65 意外と快感
大鎌の一振りから放たれる黒い砲撃が堕天使を襲った。驚いたように堕天使がその場を飛び退く。それでも避けきれなかったらしく砲撃がかすった頬が黒く傷付いた。その後も続けて襲う砲撃に堕天使は回避に必死だ。その身に傷を増やしている。
おお、これが吸収砲撃か^^結構楽しいかも。黒い傷とかファンタジーじゃん^^
{フフフ、これが徹夜で作った対天使殲滅形態だよ^^どや^^}
さすがです!凄い凄いよ!
「汝 我に敵意を抱いたと判断 此れから攻撃に移る」
{はいはい、さっさとしてください}
辛辣だねぇ。
堕天使は、その手に大きな斧を出現させた。地を蹴り、こちらめがけて飛んでくる。空中戦が始まった。そして、そのまま高速で切りつけてきた。
それに、対して私は躱しながら立て続けに吸収砲撃を放つ。堕天使は砲撃の直撃を防ぎながらこちらの懐に迫りながら攻撃を繰り返す。
{こんな攻撃余裕で避けれるよ☆ たいしたことないね}
敵対意識が強すぎて本当に草。珍しいよ君のこんな状態。
「そんなものなの? その程度とは堕天使って大したこと無いのね 私、買いかぶりすぎていたのかしら?」
煽れる時に煽る。これ、鉄則ね。
「汝、我に敵対せし者 よって我、汝に加重の制裁を与える」
いらんわ。何?加重の制裁って。
すると、堕天使の持つ斧が赤紫の光を纏った。そして、一撃の重みが激変した。重い。そこからの攻撃は一撃一撃の強さが段違いだった。
{鑑定 へぇ質量に関する魔術のようだね さしずめ重力を操るって所かな}
へぇ重力遣いかぁ。夢があるわ~^^重力魔術、私も使えたりしない?
{今は無理だけど解析してみるよ^^もしかしたら再現できるかも いや、絶対再現する}
よろしく^^
吸収砲撃、3連続。羽根が散った。吸収砲撃、右の羽を捥ぐ。堕天使がよろけて墜落しそうになる。
{追撃しろ^^}
吸収砲撃で、左の腕を撃つ。堕天使の左腕に大きな傷が付いた。さらにかろうじて宙に留まっている堕天使の左の羽を打ち抜く。また羽根が散った。
「地に落ちてあがきなさい」
うん、台詞も決まったかな。
{おい、気を付けろ!この堕天使墜落しないぞ!}
へ?羽両方捥いだよ?何で落ちないの?
{重力魔術で自分を浮かせているようだ ちッ、つくづく面妖な}
落ち着け。重力魔術で浮いているなら浮いているまま倒してやるさ。
{そうだその意気だ^^ 実は対天使殲滅形態の攻撃法は吸収砲撃だけじゃない! もう一つ用意してある!}
おお、何があるんだい?
{フフフ、悪魔の古典的攻撃法、魂喰い^^ 吸収砲撃のように聖属性に傷を付けるのではなくて、魂に直接傷付ける攻撃だよ 確実に決まることは保証しよう ただし1日1回だから期は見計らってよ?}
おーけー。じゃあ、追い詰めたら使おうか。
「へぇ面白くなってきたわね ではこちらも見せてあげましょう」
吸収砲撃を繰り出しながら重力魔術の乗った重たい攻撃を受け流す。堕天使はボロボロになった体を無理矢理動かして攻撃を受けつつもこちらに攻撃を放ってくる。
そろそろ隙が見えてきたかな。
{ああ、そろそろ決着を付けよう}
堕天使が大きく回転をかけながらこちらの懐に入り込んできた。遠心力を利用し、加速した斧が迫ってくる。
{今だ!}
斧をスルリと避けて、がら空きの胴に鎌の一撃を放つ。
「魂喰い」
鎌から放たれたどす黒い斬撃が堕天使を貫いた。堕天使が灰となって崩れ落ちる。
{どや^^威力高いやろ^^}
ああ、最高だよ。
「意外と快感ね」
言い捨てて、背を向ける。
決まった?
{決まった うんよかったよ 必殺技決めるのって楽しいよね^^}
うん、めっちゃ楽しかった~!!!