163 鮮烈ミステリアス
「血魔術！ 殲滅の惨禍！ 『血塗れの剣舞』！」
「あぁ！もう、この剣ウザいんだよ！」
「あら、無様に逃げ回ることしか出来ないのかしら？」
血の剣に悪戦苦闘している傲慢をさらっと煽りつつ、憤怒を『血塗れ姫の茨』で締め上げる。
「血魔術！ 蹂躙の道を切り開け！ 『血塗れ姫の茨』！」
「あ”ぁぁぁぁぁぁ！！！」
憤怒が痛そうに叫んでいる、よし、今のうちに傲慢と戦うぞ。そう思って鎌を勢いよく振るった途端に爆音が聞こえた。え？
｛おい、君！君が締め上げた憤怒のビームが暴走して我々を隔離していた亜空間を破壊した！多分今から何処か適当なダンジョンの階層に落とされるっ！もしかしたら学園生がいるかもしれないっ！｝
な、何だと！と言うことは……
〈不味いな！〉
いいや、違う。
｛これは、チャンス！｝
謎の美少女デビューだ！みんなの前で謎の美少女しようぜ！イエーイ！
｛いっけぇ！｝
〈いっけぇ！？〉
「おい、憤怒何してんだよ！この空間壊れるぞ！」
お、傲慢が気が付いた。
「はぁ？！何がどうなっているんです！？とりあえず空間補修しますよ！」
え？こ、このまま壊れてよぉ！
「そうはさせない！ 血魔術！ 蹂躙の道を切り開け！ 『血塗れ姫の茨』！」
ついでに嫉妬も拘束。色欲さんも拘束しとくか。
「血魔術！ 蹂躙の道を切り開け！ 『血塗れ姫の茨』！」
傲慢以外3名を拘束。そして、亜空間は完全に壊れた。
パリィィィンッッッッ！
甲高い音と共にガラスが割れるように空間が壊れ、目の前にダンジョンの光景が現れた。こ、ここは……！
｛30層だぁぁぁぁ！｝
〈何か声が聞こえてくるぞ！？〉
この声は！？お、オランジェットだぁぁぁ！
｛カルドもいるぞ！？｝
いやっふぅ！人がいるだけで嬉しいね！やっと人前で謎の美少女をお披露目できるぅ！ここまで長かったぁ！
「あら、壊れてしまったのね」
「そのようだねぇ まあ構わないさ 今ここで叩きのめす！行くよヴァイス！」
目の前にいきなり羽の生えた奴らと美少女2人が出てきて混乱しているカルドやオランジェット一行を尻目に私たちは拘束した3人と今唯一動ける傲慢と戦い始めた。
「「血魔術！ 悲鳴と狂気で染め上げろ！ 『血塗れ姫の双剣』！」」
二人で『血塗れ姫の双剣』を発動する。二人で大鋏を持って傲慢と戦い始めた。
「お？戦いを再開させるか 嫉妬、お前援護出来るか！？ って捕まってんじゃねぇか！っち、さっさと抜け出てこいよ！さもなくばお前ごと打ちのめすぞ！」
こっわ。堕天使怖いんだが。此奴らはいちいちフレンドリーファイアしないと戦えないのか！？
「な、何だ此奴らは！？オランジェット分かるか！？」
「分かりませんわ！？何が起こっているのかさっぱり状況が……って、避けて！」
嫉妬が打ち破った鎖がオランジェット達の方へと飛んでいった。うん。此奴ら許さねぇ！私の数少ない友人に手を出しやがったな！！！今守るよ！
「巻き込まれたくなければ貴方たちはさっさとこの場を離れなさい ここにいられては戦いの邪魔よ」
温かみの感じられない冷えた瞳で彼らを見遣り、私はこの場を去るように告げた。優しく遠ざけようという慈悲だね＾＾
「……っ、ここは学園の所有するダンジョンです！貴方方は……貴方方は何の権限があってこのようなことをしているのですか！」
悲鳴にも近い声を上げながらもそれでも毅然とした表情でオランジェットは我々に語りかけた。そうする間にも暴れ回る血の茨と憤怒のビームがダンジョンを破壊していく。瓦礫がパラパラと降り、砂埃がぶわりと舞った。
「その通りだ一体何者なのですか！」
轟音の中カルドも同級生を守るように声を張り上げた。
｛単純にこの状況で逃げないのすげぇわ｝
私ならさっさと転移で逃げるよ。この状況、マジで意味分かんないもん。
「んなことお前らに説明してやる義理はねぇ！ 俺は今忙しいんだよ！ ぶっ殺すぞ？」
傲慢がぶち切れたねぇ。
〈ストレスがたまっていたのだろう おそらくここまでの苦戦を強いられたことはこれまで無かったようだからな〉
「はぁ、これだから堕天使は野蛮ね でもその言い分には半分賛成かしら 先程言ったでしょう さっさと消えなさい 撃たれても文句言えないわよ」
ホントは消えなさいなんて思ってないですぅぅぅ！ごめんなしゃいぃぃぃぃ。でも許して。私、君たちを危険な目に遭わせたくないだけなんだよ。その上でミステリアスな雰囲気も醸し出そうと思えばこんな言い方になっちゃうの！許して！ガチ、ガチ、ガチ。
｛浮気男構文で笑｝
やめて！違うから！浮気男じゃないから！
{^^}
その顔止めてくれ下さい。
