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ありきたりな転生物語をもう一度!  作者: ありきたりな人間
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改省が成功に終わった数日後、俺は生徒会室に来ていた。

いや、それだと少し語弊があるかもしれない。

俺は生徒会室に呼び出されたのだ。

放送などと言うこの世界では高度な技術を用いて発信されたのは他でもない、俺の呼び出しだったってことで、まあそりゃあ俺は学年主席であるわけだから同学年の皆が、或いは高学年までもが色めきだったことだろう。

俺としてはそんなノトーリアスな目立ち方などしたくなかったが。

まあ、過ぎちまったもんはしょうがない。

ここは威風堂々、とはいかずも虎の威を借る狐くらいの度量を持っていこうではないか。

そんなことを漠と思っていると、後ろの扉が開いた。

生徒会長のお出ましかと思って刮目していた俺だが、それは杞憂に終わった。

ただの迷子の小学生が胸を張って堂々と入ってきただけだったからだ。

どうした、迷子になったのか?

「ふっふっふっ!私こそが!」

強がらなくっていいんだぞ。ほら、誰の妹さんだ。

「た、たわけが!私は!」

ここは旧校舎だからな。生徒が全然いないから心細かっただろう。どれ、とりあえず職員室まで行くぞ。

「お、お前!」

ほーらよしよし。怖かったなぁ。心細かったなぁ。

その時、もう一人入ってきた。






「この方が生徒会長のトレイシー・マーセルさんで、私が副会長のリンダ・ジョンソンです」

そう告げるのは黒縁メガネに三つ編みの髪を下ろした、大層真面目そうな少女だった。

"生徒会長"と題された机には先ほどの幼女が小さい胸を張っている。

紹介を受けた生徒会長、トレイシー・マーセルこと幼女は「ふん!」と軽く鼻を鳴らす。

俺としてはこの状況が複雑怪奇であまり要領を得ないのだが(幼子が生徒会長などという世紀末を、一体凡人の俺がどのように受け入れられよう)、ことは俺の心中に関係なくとんとん拍子で進んでいく。

「それでだな、今回お前を呼んだのは他でもない、生徒会に入ってもらうためだ。まずは庶務から始めようではないか」

と、幼女は阿重霞な声で宣う。

いやいや待ってくれ。その前になぜこんな幼児が生徒会長の席に座っているかを説明してくれ。

俺はそうトレイシー・マーセル、生徒会長こと幼女に嘆願する。

「む!さっきから黙って居れば人のことを幼児幼児と!言ってくれるではないか!」

「この方はこう見えても16歳です」

そう俺に告げ口したのは真面目そうな少女、副会長のリンダ・ジョンソンだった。

へぇ、驚きだね。こんな幼児が16歳だなんて。これは世界の神秘というやつだろう。

「幼児じゃない!」

どこが幼児じゃないというんだ。てっぺんから頭の先まで全部「幼児」の塊じゃないか。

「むー!こやつ!おいリンダ!本当にこいつは適任なんだろうな!」

「ええ、間違いなく。トレイシーさんの容姿に言及している時点で十分まともかと」

「容姿?リンダ貴様!貴様も私を幼女だと侮辱するか!」

「いえいえ、めっそうもない」

そう言うリンダの顔には下卑た笑みが張り付いていた。

やれやれリンダさん。あんたが面白がっているのは側から見たら手に取るようにわかるぜ。

だがここでそんなことを指摘したとしても、あんたはどうせ先程のように謙遜とも受け取れない曖昧模糊とした発言で有耶無耶に終わらせるのだろう。

そんな無駄は、省エネ主義ってのがあるかはわからないがまあ大体そんな感じの俺には億劫なことであって、リンダさんがトレイシーさん、いや、見た目が幼女である以上トレイシーちゃんとでも呼ぶべきだろうか、まあそんな威厳のへったくれもない生徒会長を嘲笑うってことは指摘するつもりは皆目ないってわけだ。

で、虚飾の鑑、生徒会長様は何で俺を庶務なんて言う雑務、まあ聞くところによると生徒会への登竜門らしいが、そんな役職にご所望なのだろうか。

「ふん!そんなの当たり前だろうお前が首席で、このリンダ・ジョンソンが生徒会にふさわしいと断じたからだ」

で、俺は本当に適任かい?

「まあ、こう見えてもリンダには信頼を置いているんだ。そいつが選んだ時点で決定事項に近いな。気に食わないが」

なるほど。つまり後は俺の心次第というわけか。

「まあ、大体そんな感じだ」

俺は内省する。

前世の俺は、いや、今も須く平凡だ。

そんな俺には、常識的に考えて生徒会などに合わないのだろう。

ああそうさ。

俺に似合うのはせいぜい図書委員会などのほのぼのとしたゆとり委員会だ。

だが。

とここで俺は思ったわけだ。

いや、思ってしまったという方が近い。

今まで陳腐な人生を送ってきた俺が、アブノーマルな世界に飛び込む。

そんな話があっても面白いんじゃないだろうか。

いや、これは少し語弊があるだろう。

アブノーマルという荒波に、嵐に、俺は惹かれたのだ。

それはいささか猜疑心のようなものかもしれない。

アブノーマルに嫉妬し、普通と同じ尺度で測ろうと試みた反動なのかもしれない。

しかし、俺はアブノーマルに、ハレに、非日常に、全身、せめて片足だけでも乗せてみたいと思った。

俺は傲然と座る幼女に、生徒会長にこう言う。

或いは赤子が母親に誕生を宣言するように、ポピュリズムが大衆の耳目に宣言するように、改めてこの世界に俺の意志を告げたのかもしれない。

受けましょう。その話。


大学受験が終わって弛んでました。

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