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「そこ!不純異性行為はやめなさい!」
なんだ?またお前か?
「あ、セーラ・キーナーさん。おはようございます」
あの、最初の邂逅から最早数日間経った後も金髪のツインテールの少女、セーラ・キーナーは俺たちに絡んできていた。
しかし俺にはその意図が宇宙の大きさほどに計りかねるから、甘んじて受け入れる以外の方途がないってことだ。
「また佐々木さんに鼻の下でも伸ばしてたんでしょう?マイケル」
いいや、全く。
「どうだか。男ってのはそうやって女の人には優しく接して誑かすって母親から聞いたわ」
お前のソースが不安なんだが、そっちは大丈夫なのか?
「大丈夫ってどう言うことよ」
いや、男への偏見がすごいんだが、父親とはどうなってるんだ。
「・・・・・・まあまあね」
そうか。
やっぱり他人のどうこうってのは言葉だけじゃわからないもんだな。
「そこ!不純異性行為は・・・・・・って、今日は佐々木さんいないのね」
ああ、残念ながらな。今日は寝坊したらしい。
「なぁんだ。あの人でもそんなところあるのね」
いや、あいつだからだろ。こう言っちゃ悪いが、あいつはすこし真の抜けているから、逆に今まで寝坊しなかった事の方がおかしいな。
「何言ってんの。あの人、裏でなんて言われているか知ってる?冷徹の女王よ。入学してからこの方異性からの告白は歯牙にも掛けない物言いで叩き切ってきたのよ。むしろあんたといる時に見せているあの一面のほうがおかしいまであるわ」
本当か?俺には全くその話が信じられないんだが。
「・・・・・・クスッ」
おい、今笑っただろ。やっぱりからかってんな。
「違うわよ。あんたの困惑した顔が面白くってつい」
言い訳などいい。佐々木が冷徹の女王?ふざけんな。一体何を見ればあいつに冷徹を見出せるんだ。
「ぷーくすくす、あんたにはその頑迷固陋さがよく似合うわ」
・・・・・・こいつ、馬鹿にしやがって。
で、何のようだ。
「何のよう?」
いや、だから、何か用があってここまでついてきたんだろ?その要件を聞いている。
「何!?用がなかったらあんたと一緒にいちゃダメなの!?」
いや、そうじゃないが・・・・・・そんな怒んなよ。
「怒ってないわよ!」
いやいやどうみたって怒ってるじゃねぇか。さっきは俺のことを嘲笑してたのに、今度は急に怒りかよ。本当に喜怒哀楽の激しいやつだな。
「ふん!」
やれやれ。俺には全くお前の怒る理由がわからないのだが。
その日の登校はキーナーを宥めるのに費やした。
コンテストに出してみました!