115 入学式
「先輩方、本日はありがとう御座いました」
「ええ、こちらこそ楽しかったですわ 同じ寮にいるのですからまた話しましょうね」
「エリサ先輩の言うとおりなのだよ!君たちの活躍を楽しみにしているから授業が始まるのが楽しみになってきたのだよ!」
ニッコリとアミーカ先輩に言われる。そんなに言われちゃったら授業は即終わらせようね^^ってなっちゃう。
{天才ムーブファイト^^}
いや、セレナは秀才ムーブの方が良いかな。天性の才能的なものはヴァイスの方でアピる。
{お、おぉ}
歓迎会が終わり、それからの日々を寮での交流に費やしたり…はせず、私は室内の強化と学園の散策をしていた。
室内の強化としてはまず盗聴防止結界やらなんやら結界を張りまくり、隠し部屋という名の亜空間を作り、隠し部屋にミステリアスアイテムで謎めきというバフと深みを追加。
{良い感じに整ってきましたね^^}
整いました!ってか?何か昔の芸人のネタにそんなのがあったようななかったような…
{ねず○ちかな?}
それや。
学園の散策ではとりあえず図書館の登録を済ませた。
{No Library No Life}
本のない人生などあり得ない!ということで図書館登録をした。登録解禁日の開館時間に行った。あぁ、蔵書が多くて楽しかった^^
{早速読んできたもんね}
ああ、通い詰めて全冊読破してやる^^
{頑張れ^^}
そして、短い短い春休みは終わりあっという間に入学式の日がやって来た。前世から数えて2度目の学生生活がスタートする。
{性癖破壊の6年間がやって来たね^^さぁ、性癖の伝道師になるんだ!}
ああ、我々は文化祭で薄い本を出すために学園にやって来たんだからな^^
{楽しくなるねぇ^^}
楽しくなるね^^
オランジェットとカルドと並んだ私は意気揚々と講堂に足を踏み入れた。
そして…そして……ねぇ、本当にしないと駄目?私、一寸胃痛が…あ、頭痛と吐き気、目眩も追加できるかな?
{ラインナップ的に内科に行こうか、じゃなくて頑張れよ首席様 入学式の挨拶くらい気合いで何とかしろや}
ねぇ、君が時々見せてくるその脳筋理論は何なの?うぅ、余計に緊張してきた。大体こんな雰囲気出まくりの舞台袖が良くないんだ…いかにもこれから舞台に出ますって感じの…あぁ、矢っ張り首席なんて取るんじゃなかったぁ…
{良いじゃないか 中々収容人数の多い講堂、入学式1年生代表として挨拶するくらい頑張れよ…}
収容人数減れ。講堂縮小しろ。
{いや、現実的に無理}
現実なんて見るな。うわぁぁぁぁ無理。無理。嫌だよぉぉぉぉ。
{情けなさがカンストして、潔さが下限の限界値を突破しそうだぞ…ヴァイスとして振る舞うときはあんなに自信たっぷりなのになァ… …ほら、覚悟決めて行ってこい^^}
「次は新入生代表 1年Aクラス1位 セレナ・ナロウ公爵令嬢による挨拶です よろしくお願いします」
おぉう。ジーザス。助けてよ、シュバルツ君。
{助けてあげたいのはやまやまだけど、君に泣きついて貰う機会はまた別の時にとっておいて、とりあえず行ってらっしゃい^^}
取っておかなくて良いよ!?
…行ってくるね
私は舞台中央に足を踏み出した。イヤイヤだけど。
「本日は私たち新入生のためにこのように盛大な入学式を催して頂き、まことにありがとうございます 学園長をはじめ、諸先生方ならびに来賓の皆様にも、心より御礼申し上げます」
出だしは良い感じかな。うん。
{何々……「まぁ、何てお美しい…」「セレナ様ですわ!」「やはり首席はセレナ様ですのね」だってさ良かったじゃん評判良さげだよ?}
美少女への受けが良くて嬉しいね^^
{急に上がるテンション(笑)}
「明け方まで降っていた春の雨は上がり、私たちを包む景色は輝いているように見え、講堂に向かって歩く道すがら、春の草木につく花を見るにつけ、まるでどの花も私たち新入生を祝福してくれているような気がいたしました」
雨、降らないと台詞と違って困るから魔術で降らしたんだよなァ…
{やらせかよ(笑)}
「先程から学園長をはじめ…(色々、とにかく色々言う)…私たち新入生一同は歴史と伝統あるこの学園の学生としての誇りを持ち、その名に恥じぬよう実りある学生生活を送ることをここに誓います。以上を持ちまして入学の御挨拶とさせていただきます。本日はまことにありがとう存じます」
…お、終わったぞ。
{内心のアタフタはともかく、見た目は一切の動揺がなく常に口元に微笑を湛えているという令嬢仕様だからねうまくいったんじゃない}
万雷の拍手だね。良かったよ。
もう疲れた。何も考えたくなーい。
{まだ教室での自己紹介という名のクラスイベがあるぞ}
君ねぇ、イベント、イベントってこれはゲームのスチルとかじゃないし何なら私の挨拶はチュートリアル扱いかい?
{あぁ、チュートリアル…}
何なのさ!その間は!
{さぁね、特に意味はないよ^^}
翻弄するんじゃないっ!もうっ!
{えっっっっっっっ、翻弄されてくれるかわいげがあるところが本当に、本当に可愛い^^というか「もうっ!」って言う言い方が既に可愛い^^というかこんな姿私にしか見せないで欲しい 本当に取って食われでもしたら如何するのさ、まぁ、そんなことさせないけど 君を食べて良いのは私だけだもんね^^}
………怖。