109 フラグ?回収
「お嬢様、学園に同行するメイドをお連れいたしました」
「入って頂戴」
扉を開けて入ってきたミルトの後ろに見慣れた二人の少女の姿を認める。
えぇっと、私、眼科のお世話になった方が良いかな?
{安心しろ 君に同行するメイドはビーネとグラウだ}
いつの間にそんなことになってたの?
{色々とね^^}
とりあえず君が暗躍してたことは分かった。勝手に実体化してたね?
{…ナンノコトカナ?}
当たりか。それで?
{…とりあえず使える手札は多いと思ったから二人とも出会ったときから理由は告げずに公爵家直属の情報組織に入ってもらった そこで公爵に認めてもらい、最終的に君がネタばらしをした後、君と年が近いことを利用して同行メイドの権利をつかみ取らせた}
君が実体化したときの容姿が私そっくりなのは君が私だと偽って接触していたからかい?
{その通りだよ 一人称も私で通してた といっても接触は2,3回程度基本的に手紙で指示は出していたからボロは出ていないはずさ 記憶を接続しようか?}
うん。見せてもらおうか。
…うまくやってくれたようだし良いよ。今回の行動は不問とするけど、秘密も大概にしてよね?
{分かったよ、一応反省してる}
ん。
「お嬢様、お初にお目にかかります今回学園に同行させていただくこととなりましたメイドのビーネと申します」
「同じくグラウと申します」
二人の挨拶に余所行きのお嬢様スタイルで微笑む。
「セレナよ よろしくお願いするわ」
「お嬢様、こちらの者達は歳こそ幼いですがかなりの手練れでお嬢様の護衛も兼ねております」
「分かったわ 必ず連れ歩く これでいいでしょう?」
「はい、そのようになさってくださいませ」
ミルトはそう言ってから入寮準備がまだあるからと言って部屋を出て行った。
「ビーネ、グラウ 詳しくは入寮してから話しましょう」
「「かしこまりました」」
あまりここで話すのが適切とも思えない。正体ばれたくないし。
入寮日当日。私は仕立てられたばかりの制服に袖を通し、ビーネとグラウを従えて馬車の前に立った。
「それでは行って参ります」
「行ってらっしゃい、セレナ」
「行ってらっしゃいませ、お姉様」
使用人一同と母、リーベに見送られながら私たちを乗せた馬車は滑るように走り出した。
はぁ、学園入学まで長かったわ。そして、原作のストーリーが本格的に始まるまで後1年あるんだぜ?信じられる?原作自体は始まってるけど、まだ我らがヒロイン、リーベが王子に出会ってすらいない。
{まっ、細かいことは気にせずにとりあえず薄い本を広げる学生生活にしようね^^}
ああ、そうだったね。同人活動が学園における最重要ミッションと言っても過言では無いもんね^^ふふっ、楽しみ^^
{楽しみだね^^}
同人誌沢山出したいね^^あの脱稿前の追い込みをもう一度今世でも味わいたい^^
{イラストは任せろ^^}
頼りにしてるよ相棒^^
{いぇい^^}
なお、この間私の表情筋は素晴らしい無表情を固定していたので脳内がこんなことになっていることは誰にも気が付かれていない。