164 ロマンチックビーム砲
「はぁ、これだから堕天使は野蛮ね でもその言い分には半分賛成かしら 先程言ったでしょう さっさと消えなさい 撃たれても文句言えないわよ」
「…分かりました 貴女が何者なのかは知りませんがお気をつけて」
オランジェットは一度此方に礼をしてからくるりと踵を返して走り出した。素早く物陰に隠れてビームの射程から逃れ、盾を使いながら逃げる。
「…我々も退避するぞ 急げ!」
カルドもあっけにとられて動けない仲間を連れて避難する。
あ、二号、一寸良いかい?
〈如何したのだ、主よ〉
彼らの護衛を頼みたい。ビームとか流れ弾が飛んでいったら困るし。気づかれないようにお願いしたいんだけど。
〈承ったのだ!〉
私の体から黒い靄が出て二号がそろりと抜け出した。あ、そっか、二号は実体化せずに靄のまま飛んできたのか。
こっそり私の体から抜け出した二号が彼らの方に流れるビームを吸収するように結界を張っているのを横目に見ながら私は目の前の堕天使と向き合う。此奴らはネーミングが痛すぎるが、正直に言ってかなり強い。相手をするには対天使殲滅形態が必要だが、これは痛すぎる。全身に激痛が走るのでとてもじゃないが長時間使っていられるような代物ではない。となると時間制限がつくわけだが、その時間制限内で倒しきるには彼らは強すぎる。伊達に堕天使の首魁格を名乗ってない。
と言うわけでね、流石に準備なしでは此方に分が悪い。各自撃破を狙いたいんだけど誰からいこうか。
{成る程ね…… うーん、矢っ張り憤怒かな。今一番消耗してるし、まだ拘束を逃れられていないからね}
確かにビーム砲はロマンがあるけど流石に無差別乱射は怖い。
{それじゃあ、私に任せてくれないか?後の3人の相手を君に頼みたい}
良いけど、如何したんだい?
{ああ、一寸試したい魔術があってね^^}
何かよくわかんないけど禄でもなさそうなのは理解した。
{え?何で?}
君のその笑顔は大体ろくでもないんだよ!
{ほぇ?そうなの?}
すっとぼけてんじゃないよ!?君そんなキャラクターじゃないでしょ!
{ちっ、折角カマトトぶってみたのに}
似合わないから止めな。むしろ君はデータキャラだろ。
{確かに}
脳内での打ち合わせを終えて私たちは二人で持っていた大鋏を大剣に分離させる。そして、シュバルツは憤怒の方へ向かい、私はその場で残りの3人に告げた。
「さて、そろそろ終わらせましょうか 貴方たちでは輝きには届かないことを証明してあげる」
そして……轟音が響いた。え?ビーム砲?何で?