42 お昼だねぇ
私がなかなか絶望から立ち上がれないでいると、両脇から声が聞こえてきた。
「大丈夫? ヴァイス、どうしたの?」
「そ、そうですよ 何かつらいことがあったのですか?」
あったのですよ。でもこんな可愛い子たちに心配をかけるなんて、
{有罪!}
それはそうなんだけど、立ち直ろうという話なんだよ。私は自分で同人誌出すからね^^これでも繊細な心理描写でならしてたんだよ。
{君の心理状態を見てると繊細な心理とはほど遠いけどね}
私の心理と心理描写は、誘い受けと襲い受けくらい別だから。
{それどこが違うの?}
全く違うから。誘い受けの上位互換もどきが襲い受けです。
{つまり、さりげなく自分の心理の上位互換が心理描写だから自分も繊細だ、というわかりにくすぎて、筋も通っているか怪しい主張をしたいのかな?}
よく分かったな君。って、そんなこと喋ってる場合じゃない!
「少し、目的の本がなくて落ち込んでただけよ もう大丈夫」
そう言って微笑んで見せた。
「ヴァイスの本を見ていた目線が執拗だったのはそれだけ熱心に探してたからだったんだね」
執拗だったのか…ビーネや、よく見すぎだ。美少女ヴァイスのイメージ崩壊の危機だった。
「そろそろお昼を食べに行きましょうか」
「お昼!」
グラウの目が輝いている。食いしん坊かな?
「食いしん坊さんね」
そう言ってヴァイスは少し笑った。
{グラウがてぇてぇ}
私たちが入ったのはテラス席があるレストランだった。テラス席に座って早速メニューを広げる。
「何がいいかなっ」
グラウがご機嫌だ。可愛い。
「僕はオムライスが食べたいかな」
オムライス、たしかにいいかも。私は何にしようかな~?
「私はパスタにしようかしら グラウはどうするの?」
「むむむー、ハンバーグがいいけどビーフシチューも食べたい、です」
グラウがはっきり喋ってる!
「食べ切れるならどちらも頼んでいいのよ」
そう言うとグラウの顔がぱあっと輝いた。
「食べれる!なのです!」
「そう、それならどちらも頼みましょうか」
店員を呼んで注文する。店員もメニューを4つ頼んだので少し戸惑っていた。そうなるよね。このメンバーで食べ切れるの?って思うよね。わかります。
食事が運ばれてくるまで時間があるので、その間に午後はどこに行きたいかを話す。
「二人は午後からはどこに行きたい? 午前中は大分私の本屋巡りに付き合わせたから午後は好きなところに行っていいのよ」
「僕は靴も見に行きたいかな」
「わ、私は手芸用品をみたい、です」
「じゃあ、お昼をいただいたら靴屋に行って、手芸店に行きましょうか 他にも見たいものがあったら行きましょうね」
「はい、なのです」
「楽しみだよ」
その後もビーネとグラウの買いたいものの話を聞いていると食事が運ばれてきた。
「美味しそうだ」
「ええ、味が楽しみね」
「いただきます、なのです!」
みんなで食べ始める。さて、グラウは完食できるのだろうか。
結論から行くと無事にグラウはハンバーグとビーフシチューを完食した。ペロリと平らげて、平然としているのを見るとただ者ではないと思う。ちょっとビーネが引いてた。
{大食いロリという概念か}
君、また新しいのラーニングした?まあいいけど、脳内ネットの件はどうなった?
{あと少しで完成だよ 君が前世で閲覧したことのあるウェブサイトをすべて復元したから 悪魔の演算処理スキルを舐めないでほしいね}
君はスパコンだったのか。演算処理スキル高いとか最高だろ。君が相棒で本当よかったと思うよ。
{こちらこそ、君のおかげで新しい世界が開けているよ^^}