153 いい加減黙れソシャゲ脳
翌日、寮の広間に降りていくと先生方がいた。如何したんだろう?
「あら、お早う存じます セレナさん」
「エリサ先輩にアミーカ先輩 お早う存じます」
振り返るとよく知った先輩の姿が在った。
「あの、先生方は何故此方にいらっしゃったのでしょう?」
「ああ、曰く昨日旧校舎で騒ぎが在ったので寮から生徒の安全確認と寮から誰も出ていないか記録を確認しているそうです」
ほう、シュバルツ君、偽装は?
{完璧だよ、問題ない}
ならよかった。
ちなみに2号は部屋で留守番だ。
「そんなことがあったのですね」
「らしいねぇ 何でも謎の光と強い魔力の高ぶりが観測されたらしいよ」
「強い魔力…ですか」
「何者の仕業か解明されるのを待つしか無いでしょうね 観測されただけで実害は無かったそうだけど警戒するに越したことはないでしょうね」
……現場の証拠隠滅は?
{一応最低限の痕跡抹消はしてあるから多分大丈夫だけど、逆に何も証拠が残ってなさ過ぎて不審がられるかも……}
おぅ……ま、証拠隠滅がなされているなら何とかなるでしょ。
{そうなると良いけどねぇ}
そんなかんなでまあ、変わらない日常が始まった。そう、一瞬変な事件が起こっただけだ。みんなさっさと忘れてくれ。私たちの身バレを防ぐために。
{人の噂も七十五日というからねその内忘れられるでしょう}
だよね。
そうやって日々は過ぎる。あっという間に遠足の日がやってきた。
〈主よ、忘れ物はないかい?うさぎさんハンカチ、ティッシュは持ったね?水筒には冷えたお茶を入れておこうか〉
うん、2号はいつも通り幻覚の中にいる。
{大丈夫、どうせこいつは留守番だ でも、私はついていくからねぇ^^安心したまえ}
こっちもこっちで心配だ。何からやらかしそうだもん。
{夜のお泊まりイベ^^限定S級スキン「転た寝の姫君」でネグリジェを実装しよう そして、私と甘い夜を……}
おい、ソシャゲ脳。戻ってこい。あと、甘い夜はない。それは幻覚だ。
{やだなぁ、照れ隠し?うん、スキンの解禁ボイスはツンデレチックにするのもいいな^^}
あかん、末期だ。
正直不安しか無い遠足だが、まあ楽しむとしよう。此奴らが活性化している時点でもう既にこれ以上なく終わっているのだから。
「みな、集合したか?それではこれから遠足の説明をする 君たちには学園ダンジョンを3日間攻略して貰う 攻略階層上位5チームには単位100を与えるので、皆頑張るように」
おお、凄いイベントだ……単位ウハウハ^^
{もう、君の単位数は十分すぎるくらいだろ……}
「また、ダンジョン内では危険があるので今から配布する「蘇生の腕輪」を付けるように 死亡した時点で入り口に戻って蘇生するようになっている 死亡後は再挑戦不可だ そして、一応ダンジョン最高層まで攻略した場合はその時点で帰還可能、単位200が与えられる」
ま?だったら攻略してやんよ!私は単位の魔物だからねぇ^^
{だから、もう十分じゃないの……}
「「蘇生の腕輪」があるからと言って油断は禁物だ 各自注意するように」
その後も長々と説明は続く。皆が飽きてきた頃にマーガトロイド先生が宣言した。
「これより遠足を開始する!」
お~!!!