36 そして誰もいなくなった
本館ぽいところに行こうか。あっちには人がたくさんいそうだよ。
{そうだねぇ どこの入り口から突入するかい?}
本拠地の周りを歩きながら考える。あ、こことかいいと思う。私が立ち止まったのは大きなガラス窓の前だった。ここを突き破る登場の仕方いいと思う。ガラスを割るのはロマンだよ^^
{そう言うものなのかい?}
そう言うものなの!
行くよシュバルツ君^^ガラスを割るのはロマンだ~!!!ヴァイスが鎌を振った。
ピキッ、ガシャン!!!ガラスの破片が飛び散り、月の光を散乱させている。本館の中にいたものの意識がヴァイスの立てたガラスの割れる音にくぎ付けになった。そしてそこに乗り込んでくるヴァイス。見遣る
と、5,60人に囲まれていた。一斉に彼らが武器を構える。
「何者さねぇ?妾の眠りを妨げるのは?」
唐突に聞こえた声の主は、階段の上にいるベアトップの白いタイトなドレスを着た美女だった。
「夜分遅くにお邪魔するわ 私と少し遊んで頂戴」
「今日の見回りは…グラウ達か、ぬいぐるみ遣いの少女に会わなかったか?」
へぇ、あの子グラウって言うんだ~^^
「あの、かわいらしい子ね たっぷりかわいがってあげたわ」
あえて、グラウのことをいたぶったかのように言って挑発してみる。
「へえ、そうかい 皆のもの行っちまえ!」
声が低くなった美女から突撃許可が出て、魔王教の者達が襲いかかってくる。それをヴァイスは鎌の一振りでなぎ倒していく。舞うように華麗に鎌を振るい、光線を乱射する。ヴァイスの頬が返り血で赤く染まった。
ヴァイスはあっという間にその場を制圧した。もちろん美女も含めて。返り血で階段に痕をつけながら、ヴァイスはさらなる生き残りの捜索を開始した。
ビリヤード室で一人発見。光線で即射殺。
執務室に一人発見。鎌の刃の露にした。
寝室に一人発見。逃亡しようとした背を光線で貫く。
地下室で二人発見。鎌の一振りでまとめて消した。
これでもう誰もいないね。そろそろ帰ろうか。
{そうだね 朝が近いよ}
早く帰らないとミルトが起こしに来ちゃう!
朝日がうっすらと誰もいなくなった廃邸を浮かび上がらせていた。