48 それっぽければミステリアス
あの子は…
{ヴィオレットじゃないかい? きっと今からお花摘みに行って迷子だね イベントの開始だよ}
そうだよね。私もそう思う。見に行く?
{気になるなら見に行ってもいいと思うけど うん、生で見たいよね}
そうだよね、見に行っちゃう?
{行っちゃうか!}
オランジェットには少しお花摘みにと言って席を外した。
{お花摘み万能説}
それな。
そうして私はヴィオレットをそおっと追いかけ始めた。庭と庭との間をすり抜けて、廊下の端をそろりそろりと追跡する。ヴィオレットが無事にトイレに着いたのを見届けて出てくるまで待つことにした。ちょっとあたりを探索する?
{魔力探知でヴィオレットの場所追跡ができるようにしたから離れても見失うことはないよ^^}
さすが相棒^^庭がたくさんあったし見に行きたかったんだよ。
赤薔薇の庭園、黄色いつるバラのアーチ、ダリアの咲いている庭もなかなか…こ、これは!
{どうしたんだい?}
青薔薇の庭園だ~^^白いガセポとか謎の美少女プレイに向いてるじゃん!あ、ここで謎の美少女プレイして、ヴィオレットと接触してみるとかありじゃない?ヴァイスにお茶会させたかったんだよね^^シュバルツ君準備お願いできる?
{お安いご用だね^^}
空間魔術の収納から、こないだ買ったティーセットを取り出してガセポの中に置かれたテーブルに設置する。お茶を入れてスタンバイ。衣装は最初にリューゲダンジョンで出した黒いゴシック調ドレスに決めた。髪色を黒く、見た目を15,6歳にいじるとセレナではなくヴァイスになれる。準備オーケー^^今ヴィオレットはどこにいる?
{今ちょうど迷っているところだね この辺に近づいてるよ こっちに確実に来るようにちょっと思考誘導する?}
そんなことできるのかよ、君すごいな、じゃあお願いするよ。
{精神操作とかは悪魔の本領だから^^}
薄い紫のライラック色の髪に、濃い紫の瞳をした美幼女が青薔薇の庭園に入ってきた。ヴィオレットだ。あたりをうかがい困ったようにこちらに近づいてくる。こちらには気がついていないようだね。ヴァイス登場と行こうか^^
{オーだねぇ^^}
「あら貴女、迷子かしら?」
ヴィオレットの前にふわりと美しい少女が現れる。
「っん! 貴女は誰ですか?」
「心配しなくても今は貴女に危害を加えるつもりはないわ」
「今は?」
「そう警戒しても貴女は私に対抗する手段を持たないから仕方ないと思うけど」
そう言ってもヴィオレットが警戒を緩める気配はない。
「では貴女の名を聞いても?」
「ヴァイスよ 貴女はリーズィヒ公爵令嬢ヴィオレットかしら」
「どうしてそれを…」
「少し話をしていかない? せっかくお茶を入れたのだから話し相手が欲しかったの どうかしら?」
「…はい それでは招待に預かりますわ」
警戒した顔のままヴィオレットはガセポに誘われる。ヴァイスと対面の椅子に座ってまっすぐその目を見て問う。
「貴女はどうやって王城に?ここはそうそう簡単に入れるところではないと思います 私は国中の貴族が集まる社交デビューで見かけた方はすべて覚えていますが貴女はその場にいませんでした 貴女は何者ですか?」
全部覚えてるのすごすぎでしょ。私には無理。
「何者と言われても、正面から入ってきたわ」
と、言ってヴァイスは微笑む。
{本当に正面から入ってきたもんね}
「質問に答える気はないのですね では、何が目的ですか?」
「いずれ来る悲劇の確認に、貴女達は求める純金製の優越感に何も意味などないことを知った方がいいわ」
ふわっとそれっぽいことを言うのは得意。何の意味も特にないけど。まぁ、それっぽく謎めいた理由があった方がミステリアスでいいから何か言っといたらいいんだよ。
「何をっ!」
スルリとヴィオレットの頬を撫でる。
「ねぇ、貴女は何かを抑圧しているでしょう? あまり自分に嘘をつくものではないわ 壊れてからではどうにもならないわよ」
なんか適当にうっすらとした意味を込めてヴィオレットがヤンデレになるのを防止しておこうか。二次創作の世界のヤンデレヴィオレットはすぐにナロウ公爵家すから。
{フワッとしすぎて多くて何言ってんのか分かんないね}
はいはい、好きに言ってろ。
そう言って、ヴァイスはサラリとヴィオレットの頭をなでて立ち上がった。
「どこへ行くのですか?」
「これ以上の長居は無用 私は帰るわ 貴女にも直に迎えが来るでしょう」
「待ってください貴女は何を知っているのですか! 私をどうするつもりなのですか!」
ヴィオレットの叫びには答えずに一輪の青薔薇を残してティーセットごとヴァイスの姿は消えた。
決まったね。王子の姿がチラッと見えたし王子がヴィオレットを回収するでしょ。そして、ヴィオレットは王子に惚れる、というわけですね。さて、王子とヴィオレットが戻ってくる前に撤収するか。
「ただいまオランジェット」
「遅かったですわねセレナ」
「帰り道に迷ってしまったの」
「そうですのね あら、王子とリーズィヒ公爵令嬢ですわね いつの間に仲良くなられたのか」
「さあ?とにかくこれで帰ってもよろしいのではなくて?」
「そうね、帰りましょうか セレナ、私達本当に食べてばかりでしたわね」
「そんなものでしょう 賑やかしの仕事などお菓子の消費しかないのですもの」
帰るか。そういや結局王子との一目惚れシーン見れなかった。
{あ…}
登場人物・語句の語源
リーズィヒ 巨大な
後書き失礼します。
中華BLも大好きな作者です。
2、3ヶ月くらい前に天官賜福の3巻が発売されたのを買いました。(アニメも終わっちゃうしロスになってる)これを参考にキスシーンとかを入れられたらとか思っちゃう作者ですが、まだそんなに話が進んでいないのでこれからのお楽しみかな?と思う今日この頃。
ああ、kindle で人査反派自救系統(通称さはん)も読みたい。
セレナ:後書きを日記にするな!せめて活動報告の方に書け!
作者:すいません(ただし反省はしない)