128 狂戦士形態
{チェンジしないで一回私の説明を聞いてくれない?}
…まあ、聞くだけ聞こうか。
{オーケー 手短に行こう まず、自傷形態では血魔術の使用を解禁出来るんだよ 血魔術とは簡単に言うと流した血液の分だけ身体が強化され、狂戦士状態に移行できる魔術なんだ そして、血魔術の中に流した血を武器化する魔術があるんだよ そう、Sっ気の方ばかり主張してきたヴァイスが見せる自傷! 苦しみ、狂いながらも戦う美少女! 最高のコンテンツだよ^^}
…シュバルツ君。
{な、なんだい…}
それ、めっちゃ良い^^良いよ!シュバルツ君。
{よかった^^喜んで貰えた様だね}
うん。ただ、自傷形態って名前がダサいのがいただけないね。何か良い名前ない?
{狂戦士形態とか?}
…もう其れでいっか。それじゃあ、お試しで使ってみて良いかい?
{良いよ^^ すっごく痛いけど^^}
…嬉しそうに言わないでくれる?変態かよ。
{もっと罵ってくれても良いのだよ^^}
…こっわ。
{それじゃあ狂戦士形態に切り替えるよ …外部干渉拒否・偽装、完了 ヴァイス化、完了 形態変化・狂戦士形態、完了}
見た目がヴァイスになり、身に纏う衣装は学園の制服からゴシック調のドレスに変化。外部干渉拒否によりカードなどからヴァイスの情報は引き出せなくなり、偽装が良い感じに仕事をしてくれる…筈だ。手元にいつもの大鎌ではなく、ナイフを呼び出す。予備として一応持ち込んでいる武器だ。
そして、私はナイフで迷い無く手首を切りつけた。
「…っあぁぁぁぁぁぁぁ!」
ドバドバと流れ落ちた血が足下に血だまりを作る。感じたことのない痛みが体中に襲いかかる。
{あ、これ詠唱必須だから頑張って^^}
声も出ないくらい痛いんだが!?詠唱!?無理無理!
{ファイト! あ、魔術発動したら常時十トントラックに押しつぶされてる位の痛みが襲ってくるからこれ位は我慢してね^^}
っ、こ、こやつ鬼畜だ!…
…でも、やるしかない!痛みに耐えながら圧倒的暴力を見せる狂戦士系美少女というコンテンツを開拓するために!
「…い、行くよ! 血魔術! 悲鳴と狂喜で染め上げろ! 『血塗れ姫の双剣』!」
両手に深紅の細い剣が2本出現。さらに周囲に紅い鎖が展開された。
{鎖に意味は無いよ^^ 雰囲気だけ出しとくね^^}
っめっちゃ痛いけど、演出最高だよ!
{初期限定サービスで剣裁きはこっちで自動戦闘入れておくから君は詠唱に集中して良いよ^^}
分かった!身体制御は任せる!
走り出して、向かってくるオークに対し、剣を横薙ぎにはらった。オークの血が飛び散り、ダンジョンを汚す。其れはダンジョン内ではありふれた光景、のはずだが、ここではそのありふれた光景がありふれたまま終わらなかった。
{相手の血でも支配下におけるから武器変形して良いよ^^}
何其れチート!?よし、行くよ!
「血魔術! 殲滅の惨劇! 『血塗れの舞踏』!」
10本の剣がどろりとした血だまりから浮き上がる。そして、それらが勢いよくオーク達に襲いかかった。大量のオークが剣に刺し貫かれる。そして、また溢れた血が剣になり浮き上がった。
{チートだと思うよね でも、すっごく痛いよ^^ 他者の血を支配しようと思うと痛み、凄いからね^^}
え…
「あ”っ、あ”ぁぁぁぁぁぁぁ」
絶叫。10トントラック分の痛み以上の激痛が再び全身を襲う。こらえきれなかった悲鳴がダンジョン内に響いた。
…それでも、私は!激痛に襲われながら戦う美少女を欲しい!そして欲しいものがないなら作れば良い!コンテンツは地産地消するものだぁぁぁぁ!
「血魔術! っ悲鳴と狂喜で染め上げろ! 『血塗れ姫の双剣』!」
歯を食いしばり、使い慣れない剣でダンジョンを駆け抜ける。そして、また溢れた血を『血塗れの舞踏』で剣に変形して行く。気が付けば優に操る剣の数は100を超えていたし、また、倒した魔物の数も1000は軽く超えていた。
{…直に100層だ 強めの魔物の気配がするよ …新しい血魔術覚えるかい?}
っそんな余裕は、ないっ!けど、何があるって言うのさ!
{矢っ張り初心に返って大鎌を操る大技を覚えたくないかい? 君の戦いで湧き上がってきたインスピレーションでさっき作ったところの魔術さ^^}
っ魔術ってそんなに簡単に作れるの!?まあ、良い。教えてくれっ!