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キロキロと、ヘクトデカけたメートルが、デシに追われてセンチミリミリ。
単位の大きさ順に並べた言葉を思い出しながら歩く帰路。止んだ雪はいまだに降り積もり、残骸が跋扈している。そんな中、佐々川さんが最後にと雪だるまを作ることを提案した。まあいいだろう。そこで、俺たちは、もはや行きつけと化した公園に向かった。
一際大きく作られた土台部分に、それより一回り小さい頭をのせる。そして木の枝で顔を書いたら出来上がりだ。だというのに女子ども、殊に提案した佐々川さんが疲れて向こうの方で休んでいるため物寂しかった。そんな時、俺は何をとち狂ったのか雪だるまにこう話しかけた。
お前も大変だな。作られたそばから消えることを気にしなくちゃいけない。
佐々川さんを呼びに行こうと俺はあちら側に足を向ける。すると、脳内に響く声でこう聞こえた。
「本当に大変だよ。僕だって消えたくなんかないさ」
俺は足を止める。
今話したのはお前か。
俺は雪ダルマに目を遣る。
「ああそうだよ。一体何を驚いているんだい。というか、そろそろこの拘束を解いてくれないか。動きたくってね」
何を言っている。お前は雪ダルマなんだから動けないだろう。
「雪だるま?この僕が?……あはは!そうか!これは夢か!にしても雪だるまとはまた面白いものになったね。ああそうさ。僕は夏になると一切合切消えてしまう。そんなのがお似合いだ」
お似合い、というと?
「……そんなことはどうでもいい。それよりここはどこなんだ」
ここは、俺たちの国だ。
「名前は」
ジェントロだ。
「へぇ、聞いたことないな。アフリカ大陸の未発見の国かな?」
そんなわけないだろう。大体アフリカ大陸なんてのは――おいお前、今、アフリカ大陸といったか?
「ん?そうだよ?僕はこう見えても勉強はものすごくできてね、地理も得意なんだが――」
もしかして、お前の住んでいる国は日本か?
「ああそうだよ。なんたってあそこは治安がいい」
なるほど、つまりお前も転生者か。
「……というと?」
いや、この世界は地球とは違うんだ。魔法だってあるし、魔物だっているし、ダンジョンだってある。そんな世界にお前は来たということだ。
「あはは!面白い夢だなぁ」
夢じゃないぞ。
「……本当?」
ああ、本当だ。
「……あー、動けないのがもどかしい。動けるのなら今すぐにでも頬をつねるのに」
まあ、夢と思ってくれてもいいさ。ただ、いつかこれは夢じゃないと思う日が来るさ。
「……これはあれかい?存在Xとかいうやつの仕業かい?」
あー、それはあれだろ?何とか戦記とかいうやつのことだろ?俺はそれにはあまり詳しくなくってな。
「なんだ。結構面白いのに」
「マイケルくーん!」
佐々川さんが向こうで手を振っている。
じゃ、俺はそろそろ行くぞ。
「またね」
俺は佐々川さんたちの方へ走った。
とりあえず書けば何かが書けるという当たり前の事実に驚愕しました。




