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131 思いがけない遭遇

 酷い痛みに耐えながら魔物達を打ち払っていく。正直、意識は朦朧としつつある。身体の限界が近い。

 {限界を超えるんだ! 24時と締め切りは超えるものだよ^^}

それ、残業してるのに締め切りに間に合ってないとか言う最悪のパターンじゃん!絶対嫌なんですけど!?


 なんやかんや満身創痍でダンジョンを駆け抜ける。え、この形態使ってなかったら、もっと楽に行けたよね?え?

 {たまには自分を追い詰めることも必要じゃない?}

いや、追い詰めすぎでしょ!倒すのは余裕だけど、痛みが酷いんだけど!もう嫌ぁぁぁあ”!





 {…前方接敵確認 …へぇ、これはこれは あの鳥どもこの間のことを忘れたのかな?}

…若しかして、天使がいるのかい?


 {ああ、そうだね …ふぅん、これは悪魔公たる私を早い内に始末しようと言うことかな? 良いじゃん、相手しようじゃないの ヴァイス、私、分離するよ 私も狂戦士形態に入る}

え?ここは対天使殲滅形態じゃないの?というかぶっちゃけ…


 この形態、痛いよ?

 {良いんだよ! たとえ痛かろうと天使を倒せるなら良いんだよ!}

…執念って怖い。


 {双子形態・狂戦士形態 切替}

シュバルツが実体化した。

 「「血魔術! 悲鳴と狂気で染め上げろ! 『血塗れ姫の双剣』!」」

二人で『血塗れ姫の双剣』を発動する。


 すると、私たちの手元には2本の剣ではなく、私の身長ほどある血塗れた紅い大(はさみ)が顕現したのだった。

 {双子形態で狂戦士形態を発動すると『血塗れ姫の双剣』は二人で2本の剣を操る、大鋏モードになるんだよね}

おお、なんかすごい。

 {しかも、この鋏は2本の刃を分離させて、それぞれ剣としても使えるのだよ}

なんというか、金蛟剪みたいだねぇ。


 それじゃあ行こうか。この形態を披露してやって曇らせるんだ!

 {天使って曇るの?}

…ノーコメントで。


 「また、性懲り無く姿を現すとか貴方たち、学ばないのかしら?」

まず煽る。

 「いいえ、ヴァイス この鳥頭に学習というものを期待するだけ無駄よ」

相変わらず辛辣だねぇ、シュバルツ君。

 {いやぁ、それほどでもぉ^^}


 「んっ、排除対象確認!」

 「排除行動開始!」

曲がり角から現れた10体の天使がこちらに向けて武器を構えた。5体が剣を構え、5体が弓矢を構えた。

 「へぇ、殺る気?」

 「まぁまぁ、そう殺気立たないで、シュバルツ ふふっ、貴方たち、少し遊んであげる」


 そう言った途端に私たちが纏う血の霧が濃さを増す。

 {血魔術は聖属性特効もある程度持っている 血魔術だけで片す式を準備するから其れまで時間稼ぎよろしく!}

分かったよ。


 「「血魔術! 殲滅の惨禍! 『血塗れの剣舞』!」」

 勢いを付けて踏み込んできた、剣を構えた方の天使達に対して辺りを汚す血から生成した10本の剣を突き刺す。美しい白の羽が紅い血で汚れて天使が悲鳴を上げる。こっちも叫びたいくらい痛いがな。


 「あ”ぁぁぁぁぁぁぁぁ”!」

絶叫し、剣を取り落とした天使を見て、動揺したのか弓を持った天使達は的もまともに定まらないままに弓を引き絞った。

 「「「「「聖光!」」」」」


 「「血魔術! 幻想と幽夢で惑え! 『血塗れの美し姫』!」」

衣装を紅く染め、血の弾丸を天使達に発射しながら、光りを纏いつつ飛んできた矢を周囲に展開させた鎖で打ち落とす。聖属性の神秘的な光りが鮮血より紅い紅にかき消される。


 {あっ… これ、痛いな}

ったりめーだろっ。舐めてんのか手前!?

 {うん、正直痛みは演算に邪魔だから痛覚無効するわ}

おいっ!こないだ{えぇ?其れをしちゃったら意味ないよね^^だから出来るけどしない^^}とか言ってたじゃねぇか!裏切りだぞっ!無効するならこっちも痛覚無効しやがれ!

 {いや、君は頑張って耐えて、私にコンテンツを供給してね^^}

巫山戯んな!この鬼畜めぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!


 『血塗れの美し姫』を発動しながら身体強化バフを存分に生かし天使達を大鋏の刃で切り裂く。シャキンッという硬質な音が鳴り響く。また、そこにうっかり巻き込まれたダンジョンの魔物は血の弾丸と紅い鎖で吹き飛ばす。止めどなく場に流れ出る血が新しい血魔術の糧になる。


 というか、鋏って扱い辛いんだけど!得物として向いてないよ?!

 {あ~ほら、でも格好いいよね^^}

それはそうなんよ。


 {ッち、増援が来たようだね まとめて片そうか あと、私がバフに特化するから君は前衛を頼む}

りょーかい!


 鋏の持ち手をシュバルツから受け取り鋏を解体。2本の長剣を構える。

 「血魔術! 鮮血より紅い高貴よ! 『血塗れ姫の輪舞(ワルツ)』!」

シュバルツ君が発動した『血塗れ姫の輪舞』は血の串がドシャドシャ生えてくる凶悪魔術だ。造園の天使達に血の串が襲いかかる。あ、数体引っかかった。…中々黒いので光景描写は控えておこうか。


 その間に加速して大きく飛び上がった上空から天使達に襲いかかる。

 「血魔術! 悲鳴と狂喜で染め上げろ! 『血塗れ姫の双剣』!」


 「っ、一斉発動!」

 「「「「「光の審判」」」」」

一筋の淡い白の光がいくつにも枝分かれしながら突き刺す様に落ちてくるのを長剣で受け流し、身を翻して躱す。


 「「「「「聖光」」」」」

今度は真っ向から降り注ぐ白い光を剣で受け止め、ぶった切る。


 「切られたっ!? 急いで結界をっ!」

 「「「「「聖結界」」」」」


 「そんなもので私を止められると、本気で思っているのかしら?」

煽りを多分に含んだ台詞と共に長剣が結界を切り裂き、天使達は刃の眼前に無防備に晒された。

 「血魔術!悲鳴と狂喜で染め上げろ! 『血塗れ姫の双剣』!」

勢いよく振り抜いた剣が天使を薙ぎ払い、突き出されたメイスを体を捻って避ける。


 一対多数を生き残るためには圧倒的な力か、上手く立ち回って小さな一対一を大量に処理すれば良い。


 いつもはその理論の一つ目に従って圧倒的な力で倒してきた。


 だが、今日は理論の二つ目に従ってPvPめいた真似をしてみようと思う。


 


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