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「なんか最近マイケル君に女の匂いがするんです」
昼食を中庭で広げていると矢庭に佐々木さんがそう告げた。
横を見るとそこには膨れっ面の佐々木さんがいた。
多分前世はフグだったのだろう。
「まあ、確かにそうね」
佐々木さんの言にそう諾うのはキーナー。
そちらの方を見ると、やはり佐々木さんと同様にふくれっつらになっているが、こいつは獰猛なので多分前世もフグなんて生やさしいものではなくハリセンボンの、それもさらに獰猛な奴だったのだろう。
とは言いつつもそういえばフグは肝臓に毒があったなと思い返し、当然佐々木さんはそんな腹黒ではないからやっぱり佐々木さんの前世は風船だったのだろう、それでヘリウムガスで体を目一杯膨らませた佐々木さんは子供と今生の別を告げたのだろうと思っているとキーナーがこう言った。
「ねぇ!聞いてるの!?」
あーはいはい、お前はそんなに獰猛だから彼氏のかの字もないんですよ。
「(ムカッ)へぇ、言うじゃない。佐々木さん、私の今の告白された数は?言ってあげなさい」
「えぇ、私、数えてはないんですけど、それでも私たち二人でいると誰かは告白してきますよ」
ほ、ほぅ、お、面白いな。面白い冗談だ。
キーナーは満足そうに鼻を鳴らす。
ま、まあ、俺だって女ならいるしな。
「嘘おっしゃい。第一、あんたに近づく女は私たちがーー」
「セーラさん!」
「・・・・・・なんでもないわ。でも、あんたに彼女なんてできるわけないでしょう。そんな偏屈なんだから」
ほ、本当だったらどうするんだ。
「本当だったら?あるわけないでしょ。もしそんなことがあったら土下座してもいいわ」
い、言ったな?
「ええ」
尚もキーナーは余裕綽々とした感じだ。
俺は残りの昼食を一気にかき込むと、「見てろよ!」と捨て台詞を吐いてその場を駆け出した。




