105 目覚め
セレナ視点に戻ります。
「あァもう起きる頃かな…」
…シュバルツ君?ってあれ、私如何してたんだったけ。そうだ、魂喰いを使ってそれで意識を失って…
目を開けてまず飛び込んできたのはシュバルツ君の顔だった。泣きそうで、…其れでいて今にも嗤い出しそうな顔。
「…お早う、シュバルツ君」
「あァ、お早う眠り姫、いや、真夜中だからおそよう様かい? なんとも随分と遅いお目覚めじゃないか」
「え、どれ位たったの!?え、まさか1年とか言わないよね!?」
え、本当に言わないでよ!?
「言わない言わない 実際は一季節程さ まァあと十数日で学園入寮だね」
え…
「それってマジ?」
「マジです とりあえずもう少ししたら医者が来るはずだよ 君は原因不明の病に冒されていたことになってるから あと、心当たりは無いってことにしときなよ 詳しく調べられると不都合だ」
「了解 いやぁ、いつもシュバルツ君は頼りになるねぇ」
「…そんなことは無いよ 現に私は君を守れなかった」
そう言われると死ぬかもしれないと覚悟したことを思い出してしまうではないか。
「守れなかった、何てことは無いでしょ 現にこうして私は目覚めた これが君がいなければどうなっていたことか分からないよ?」
「…そうだね、ねぇ、ヴァイス?答え合わせがてらに一つ約束をくれないかな?」
はて?何を言われるのだろうか。
「約束?何が欲しいの?君の頼みなら出来る限り叶えようじゃないか」
そう言うとシュバルツはニヤリと微笑んでからふいに真面目な顔をして言った。
「君の命をくれないか?私、君の時間が欲しいのだよ」
そ、れは…
「君独りで逝くことが私は許せなかった 何故だろうねぇ?私、君のことが案外気に入っていたようなんだよ だからお願い」
そう言ってシュバルツはこてんと首をかしげて真っ直ぐにこちらを見た。軽い口調とは裏腹な射貫くような瞳の強さに、見えない針でその場に縫い止められたように凍り付いてしまう。
「ねぇ、駄目かい?君の命、君の時間、今際の際まで私が貰っても良いかい?」
そんな表情、反則だ。明晰なその頭脳がはじき出した君の答えがそれならば私はあっという間に何も言えなくなってしまう。
「…良いよ あげる あげちゃおうじゃないか …だから、君も頂戴、君の時間…君の命を私の今際の際まで預かっても良い?」
嗚呼、言っちゃった。こんな告白まがいのことする心算はなかったのに。落ちちゃった。ふいに合った目線。どちらからともなくもたれかかった。
「眠い」
「君、さっき目覚めたばかりじゃない まだ寝るの?」
「駄目?」
「駄目じゃあないけど」
「じゃあ、寝る」
憧れではなく恋でもない、綺麗な何かがここにあるから、
{憧れではなく恋でもない、醜い何かがここにあるけど、}
ー今は君の寄りかかる温度に浸っても良いかな?ー
後書き失礼します。
一寸素敵な二次創作の摂取のしすぎでギャグをどこかに忘れて来た愚かな作者です。
こんなもの書いたら後から恥ずかしくなるだけなのに何で性懲りもせずに真面目な恋(?)物語に夢を見るのかな?私の頭脳。
今度こそギャグテイストを入れ込むんだからね!?
それで今度は過剰なギャグ沼にはまって物語が進まなくなるんでしょ。知ってるよ。