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103 君の居ない冬3

まだまだシュバルツ視点。

 「お嬢様、朝でございます お目覚めください!」

…朝になった。そっか、君と屋敷に戻ったのが深夜、そして、外出は早朝の1時間程度。つまり、まだ朝じゃなかったのか。…時計の針は思ったよりものんびり屋だったらしい。


 「お嬢様!お嬢様!…若しかしてお熱でもおありですか?」

額に手を当てて熱を測るミルト。むぅ、額と額でこっつんって熱を測ってくれる美人メイドは2次元にしか居ないのでしょうか?残念。なんてね。思考が完全に君に影響されているよ。 


 「ッ酷い熱! これまで熱などお出しになったことなど無かったのに!」

ミルトは驚いたようにそう言ってから部屋を出て行った。おそらく看病の手配でもしてくれるのだろう。それにしても君は熱を出したことがないのか。…若しかして、莫迦は風邪を引かないっていうやつだろうか。知らんけど。


 その後屋敷中上から下への大騒ぎになった。母は動揺しきって部屋の花瓶をうっかり割り、仕事帰りに報告を受けた父は椅子からずり落ち、手紙でそのことを知らされた兄は急いで帰宅、何もないところですっころんだ。そして、最近出来た義妹は心配で上の空、食事中、フォークの三つ叉部分をつかんで持ち手を野菜に刺していた。


 いや、ギャグか?動揺ッぷりが三流ギャグ漫画なんよ。特に義妹聖女!表面上なんてこと無い顔というか、ほぼ無表情でそれは笑わせにかかってる。確信犯か?


 まあ、そんな余裕ぶったことを言っておきながら私も気が気ではないわけで。君が眠っている間ずっと考え込んでしまう、君の問いの答えを。





 …分からない。イチャイチャを当てつけと感じたのは何故か?いや、機嫌が悪いから自分だけ美少女と戯れて私にはお裾分けはしない!的な意味で言われたと思ったからなんだけど…この場合、導かれる答えは美少女愛を自覚しろということか?(違う)


 まあ、確かに美少女への愛は大事かも知れないがそこまで、そこまで機嫌を損ねるようなものだっただろうか。あと、文脈がつながらない。


 むむむ、袋小路に迷い込んでしまう。こうして結局分からないのだ。







 …分からない。君の考えていることなんて分からないよ。君は私のことを相棒だなんて呼んで「分かってるぅ!」何て言ってくることが度々あったけど、私は分かってないんだ。本当に君が考えていること。


 ハァ、こんな私は相棒失格かな?笑っちゃうよ。なぁんにも分かってないんだから。…だから、…君が目覚めたら、もう、こんな私なんて要らないって捨てられちゃうのかな?……君の側には居れないのかな?それは…嫌、かも。


 …ん?今、私は何て思った? 君の側に居れないのは嫌だ?




 …それって、ッそれって… っそんなの私が君の側に居たいみたいじゃないか。まるで私が君に酷く執着しt…っ!





 一気に頬が紅潮したような感覚に襲われる。ッこんなの錯覚だ。実体化していない今の私は精神生命体だ。頬が赤くなんて、なるはず、が、ない…のに。


 まとまらない思考は普段のように明晰な答えを導き出さないし、私はそこはかとなく存在を主張する羞恥心に殺されそうだ。






 側に居たいと願うのは如何して?





 ー自覚まで後少しー


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