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122 舌戦フラストレーション

 「それでは楽器を選択してくださる? 課題曲3曲と自由曲2曲を披露して頂戴な?」

良いじゃ無いか、受けて立とう!

 {臨戦モードじゃん…}

 「選択楽器はピアノで」

そう言って私は小ホールに鎮座する楽器群からグランドピアノの前に迷い無く歩み寄って座る。課題曲と選択した自由曲の名前を女に告げる。ピアノを前にするとスッと背筋が伸びた。


 ポロン、ポロン。ピアノの白と黒の鍵盤の上で私の指が踊る。こんこんと湧き出る泉の清冽な冷たさのような輪郭の冴えた音が、開け放たれたままの窓から風に乗り、流れていく。ホールに音の粒が広がって、曲は像を結ぶ。軽やかなワルツの勢いに任せて夢中で鍵盤に指を添え、音を響かせた。高く遠く青い空の奥まで意識は飛翔する。何の柵もなく重力もないほどの高みを夢想する。


 全5曲が終わる。最後の一音を惜しむように鍵盤から指を離した。視線を上げれば愕然としたような視線とかち合った。


 勝った。

 {まず出てくる感想がそれかい…?}

え?駄目?

 {素敵な演奏の余韻も何もないんだが…}

何か言った?私、ナニモキコエナーイ。

 {…こいつ、救いようがないな}


 「演奏、終わりましたわ 採点をお願いできますか?」

ニッコリと微笑みかけながら圧力を掛ける。

 「っ、ええ分かったわぁ」

さて、この女、本気で私のような公爵令嬢がこの程度の課題曲も弾けないと思ったのだろうか。こちとら仕込み年数が違うんだよ!この課題曲、3曲とも8歳の頃には完璧に弾いていたのだから。

 {まず普通に音楽は爵位が高いほど教師が良いから上達も早いんだよなぁ}

その辺分かってないの?一寸頭わいてるのかな?

 {さあね}


 「…っ試験は合格です …貴女に、っ単位100を与えます」

やった。

 「ありがとう存じます それでは失礼いたしますね」


 青ざめる女の隣を微笑みながら通り過ぎる。

 「ああ、最後に一言宜しいですか?」

 「っん 何ですか!」

 「その口調あまり似合ってませんくてよ」

 「何をっ!」

それでは失礼いたしますわ、と言い捨てて小ホールを出る。軽くステップもどきをふみながら歩く。上機嫌に微笑みながら階段をてくてく降りていく。


 なんで突っかかってきたのか知らないけどまあ、ざまぁ出来たから満足かな。

 {なろうあるあるのざまぁをここで使うか? こんな序盤のモブにざまぁを?}

序盤のモブ笑。


 その後の作法の試験も軽く突破した。これで単位1000が揃ったぞ!!!

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