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あれから西蔭智春の手掛かりは一向につかめないまま、悶々とした日々が過ぎた。休日に日課の朝のランニングをやっているとき、その時はほかのコースを試していたのだが、通り掛けに大きくそびえる塔を見た。看板を見てみるとヴァニッシュ教の教会らしい。そういえばハリスがこの宗教について悪い噂を言っていたなと思いだし、俄然興味がわいてきて、その協会の前の公園のベンチで休むついでに観察してみることにした。すると、信者らしき人がどんどん中に入っていく。見ると全員顔がやつれている。まあ確かにこの様子ならあんな悪い噂もたつわけだ。そんな感想を漠と思いながら息を整えていると、一人、俺の見知った顔が見えた。そう、西蔭智春である。いや、他人の空似かもしれない。だが、その時の俺の興奮はその考えをかき消すほどにまで高まり、自然に近づいていた。
よお、西蔭。
俺はその少女に声をかける。
するとその少女ははっとした表情になり、教会に急いで入ろうとする。
おい待て。
俺はその少女の手をつかむ。
「……久しぶりだね、マイケル君」
そう言って見せた笑みはどこか弱弱しかった。
久しぶりも何もあるか。一体何が起こっている。
「ごめんね。私もなんでこんなことをしちゃったのかわからないんだ。ただ一時の感情に身を任せたらこうなっちゃった。これは私の自業自得なんだ。だからマイケル君に迷惑をかけるわけにはいかないよ。それに、あともう少しで解決しそうなんだ。だから――」
いいや行かせない。事情を話すまではこの手は離さない。
「……もう、マイケル君は強引だなぁ」
西蔭智春は観念したというように左手を上げると、近くのカフェを指した。どうやらあそこで話すつもりらしい。
物語の切り方から僕の不器用さが伝わってきますね。玉ねぎはみじん切りが得意です。




