しかし、おにぎり四つって結構量あるな。

 四人のは小さめにしたんだが、星羅の作ったおにぎりがでかすぎたんだ。あれで三個分くらいあっただろう。


 しばらく動けそうにないな。

 でも早めに行かないといけないわけで。まぁ腹ごなしにはなるかな。

 片付けも早々に、再び出かけようとテーブルの上に置いた財布をとった。


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