88 採寸と邪な考察
そして、しばらくの後メイドが扉をノックしてきた。
「お嬢様 採寸の者をお連れしました」
「入りなさい」
威厳を持ってお嬢様の顔をして、私は毅然と声を上げる。
「失礼いたします」
そう言って入ってきた針子と挨拶を交わしてから、採寸をしてもらう。
はぁ、シュバルツ君。採寸って暇なんだよね。しかも全身測られるから長いのだよ。
{そうですかい 好きなだけ暇を謳歌してくれ 私は脳内ネットで魔法少女の画像あさりに忙しいんだ}
けっ、つれないなぁ。
そうして暇を謳歌、もとい、暇に蝕まれた私はその勢いで天才的(?)な閃きを得てしまったのだ。
そう、採寸って実はものすごく尊い光景じゃないか、と思い至ったのだ。
私の考えを順を追って話そう。まず採寸という行為は薄着で行われる。そして、身体のサイズを把握していくのだ。え、若干官能的な雰囲気の百合が発生してませんか?
しかも一対多数のパターンを考えると百合ハーレムか?その可能性が急上昇だよ?え、採寸してたら紐がまとわりついてるしヤンデレというか緩く束縛?時間的にかなり拘束されるし。
つまり針子とお嬢様の間に百合妄想を^^ぐへ、いけるぞ。
{君の自らの暇つぶしの為に、自分さえも妄想の餌食にするところ、嫌いじゃないよ}
ふふ、このテーマ、おねロリが大変マッチするような…と私の冴え渡る勘がささやいているよ。
物語はこうさ。あるところに美人針子がいた。彼女は自らの求める至上の服を作るためにそれを着る対象を探していた。そして見事お眼鏡にかなったのがそのお嬢様だ。彼女はお嬢様の専属の針子となって彼女を着飾る衣装を作る。そのために採寸をするわけだけど、幼い少女とは思えないほどのお嬢様の色気に飲まれて…という感じかな^^
{良い え、書いて? いや、描く}
え、イラストに起こしてくれるのはありがたすぎる。お嬢様が針子の毒牙にかかっているはずなのに本当は針子が段々お嬢様に狂っていくのが見たいよね。追い詰められた愛で針子が採寸用のメジャーでお嬢様の首を絞めるの、それでもお嬢様は艶然と微笑むのさ。
{良いな、え、めっちゃ書きたい}
それなら創作の参考資料用に私たちもいつか採寸する?真夜中に君を実体化させてさ。
{うん、参考資料にしよう いつか出す百合本のために!}
ああ、もちろんさ。
あ、採寸終わった。お、身長伸びてたって!嬉しいね。
{どんな気持ちでテンションを切り替えているのか聞きたいんだけど…}
ん?切り替え無くても良くない?私の中では一続きのテンションなんだけど。
{お、おおう}
「今回は学園入学後の衣装制作を承っておりますが何かご要望などございますか?」
そっか、学園入学後の衣装だったね。
{制服無いの?}
いや、無いというか規定に則って自前で準備が基本なんだよね。
{規定?}
うん、女子は指定のボウタイ付けてて紺基調の服なら良くて、男子はボウタイじゃなくて指定のネクタイに紺基調だってさ。
「あまり華美ではないもの、落ち着いたデザインが良いわ」
色々と話していると、夕方になっていた。針子さん達が帰って行く。ふう、何か疲れた。