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第25話


 学園都市、バラム。



 スイス領の地方自治体の一つであり、世界でも有数の文化学術的な『研究ゾーン』の一つ。


 『未来を生きる子どもたち』をテーマに1981年より着工、1990年に「21世紀の創造都市」と銘打って街びらきが行われた。


 学園都市の住人のほとんどは「イレギュラー」と呼ばれる人間たちだが、バラム島に元々住んでいた島民や他国からの移民も少数ながら生活しており、独自の生活圏を形成している。


 島の中央の外壁に囲まれるように都市部があり、東京で言うと『23区』みたいな特別区画が、合計で30区存在する。


 私たちがいる第17街区は、第15から20街区を管轄するヴァレッタ学園領の区画にあたり、専攻する学問の分野は主に物理、自然科学、生物、電子工学、情報工学など。


 アカネとフレンは同じクラスだが、専攻する科目が違う。


 イレギュラーたちの多くは自らの自治体や組織の安全を守るために、幼少期から戦闘訓練の知識と教育を受けるが、12歳以上(区や教育機関によっては多少の前後がある)からは自分の意志で進路先を選ぶことができるようになる。


 各街区によって12歳まで実施される「義務教育制度」は、都市が管理する『カレッジセンター』と呼ばれる教育施設(各街区に複数建設されている)で行われ、あらかじめ決められたカリキュラムを時間割で管理され、各年齢ごとの学級=教育課程に振り分けられる。


 学園で実施している義務教育制度では、基本的には進級試験によらず年齢に伴って進級し、一定年齢に達したら就学義務は終了する仕組みとなっていて、学習者の学習段階によって、決まった学年または学級に所属する形態は、今のところ実施されていない。


 義務教育課程を修了した生徒は、修了課程までに残した成績や評価によって、各学派への推薦や選考が行われる。


 各個人によって自由に進路先を希望できるが、そのためには各学派への適正検査と進級試験を行わなければならず、必ずしも希望した通りの進路先に進めれるとは限らない。


 とはいえ一部の学派を除いては、入門の選考基準にコース毎の段階を設けており、進路先に向けた学生たちの将来的な展望や自由な意思が尊重されるよう、難易度が緩和されている。


 これは『自由と独立』を教育方針に掲げる、初代理事長の意思が反映されている。


 学業の成績や生活態度の良し悪しに関わらず、常に平等で社会的な可能性に“長期的な課程に沿って”準ずるべき、とする、学園設立当初の運営方針に基づいたものだ。

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