97 無自覚情緒クラッシャーは自覚しない
{ねぇ …ねぇ、なんで怒っているんだい?}
……
{ねえってば!考えたけれど分からなかったんだよ!しかも当てつけのようにリーベとイチャイチャしてるし…}
当てつけだと思うのに、なんで気が付かないんだよこの莫迦は。はぁ、情操教育が足りてないな。
{莫迦とは失礼な! ねえ、本当になんなの?}
この無自覚情緒クラッシャーめ!きちんと自覚するまで答えは教えてあげません!
{何を自覚しろと!? せめてヒント!}
…はあ、仕方ないな。じゃあ、何故君は私とリーベがイチャイチャしていることを当てつけと感じたのか考えること!それがヒントだよ。分かったら言いに来るように!それで一旦和解しといてあげる。
{?…分かった}
もう良いよ。やけだ!ダンジョン行くよ!
{了解です}
いつものリューゲダンジョンだと傷口に塩?、じゃなくてつまらないから今日はフィーレダンジョンに行くよ!
{ひゃい}
それから私はもうやけだ!という気持ちで鬼気迫る勢いでフィーレダンジョンを攻略していった。
順調にフィーレダンジョンを攻略。ボス周回に入った。ひたすら倒していく。
「九電撃 消えて道を譲りなさい」
「大渦 不愉快よ消えて頂戴」
「千流星 消えろ」
{さっきから台詞が消えろ一辺倒なのはどうかと思うが…}
機嫌良くないの!八つ当たりだから気にしないで!
{…ひゃい}
さぁて、これで何周目…ん?この扉は?絶妙によみがえる嫌な予感が…
{ああ、鳥くさいね、排除しなきゃ …形態変化・対天使殲滅形態}
おい、勝手に臨戦態勢を取るな。
{反射でした}
そうかい。じゃあ、突入。
{ラジャー フフ、殺るぞ}
殺意が高い…
扉を黒色光線で派手に吹き飛ばす。ドッカーン!と耳を塞ぎたくなるような音を立てて扉の奥に足を進める。あれだ、予測不可能且つ回避不可能系のやつ。
{脳筋?}
黙れ、消し炭にされたいのか?
{すいません、前言撤回させてください}
「こんにちは、いいえこんばんは 初めまして天使の皆様、私はヴァイス 以後お見知りおきを、いいえ、貴方たちと会うことは二度と無いでしょうから忘れても良いわ」
初手から煽れるだけ煽る。鉄則だよ。
「何者?」
「目的は何?」
「さあ、答えて」
天使3人組から代わる代わる問いかけられる。
「何者かに付いては先程名乗ったわ? そのお耳は飾りなのかしら? 目的は貴方たちの抹殺 さて、質問には答えたわよ、これでいいかしら?」
「良くない、貴女の素性を教えて」
「私たちは天使 正義の代行者」
「敵対するというなら容赦はしない」
「私の素性?悪魔とでもいっておけばいいのかしら? 本当に質問が多くて嫌になるわね 敵対?最初からそのつもりよ さて、質問ごっこはこのあたりにして本題に入りましょうか」
私は得物の大鎌を構えて天使に宣言した。
「開戦よ」
何かその場の乗りととフィーリングで開戦とか言っちゃったよ。まあ良いけど。
「ならば」
「迎え撃つまで!」
「悪魔は消えるのみ」
「「「浄化!」」」
うおっ!何ですこの白い光?!何かヤバイ気がする!
{避けろ!直撃した場合下手したら死ぬぞ!}
は?何て危険な攻撃を初手から放ってくれてるんですか!?
{大丈夫、一回使ったら次が来るまで長いから}
了解。浄化の光は上に飛ぶことで回避。予測可能且つ回避可能なら私が負ける訳がないのだよ。
「避けられた」
「無念」
「次の手」
次は何が来るんだよ!まあ良い。このあたりで一発入れようか。
空間ごと切り裂くように黒い光線を天使達に向けて放つ。連続で放った光線はギリギリのところで回避される。
{来るぞ!上だ!}
「千剣召喚!」
真上から剣が次々と降ってくる。は?気持ち悪いほどの物量作戦だな。まあ余裕で回避出来るけど。何本か光線で吹き飛ばす。
「千矢召喚!」
次は正面から矢が大量に迫ってくる。おいおい合わせ技はなかなか性格悪いぞ!まあ、ようは消せば良いんでしょ!全部光線で吹き飛ばすよ。
「千槍召喚!」
剣や矢に紛れて槍が飛んできた。殺傷力高すぎ。まあ、華麗に避けてあげよう。曲芸のように空を舞いながら回避行動を取る私が時々飛ばす光線が天使達を掠める。
フフフ、余裕だね。よし、ここからテンション上げていくよ~~~!
{お~! この世にいた痕跡すら残らないくらいに消してあげようね 大丈夫、存在が罪だから}
怖。全く大丈夫じゃない。というか存在が罪とか言わないであげて。精神にクル、酷すぎるよ暴言が。明るく病んでるのがこの世で最も怖い。
後書き失礼します。
朝、乗りたかった電車を目の前で逃して「ラグトレイン」がいきなり脳内再生された作者です。
その後各停に乗った。(再現度高くない?)