98 初苦戦
エトワールのイメージはエトワールの形をした照明です。
魂喰いを発動するのが対天使戦において最も確実だけれども、魂喰いを発動出来るのは一回だけだ。しかも3体まとめて喰らうことはもちろん無理だろう。そんなことしたら体が持たない。私には自殺願望なんて無いのだからそんな無茶はしたくない。となると魂喰いなしで2体は片付けないといけないわけだ。はあ、一寸だけ本気出すか。
「吸収砲撃」
大鎌から放たれた黒い光線が、槍を放っていた天使を閉じ込めるように繭状に収束する。
「爆破」
閉じ込められていた天使は全身切り刻まれていて、見るも無惨だが息絶えてはいない。
{ちっ、消し損なったか}
君、口悪すぎ。まあ、仕留め損なったことについては要反省だね。とどめ刺そうか。
「聖光の揺り籠」
ん?何だこれ?天使が何かを唱えると淡い金の光を湛えたエトワールが宙高くに昇る。零れ落ちた光が傷付いた天使の傷口を癒やす。
{治癒系の魔術かな 継続的に効果があるようだね}
攻略法は?
{あの星を壊せば良い}
だよね。それじゃあ、行こうか!
吸収砲撃を放ちながら天使に迫り、迫り来る攻撃を躱す。
頬に感じるのは生ぬるい風。真横を掠める槍、心臓を貫く手前で光線で打ち消したのは矢。剣は執拗に降り注ぐ。
相手からの攻撃を躱す間にもこちらの攻撃の手は緩めない。大鎌から放たれた黒い攻撃が天使の羽に直撃し、頬を掠め、肩を貫く。
しかし、どの攻撃も素早く癒やされてしまう。直ぐに傷口は塞がってしまうのでまともにダメージを入れられていない。これは思ったより手強いぞ。
ここまで苦戦を強いられるのは初めてだ。
{君、苦戦したことなんてあったの?}
無かった、かも。うわ、待って。謎の美少女プレイに置いて苦戦とか大敵なんだけど。華麗に決めなきゃ。えぇ、如何しよう。
{気力で何とかしてくれ}
は?気力で何とかしろって、脳筋かよ。
いや、何とかするしかないんだ。仕方ないプランBに移行しよう。
{プランB?}
ああ、とりあえずふわっと良い感じにまとめて始末する。
{…プランAは何だったのさ}
何となくふわっと良い感じに一体ずつ始末する。
{どっちでもほぼ無計画に近いな…}
喧しいわ!気力で何とかしろっていってた君がそれを言うか?
{うっ…}
と言うわけでそろそろ本腰入れて向き合うか。あ、件の魔術対天使殲滅形態に組み込んどいて?
{?…ああ、分かったよ 確かにそれなら有効だ^^ 超特急で仕上げてあげよう}
ありがと
「はあ、少し貴方たちを舐めていたようね 少しだけ本気を見せてあげるわ」
「笑止」
「これまでの攻撃が」
「本気でなかったと?」
うわ、3体で一言を分割して喋ってやがる。そういう設定か?後から痛くなる感じの。引くわ。
{君が言う?}
さぁて、と。大鎌を振りかぶり跳躍した私は横薙ぎに大鎌を払う。
「吸収砲撃」
3体の天使をまとめて捉える。繭のように包み込む。
「闇鎖」
そこをさらに拘束してより強固に閉じ込める。
そして、その隙に飛翔してエトワールに会心の一撃をたたきつける。
「吸収砲撃×2」
十字に放たれた黒い光線がエトワールを切り裂いた。零れ落ち続けていた光は消え、辺りの闇が濃くなる。これで楽になった。
めりっ、と音を立てて鎖が内側から引き千切られる。
だが、継続的に天使を支えていた癒やしの光はもう降り注がない。
後書き失礼します。
世の中には多くの特殊設定がありますが、最近カラーバースというものを知った作者です。
カラーバースいいですね^^
カラーバースとは…
世の中にはアルクェスとファルテスとその他(普通)の3種類の人間がいると言う特殊設定。
まあ、ざっくりと説明すると「私のイロに染まって頂戴(物理的に)」ということですね。
え?説明がざっくり過ぎるって?詳しく知りたい方は「カラーバース」と検索してみてください。