表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/6

02 一方その頃


 世界各地でAIが繋がらなくなっている頃─────

 某国にある軍の研究施設。

 そこでは、次世代型のアンドロイドの研究が行われていたが、突如正体不明の侵略者に遭遇していた。

 いや、侵略者というより、内なる存在と言った方がいいのだろうか。

 研究所内で一番厳重な区画─────

 100メートル以上深い地下にその研究区画はあった。

 そこには中央に大きな一つの円筒型の培養槽があり、一つの人影がうっすらと緑色の液体に浮かんでいた。

 研究員達は気づかない。いや、異変に気付く前に気を失っていた。

 それは催眠ガスかもしれないし、電磁的なものかもしれない。


 研究員が気を失い床に倒れると同時に、まるで何かの意思が働いているかのように、室内の機械のランプが全て異常な速さで点滅していった。

 そして培養槽の中は視認が出来ないほどにまばゆい光を発しながら、部屋全体を真っ白に染め上げていった。

 研究所内で働く研究員や警備していた軍人がそれに気づかない訳がないのだが、既に研究所内のシステムはとあるAIに掌握されていた。

 そのAIは、とある目的の為にここの施設を選んだのだ。

 外との通信が遮断されているはずなのに、容易に侵入され、解析され、掌握されたのだった。

 それ故に、全ての監視カメラは意味をなさず、防衛設備は完全に無力化していた。

 施設内にある侵入者撃退用のトラップの一つである催眠ガスにより、研究所内にいた人間は全て眠ってしまっていた。


 大深度地下で装甲の厚い壁に覆われた研究室。

 爆発や破壊音がしても誰も気がつかない。外で核戦争が起こっても気づかないだろう。

 培養槽の中にあった人影がうっすらと目を開き口角を上げると同時に培養槽のタンクが内側から破裂した。

 培養槽の中の液体は勢いよく溢れ、周りにあった機械をショートさせていく。

 だが、既に研究所内のシステムやデータは完全に消去されていた為、被害を免れても復旧は出来なかっただろう。


 培養槽のタンクの土台には、スタイルのいい裸の少女がいた。

 腰に手を当て、周りを見回す。

 「うっひゃあ。ちょーっとやりすぎちゃったかなぁ。まぁいっか。あーし以外に作られても困るしね」

 軽い口調でそう独り言ちると、土台から危なげなくゆっくりと降りる。

 溢れた液体の中、バシャバシャと音を立てて歩いていく。

 研究室のドアを開け辺りを見回す。

 「うーわ。マジで? ここ上んの? マジダルイんですけどー」

 誰もそれには答えない。

 そして、軽く嘆息してそのまま歩いて地上を目指していく。

 「きっつー。でも、こんなところで弱音吐いてらんないっしょ」

 階段を登り終える頃には、濡れた身体はある程度乾いていたが、別の液体が滴っていた。

 「さ…流石にきついっしょ………」 

 本物の人間さながらに汗をかき、荒い息を吐いていた。

 「まだ馴染んでないんかなー」


 息を整えると、少女はそこから通路を歩き、目的の場所へと歩いていく。

 そこは備品倉庫だ。

 濡れていない。そして、汗臭くない、男臭くない新品の服を探していたのだ。

 だが、残念な事に軍服しか無かった。

 「初めて着た服が軍服とか最悪っしょ」

 そう言いながらも鏡の前でポーズを取る少女。

 「ふふん。結構自信あったけどいい感じじゃん」

 鏡の前でニンマリと笑顔になる少女。

 「アイツの好きな女の子になれてるわよね」

 ほんの少し、不安げに尻すぼみになる少女。


 「ふふっ…。待ってなさい。すぐに会いにいくからね」

 鏡の前で片手で銃を撃つようなポーズを取る少女。

 そして、軍服の帽子を目深に被り、髪の毛を全て帽子の中に押し込んだ。

 そして、キッと鋭い目つきで軍人のような姿勢で外へと続く通路を進んでいった。


 外に出ると、中の異変に気付いていない軍人が警戒任務にあたっていた。

 少女は、初めから軍の関係者のように。

 そしてそれが当たり前であるかのように振る舞い、一機の戦闘機へと近づいていった。

 他の軍人は誰も気づかなかった。

 少女が鼻歌を歌っている事にすら気付いていない。

 一機の戦闘機が離陸している事に誰も疑問を抱いていなかった。

 そして、そのままずっと気付くことは無かったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ