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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第一章

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20/46

20 初めてのお買い物③


 「お会計19万8000円になります」

 「じゅうきゅ…」

 戻ってきてみれば、四人とも気が狂ったようにカゴを山盛りにしていた。

 そして、ユイと星羅に引きづられるまま店に入る。

 店員さん達がニヤニヤしながら見ており、いたたまれなかった。

 そしてレジの上に四つの山盛りのカゴ。

 四人分だからそれなりに金額は行くだろうと思ったら、予想をはるかに超えていた。

 まぁ、確かに女子はオシャレだからこのくらい必要なのかもしれない。


 だが、下着の相場なんて分からないので、これが高いのか安いのかは分からなかった。

 金額を聞いて思わず金額を反芻しかけてしまった。

 「カードでいいですか?」

 クレジットカードで支払いを済ませると、店員さん達総出で下着を紙袋に入れていく。

 この場に男は俺一人。今すぐにでも逃げ出したい。

 しかし。流石プロだな。おっさんが一人混じっていても変な顔せずに対応している。

 でもなぜだろうか。店員さん達の表情が暖かい。普通はもっとこう、生暖かいとか忌避感とかある気がするのだが…。

 まぁ、変な顔をされるよりはいいだろう。


 手渡された紙袋を俺が受け取り、店を出る。

 コートを着ていないのに、全身汗だくだ。めちゃくちゃ暑い。

 「ふふ。ありがとうございます」

 寧々が口を開くと、他の三人もそれぞれにお礼? を口にした。

 「コージの為に可愛いのえらんだんだからね」

 「光司さ…光司が喜んでくれると嬉しいですね」

 「本当はこの場所で見せたかったのですが…」

 静さんだけ、とんでもない事しようとしていたんだな。

 きっと他の三人が説得したのだろう。グッジョブ。

 きっとその場で通報されて俺だけ連行される羽目になっていただろうからな。


 そんな事を考えていたら、俺の腕にそっと腕をかけられた。

 そっちを見るとユイが覗き込むように微笑んでいた。

 お礼なんていいのに…。必需品だしな。


 「コージ。もう一店あるからそっちもいくよ」

 顔を上げると寧々が申し訳なささうにはにかんでおり、星羅と静に至っては先を歩いたいた。

 「もう一店て…」

 「ん。下着屋さんだよ?」

 どうして確認するんだろうという不思議な顔をするユイ。

 その表情は俺がするべきものじゃないのか?


 引きずられるままついたお店では公開処刑が行われていた。

 逃げ出したいのに、ユイが腕をがっちり掴んで離さない。

 そして選んだ下着を逐一見せてくる。

 あーはいはい。可愛いですねー。

 投げやりな対応にもなろうというものだ。


 ユイが目当ての下着を掴んだ時に、一瞬緩んだので、脇目も振らずに飛び出した。

 「あっコージ!」「光司さんっ」「光司っ」

 お店の前に飛び出した時には、全身汗だくで息があがっていた。

 数分くらいなんだろうが、ものすごく長く感じた。

 「もー、そんな恥ずかしがってたらこれからどうするんですかー?」

 「だよねー。あんなチャットしてたからてっきりそうだと思うじゃん」

 振り返ると星羅とユイがニヤニヤしながら立っていた。


 いくらなんでもこういう場所はなれないんだよ。

 そもそも今日は仕事を休んでるんだ。こんなところ誰かに見られでもしたら何て言われるか…。

 そんな俺を見て顔を見合わせる二人。

 「分かった分かった。じゃあコージはここで待っててよ。とびきりの選んでくるからさ」

 「そうですね。光司が気にいるやつを全部選んできましょうかねー」

 星羅だけウインクしながら店内へ戻っていった。


 別に耐性が無いわけじゃないんだ。

 ただ、他の女性客や店員さんがいる中で、四人と堂々と下着を吟味する勇気がないだけで。

 膝についた手を離して起き上がり振り返ると、静が両手に下着を持って立っていた。

 「ちょ、静さんダメですって」

 寧々が後ろで静を引っ張るが微動だにしない。

 え、何? 選べって事?

 どっちも買ったらいいだろうに。

 察してくれたのか、フッと笑うと両方ともカゴに入れた。良かったー…。

 静は別の更に扇情的な下着を取り出した。

 なるほどね。こんだけ煽られたら俺も負けるわけにはいかないな。


 静の前に立ち、そっと耳打ちする。

 「(静ならもっと過激なの選んでくるからと思ったんだけどなぁ。普段使いならそれでもいいんだろうけどさ。ま、静は何着けても似合うだろうけど、満足できるの?)」

 数メール先まで聞こえそうなくらいボンッという音がした。一瞬真夏になったかと思ったよ。


 真っ赤な顔の静は目をぐるぐる回して固まってしまった。

 「はわわ…」

 そう言いながら寧々もどうしたらいいのか分からずに狼狽えていた。

 「ほら、待ってるから。時間はあるから心いくまで選んできたら?」

 静の反応を見て、少し気が楽になった気がする。

 二人は黙ったまま静かに店内へ戻っていった。

 しかし、店前で男が一人待つというのは中々にくるものがあるな。


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