137 もしかしてやり過ぎた?
翌朝、制服に腕を通し、ダンジョンのボスの魔石を手にダンジョン探索の講義担当の先生の部屋に向かうのだった。
それにしても敷地が広いな…
{流石、迷子イベが発生したことあるだけの広さだ}
あ、そんな話をしていたら丁度エリサ先輩を見つけたよ。
{今日も美人だ…}
「エリサ先輩、お早う御座います」
「あら、お早う セレナさん アミーカさんから聞いてましたけど、もう試験に行ってらっしゃるの?」
「ええ、そうですわ これからダンジョン素材を納めに行きますの エリサ先輩は何処へいかれるのですか?」
「私は試験室ですね あら、時間が近いわね それではご機嫌よう」
「はい、ご機嫌よう」
エリサ先輩と別れて目的地に向かう。
{今すれ違うとき、ふわぁ~って良い匂いがしたねぇ}
したねぇ。年上の素敵なお姉さんだぁ^^はあ、タイツ良いなぁ…
{黒タイツは薄めで肌色が見えるのも良いけど厚い生地の黒に踏まれるのも良いとネットは教えてくれた}
その通りだねぇ。というかナチュラルに踏まれる側なんだ…
{あ、ほんとだ… …っまあまあ、行こうかっ!}
行こっか^^ …今露骨に誤魔化したね。
コンコン、扉を叩く。そして、入室。
「失礼します 1年Aクラスのセレナ・ナロウです」
「おや、1年生が何の用かな? ここは共通講義がまだ終わっていないひよっこのくるところじゃないよ?」
穏やかに、されどはっきりと部屋の主に言われてしまった。
「共通講義は合格しました」
これが証拠だと言わんばかりにカードを見せる。
「…へぇ、もう共通講義を合格したのかい なら、問題ないね そこに掛けな」
席を進められたので着席する。
改めて部屋の主を見遣る。深い赤の髪に鳶色の瞳をしたその女性は自身のことをフレデリカ・ライストナーと名乗った。
「ライストナー先生 今日は討伐したボスの魔石を持ってきました 査定していただけますか?」
そう言って机の上に魔石を一つ、ゴトリと置いた。
「…ふむ、表面に目立った傷はなく状態は完璧、ならば、『鑑定』」
鑑定魔術だ。私以外で使ってる人なんて珍しいんじゃない?
「課題、20層のボス魔石を確認 セレナ・ナロウにダンジョン探索Ⅰの単位20を与える」
話は終わりだと言わんばかりのライストナー先生にもう一つ魔石を見せた。
「…40層ボス、か?」
見ただけで分かるんだ…凄いな。
「はい、実はまだあるんです」
「…こりゃあ驚いたね 全部見せな」
ゴロゴロと魔石が机の上に零れ落ちる。
「…ざっと見たところ100層までは確実にあるね えぇっと、100層ボスでダンジョン探索Ⅴまでの単位はやれるから…セレナ・ナロウにダンジョン探索Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ,Ⅴの単位500を与える」
「ありがとうございます」
「それにしたってこりゃあ凄い 100層のボスはどうやって倒したんだい? 大体の生徒がダンジョン探索の講義はⅢまで、行くものでもⅣで諦めるんだけどねぇ」
…え、それって。 …若しかして、私やり過ぎた?
{若しかしなくてもだねぇ…}
おぅ…