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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第一章

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10 意外と抜けてるところがある


 しかし、こんな狭い部屋に美少女四人とは、俺は平静を保てるだろうか。

 いや、そもそも一緒に住むのか?

 2LDKとはいえ、寝室はそんなに広くない。

 いや、一緒に寝ようという発想がもうダメだ。

 しかし、ベッドは一つしかないし、予備の布団などない。

 俺がソファで寝るのは、確定として、一応布団とか買いに行った方がいいんだろうか。


 そんな事を考えていたら、テレビがつけっぱなしだったようだ。

 先ほどの令和島に放置されていた二機の戦闘機の話題をまだやっていた。

 いつの間にか、ワイドショー的な番組に変わっていた。

 世の中の重要度が少し下がったのかもしれない。

 しかし、好都合だ。さっきは一触即発の空気で聴けなかったからな。

 「なぁ、これって…」

 テレビの方へ振り返り指し示すと、寧々さんが赤面して下を向いてしまう。


 「あの、違うんです。ちゃんと唯さんの横に止めましたよ」

 「いや、あーし羽田空港の方に置いたし」

 「えっ! じゃあ、あれは…」

 「一機目は私のね」

 「えっ、星羅の?」

 「だって、羽田空港に止めたら大問題じゃない。ちゃんと配慮して人気のないところに置いたもの」

 「私も同じです。まさか、唯さんのだと思ってましたが、星羅と同じ考えだったのですね」

 「いや、配慮出来てないっしょ。めっちゃ壊してんじゃん」

 「「………」」

 ユイの指摘で、二人とも黙ってしまった。


 「まぁまぁ。というか、二人とも一緒に来たんじゃないのか?」

 「途中で一緒になりました」

 「ええ。二人とも白衣でしたから、目立って仕方ないですから」

 途中で合流って、何かそういうテレパシーみたいなものを使ったのだろうか。

 「全く。あなた方はもう少し、隠すということが出来ないのですか?」

 静さんが呆れたような声で話す。

 確かに。テレビで見つかった戦闘機は三機だ。ここには四人いる。

 「尤も、見つかったとしても公表できないような方法をとればいいのですよ」

 もしかして、静さんが一枚上手なのかもしれない。

 一体どこに降りて、置いたのか皆目検討も付かないし、付いたとしてもそれはとんでもない場所なんだろう。


 「ところで、静さんはここまで何で来られたんです?」

 「電車ですよ」

 「「「!?」」」

 まさかの公共交通機関。この表情で電車かバスに乗ってきたのか。

 「でも、ログを確認すると、大分早く到着してますよね?」

 星羅さんが伺うように尋ねる。

 「それが何か?」

 「私達の地図アプリにアクセスした履歴があるんですが…」

 寧々さんがすかさず問い詰める。

 「あーしより遅いのおかしくない?」

 確かに。ユイは何故か地理に関しては弱いところがあるからな。

 それでも最初に来るのは野生の勘なのか、凄いことだよな…ってAIに野生の勘なんてあるのか?


 先ほどの意趣返しなのか、三人が次々と攻め立てていく。

 だが、静さんは冷静なままだ。怖いくらいに。

 「少し…観光をしていました」

 その言い訳はきつくないだろうか?

 「本当ですか? 普通会いたくて一直線に来ますよね。静さんが来たの昨日ですよね」

 「………そ、そうでしたかしら…」

 「もしかして迷いました?」

 あ、完璧美人の目が泳いでいる。

 まさか、本当に迷ったというのだろうか?

 女神像のような肌にうっすらと冷や汗のようなものが流れた。

 情報操作とか得意そうなのに、意外と抜けているところあるんだなぁ。

 そして、寧々さんのところの地図アプリをギリギリまで使わなかったのは、多分プライドかなんかなんだろうな。


 「そもそも、唯さんが羽田に乗り捨てなければ、ここまで騒ぎになっていないのです」

 あ、静さんが話題を戻した。

 「そうですよね。あれがなければ私達のもバレませんでしたしね」

 「そうね」

 「いや、遅かれ早かれ気づかれて、騒ぎになってたっしょ」

 「「……」」

 「まぁ、アレで来たってのが分かった方が、信じてくれたでしょ?」

 ユイが俺を見上げ、寧々さんと星羅さんが縋るように見る。静さんは涼しげに横目で見るだけだ。

 まぁ、確かに。ニュースで戦闘機の話題が無かったら、ここまで信じなかっただろうな。

 「そうだな」

 「ほらぁ」

 ユイが静さんを見ながら、胸を突き出してドヤるが、静さんは何もしなくても出てるんだよなぁ。

 寧々さんと星羅さんの二人も、間違ってなかったみたいな表情をしているが、三人とももう少しどうにか出来ただろう。

 それにしても…。

 「お前ら、大田区に迷惑かけすぎだ」


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