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鈍重な空気が俺の肩にのしかかる。
窓から差し込む昼下がりの陽光は俺に相対する人物、小さな体躯に幼さの残る容貌の人物の後光となり圧迫感を演出する。
「して庶務よ。仕事の程はどうかな」
童顔の主は阿重霞な声でそう聞く。
「・・・・・・まずまずかと」
俺は一言絞り出す。
「・・・・・・ほう。女子生徒ときゃっきゃうふふしていてもか」
「・・・・・・先ほども述べた通り俺にはその『きゃっきゃうふふ』をした覚えがーー」
「西蔭智春」
「・・・・・・はい?」
「西蔭智春と何やら楽しそうなことをしているらしいではないか」
「・・・・・・あの、その方を存じ上げないのですが」
「ほう。存じ上げない、とな。因みに其奴はボーイッシュな髪型に八重歯を輝かせている少女だ」
そこまで言われたら俺だってわかる。
そう、そいつは俺が体育倉庫で仕事中によく来る女子生徒だった。
しかしあいつも日本名なのか。佐々木さんと同じ所出身なのだろうか。
しかし生徒会長。俺はあいつとキャッキャウフフなどしておりませんが。
「たわけが。生徒会傘下の機関がお前と西蔭の笑い合っているのを幾度となく目撃しておるぞ」
はぁ、それは勘違いなんですが・・・・・・
「・・・・・・お前、もしや鈍感か?」
鈍感?この俺が?いやいや、それだったら今頃佐々木さんたちとギクシャクしてますよ。そんな乙女心のわからない男ではありません。
「・・・・・・私はとんでもない天然女ったらしを入れてしまったのかもしれない・・・・・・」
生徒会長の戦慄は俺の耳への旋律とはなり得なかった。
で、これでいいですか?あなた方に矢庭に呼び出されたもんで昼飯もままなりませんでした。帰っても?
「こ、こほん。ま、まあいいだろう。ただし!あー、これは私事なのだが、お前、背中を刺されないようにな?」
何でですか。第一、誰に刺されるって言うんですかい。
生徒会長の忠告を馬耳東風に受け流した俺は、教室へと急いだ。
はぁ




