17 企み
光司が去っていったのを見て、四人は相談し始めた。
「仕方ないね。家で披露しよっか?」
唯が軽く嘆息して、片手をヒラヒラさせながら言う。
それに寧々と星羅が黙って頷く。だが、静は薄く口角を上げて口を開く。
「…私にいい考えがあります」
「いい考え…ですか?」
「ええ」
「静が一番悪い考えしてるわね」
「それは褒め言葉として受け取っておきます」
「で、静のいい考えって何?」
三人が分からないといった表情で同時に首を傾げる。
「お支払いは光司君がしますからね。その時にみんなで見せればいいのです」
「はい、却下」
唯がスンッとして、速攻で却下した。
寧々と星羅も静かに頷く。
「なっ! ど、どうしてです? そちらの方が理に適っているではないですか」
「いや、静さぁ、それ店員さんや光司様にも迷惑かかるでしょ?」
「だよね。それに静の制服ってワンピースじゃん。上まで捲り上げたら痴女じゃん」
「(二人きりの時にする方が風情があると思うのです…)」
「え、寧々なんか言った?」
「な…なんでもないですぅ…」
寧々は赤面して下を向いてしまう。
そんな寧々をそっと抱きしめる唯。
「はうぅ…」
「皆さんノリノリだったではないですか」
「そうなんだけどさ。冷静に考えたら、無いかなーって」
「むむぅ…。折角いいアイデアだと思ったのですが」
「だからさ、それ家でやろーよ」
「まぁ、そうですね…」
納得していないといった静に唯がニヤッとして続ける。
「だって、そうした方が逃げられないっしょ」
「あ…」
「そうですね。赤面する光司さんを堪能できますね」
寧々が両手を合わせてニッコリ微笑む。
「今回は私の負けです」
「いや、別に勝負してないでしょうに…」
「そうだよ。コージはみんなで堪能しないとね」
「私が浅慮でした…」
がっくり肩を落とす静。
「(やっぱり静さんってムッツリだよね?)」
「(たまに素が出ちゃうよね)」
寧々と星羅がコソコソと話し合っている。
「はぁ…。驚かせたかったのですがね…」
静は虚空を眺めてため息をついた。
そんな静に、星羅はそっと近づき耳打ちする。
「(……ふふ。静さん、焦りすぎですわ。そんな往来で光司様を辱めてしまっては、もったいないではありませんか。彼をじっくり、時間をかけて『色』に染めていく悦びを、貴女はまだ知らないようですね…)」
「!?」
バッと星羅へ向き直り、驚愕の表情をする静。
「え? え? 星羅さん…何を」
「え、いや、そういうの好きかなーって」
「嫌いでは無いですね…」
「ふふ。素直じゃないですね。……(本当は、驚かせたいんじゃなくて独占したいんでしょ?)」
「なっ…」
顔を朱くして口をパクパクさせている。
「焦りすぎよ。ふふっ…」
「むむぅ…」
そんな様子を唯と寧々が不思議そうに見ていた。
「あの二人何やってるんだろうね」
「ホントですねー」
店の前で立ち話に花を咲かせていたが、三十分後には光司が戻ってくるのだ。
店の前で結構話してしまったので、そろそろ選ばないといけない。
「じゃあ、サイズ測ってもらおうか」
「そうだね。そこまで考えて作ってなかったしね…」
唯と星羅が胸に手を当てて確認する。
「やはり違和感があるのは下着を着けていなかったからなんですね」
寧々が胸を軽く揉みながら赤面する。
「ちょ、寧々こんなところでそんな事しないでよ」
星羅が慌てて前に回り込んで隠す。
コートを着ているとはいえ、美少女四人がランジェリーショップの前で集まって話していれば、注目を集めてしまう。
現に通り過ぎる人達がチラチラと見たり、振り返ったりしている。
それほど注目を集めてしまう見た目をしているのだ。
これがカフェのテラス席であっても同様だったであろう。
それに、店の店員さんも訝しげに眺めているのだ。そろそろ何か行動に移るべきだろう。
四人は同時に軽く頷くと店の中へと入っていった。




