61 呪いは解くもの
今日も私は図書館で適度にカルドと駄弁る。もう日課と化してきたこの休憩時間、細い窓からうっすら光が差し込む図書室の窓辺で私たちはとりとめもなく話していた。
{君、友達がオランジェット1人しかいなかったから、新しい友達が嬉しいんだね…}
べ、別にぼっちだからさみしかった訳じゃないしぃ、ただ話し相手になってあげてるだけでぇ。
{唐突なツンデレが草 君、そんなキャラじゃ無いだろ 戻ってこい}
はぁ、つまんないの。折角ツンデレに挑戦してみたのに…
{そんなところだと思ったよ}
「そういえば貴方は質量を取り戻したいと思っているの?」
「…戻ってくるものならな もう、諦めている」
ああ、薄幸キャラからしか得られない栄養素があると私は確信を得たね。
{この暗い話でそんな風に考えるとかナチュラルにクズ 普通のヒロインとかなら、ここは「じゃあ私が呪いを解いてあげる」って約束する流れじゃん}
はいはい。じゃあ、こんなクズな私ですが呪いを解かせていただきましょう。とでもいったらいいのかい?
{そう言えばいいんだよ 解析鑑定 私はカルドの呪いを鑑定しておくからね}
オーケー。じゃあ、結果分かったら教えて。あ、あとこれだけ焚き付けておいて呪いの解き方わかんないとかだったらきれるよ。
{大丈夫、私の直感は外れないから フフフフフ}
ん?どういう意味?てか笑い方が怪しいんだけど…あ、答えてくれない感じ?はぁ、分かったよ。ここはシュバルツ君に任せてみようか。
「諦めるにはまだ早いと思うけれど? 私は諦めなんて本当に出来るこ全てしてから言えることだと思うわ?」
「…君は私が何もしていないと言いたいのか?…」
おぅ、ちょっと怒らせたかも。
「いいえ、そう言いたいわけじゃないのだけれど、そう聞こえたなら謝罪するわ」
「…」
「私が言いたいのはね、その呪いを解くことを私に任せてみてはどうかということなの」
カルドがバッとこちらを見た。
「君にこの呪いが解けるのか?」
「ええ、もちろん」
いけるよね?シュバルツ君。
{ああ、もちろん^^ 解決法はバッチリ分かっているよ^^}
さっすが~^^それでどうしたらいいの?
{じゃあ、原因から説明しようか この呪いの原因は堕天使だよ カルドから堕天使の痕跡を強く感じた}
堕天使?え、何かファンタジー。まあ、悪魔がいるなら天使も堕天使もいるか。
{そうだね、ことの原因は堕天使が願いを叶える際に持って行く代償にあるよ}
代償?
{そう、代償 堕天使は人間からの願いを叶えるときに何かを代償として奪う習慣がある 例えば、声や属性 ああ、色彩を奪うなんてこともある 質量もその類いだろうね あと、先天的に質量が無かったなら、カルドに関する誰かの願いの代償として質量を持って行ったのかな? まあ、堕天使はわざわざ代償をもらうとか言わないから、全く勝手なものだよねぇ}
なるほどねぇ。何か堕天使に対して辛辣じゃない?
{ああ、気に入らないんだよねぇ 悪魔はさ、呼ばれないと出て行かないし、最初から契約するときに対価を決めるし、等価交換心がけてるし? でも、あんの天使や堕天使やらは呼ばれてないのにしゃしゃり出て勝手に願いを叶えて代償持って行くし、顧客奪うし、縄張り荒らすし? 本当に何回殺したことか…ああ、もう思い出したくも無いね}
大分思うところがあったんだね…
{まあね、それで天使や堕天使から奪われた対価を取り戻すには奪っていた堕天使を殺せばいいんだよ それで解決}
あ、もしかしてこの呪いを解くように勧めてきたのってもしかして…
{もしかしなくても、堕天使という存在を一体でも多く消すためだけど?}
私怨かよ。
{そうとも言うね^^}